第8話 いざ王都へ
魔物の討伐を初めてから早くも5年が経った。
私も、もう10歳になった。
妹は7歳になり、妹は現在、家庭教師に勉学を習っている。
え?私は?って?
私は、3歳の頃にジェームズに教えて貰っていたこともあり、前世の知識も使って自分でも勉強が出来たからか、グレイスからは家庭教師は必要無いだろうとスルーされていたらしい。
そして、そんな私は今日も魔物討伐に励んでいる。
最初の頃はゴブリンがほとんどだったが、今では魔物の中ではA級指定のワイバーンやサーペントなどを討伐出来るようになっており、あれから随分と剣技も上達し、魔法の練度や精度に魔力が増えていた。
そしてとある日のこと、グレイスが話があると言うことなので、応接室まで出向いていた。
「やぁ!アリー!突然呼び出して済まないな!」
「いいえ!構いません!お父様!ところで、お話というのは?」
「それなんだがな!アリー!実は、陛下がアリーに会って見たいと言って来たのでな!それで、アリーが良ければ一緒に王都へ陛下の所まで行こうと思っているのだが、アリーはどうだ?行きたいか?」
(うーん、どうしようかな?まぁ折角だしどんなところなのか知っておきたいかな?王様がどんな人かも知りたいし)
「はい!私もご同行させて下さい!」
「分かった!決まりだな!明後日の明朝に出発するから準備していてくれ!」
「分かりました!」
と言う訳で明後日から王様へ会いに行くことになったのだ。
それに、ここから王都のベールドイドへは馬車で約4時間半程掛かるらしい。
それなりに距離もあるし、退屈な旅になりそうだなと思っていたのだが……。
出発当日、私は王都への準備を済ませて馬車に乗ろうとすると、そこにはグレイス以外にもう一人いたのだ。
それは、妹のミリーサだった。
「あれ?ミリーも一緒に行くのですか?」
「あぁ!どうしても行きたいと言うからな!」
「私もアリーお姉様と一緒に行きたかったのです」
「そうなの?じゃあ折角だしいっぱいお話しようか?」
「はい!アリーお姉様!」
それから程なくして出発し、馬車の中ではミリーサが魔物の事や剣術や魔法の事などここぞとばかりに聞いて来たのだ。
「そう言えばアリーお姉様はどんな魔法が使えたりするのですか?」
「ん~、私は3属性とも使えるよ!後、超級までは使えるようになったかな?」
ついでに闇と光も使えるが、それを言うと大変な事になりかねないので黙って置くことにしたのだ。
「そうなんですか!凄いですね!」
そう、この世界の大半の人は魔法は1属性しか扱えないので2属性や3属性は希少な存在なのだ。
故に私が、5属性も扱えるとなると大騒ぎになってしまうのだ。
「あぁ!お姉ちゃんは本当に凄いんだぞ!ミリーもお姉ちゃんに負けない様に頑張れよ!」
「はい!お父様!アリーお姉様の様に強くなってみせます!」
「よし!その意気だ!ミリー!」
(大丈夫かな?)
大概は姉を追いかける妹は姉のジレンマに掛かって抜け出せなくなるパターンが多かったりするのだ。
だから、私はそうならないように妹の事をしっかり見てあげようと心に決めたその時であった。
ピシッ!!
「!!」
突然、何やら前方の方で強い殺気の様な物が複数感じたため咄嗟に馬車の窓を開け、身体を乗り出した。
「おい!突然どうしたんだアリー!危ないぞ!」
「すいませんお父様!少しだけ待って下さい!」
そう言って私は遠視能力を使って殺気を感じた方向に目を向けその殺気の正体を確認する。
すると、約6km先に少し私達の馬車よりも豪華な馬車が車輪が外れてしまった状態で停車しており、その周りに約20人の剣を持った男達がその馬車を取り囲んでその馬車を守っている兵士の様な人達が次々に殺されていっている。
盗賊達だ!
不味い!これは不味い!何と言ってもその馬車にはベールドイド王国の王家の紋章が書いていたからだ。
その瞬間、咄嗟に馬車内に戻り、グレイスにこの先の事を伝える事にした。
「お父様!この先約6km先に王家の方らしき方々が盗賊達に襲われています!」
「何!それは本当か!アリー!」
「はい!ですので私は先に行って王家の方々に加勢して参ります!」
「そうか!分かった!ん?でもどうやって行くんだ?」
「すいません!こうやって先回りをします!」
ヒュン!
「え!?」
そう言ってアリーは馬車の外に瞬間移動を使って出て行き、王家の馬車に向かって飛んで行ったのだった。
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王家Side
「クソ!この人数では持ち堪えれません!姫様を先に逃がして下さい!」
「分かった!せめて逃げるまでは持ち堪えてくれ!」
「はい!この命に変えてでも!」
そして、兵士が馬車の中からメイドと姫様を連れて反対側に逃げようと急いで走って行く。
「はっはぁー!逃がすかよ!おい!お前らぁ!」
と、その号令の様な大声を挙げたと思うと道の脇から隠れていたのかぞろぞろと出て来て道を塞ぎ、盗賊達が剣を構える。
「クソ!不味い!道を塞がれた!」
と言いながら兵士が盗賊達に剣を構える。
まさに絶対絶命の危機である。
「へへ〜!野郎ども!懸かれ!」
「「「「「イエッサー!!!!」」」」」
その瞬間、あっという間に兵士を取り囲み盗賊達に蜂の巣状態にされ、息が絶えていく。
「よ〜し!これでようやくお楽しみの時間だぜ!ヘヘ〜」
盗賊の一人がそう言うと姫様と呼ばれていた女の子の所へと歩み寄って行く。
「いやぁ!誰か!助けて!」
「姫様!姫様!!」
メイドの人が姫様と呼ばれている少女を覆い被さる様にして抱きかかえる。
だが、そんな抵抗も虚しく盗賊達に少女とメイドが引き剥がされる。
「いやぁ!放して!」
「姫様!!」
「グヘヘ〜先ずはお姫様から頂こうとするか!」
「メイドの方は身体付きが良いからメインディッシュとして後で堪能させて貰うとしよう」
そう言いながら盗賊達は暴れる姫様を羽交い締めにして身動きが取れない様にし、履いている下着を下ろし、無理やり脚を力付くで開き、盗賊が汚物を丸出しにする。
「いやぁ!嘘よ!こんなの嘘よ!お願いします!何でも聞きますからそれだけは勘弁してください!」
「何言ってんだ?お前?止めるわけねぇだろうがよ!」
と言ってその汚物を挿れようとしたその時だった。
バシュ!ボトン
「はぁ?」
何やら挿れようとすると、違和感を感じたのだ。
そして、恐る恐る盗賊が自分の汚物を見ると、有るはずの汚物が身体に付いておらず、地面に落ちていたのだ。
すると、最初は何が起こったのか理解が出来なかったが、その状況を再度見ると次第に理解していき、自分が汚物を何者かによって斬り落とされたのだとようやく理解する。
「ギャァァァ!俺の!俺の竿がぁぁぁぁ!」
「全く!女の子になんてものを押し付けようとしているのですか?」
「な!?誰だお前!どっから湧いてきた!」
「私ですか?私はアリーシア・フェイ・ドゥラットと申します」
「何!?あの辺境伯の娘がなぜここに?」
「そんなことどうでもいいでしょう?それよりもあなた達を一人残らず引っ捕らえます!」
「クソ!やべぇ!お前らさっさとずらかるぞ!」
一人のリーダー格の盗賊の号令でそそくさと逃げようとするが、瞬間移動で行く手を阻み逃げる隙を与えない。
「逃がしませんよ!」
「クソ!何なんだこのガキ!仕方ねえ、おい!お前ら!あれを使え!」
すると、今度は黒い玉みたいなのを盗賊達が手持ちの袋から取り出し、一気に地面へと叩きつけた。
その瞬間、その場から煙が出て来てたちまち周囲を囲んだ。
「どうだ!これでもう魔法を使えまい!いくらお前でも魔法が使えなかったら只のガキだろう!」
「おい!お前らこのガキも引っ捕らえて後で慰み物にしてやろうぜ!どうやら見るからに良い身体してるみたいだからな!磨けば極上物になるぜありゃ!」
「「「「イエッサー!」」」」
そう言って盗賊達が私の周りを囲む。
「ヘヘ〜!お嬢ちゃん悪く思うなよ~!」
(後で堪能させて貰うとするかな?)
うん!読心能力は使えるから超能力については大丈夫そうだ!
確かに魔法は使えないようであった。
一体どこの誰がこんなものを開発したのか?
引っ捕らえたら聞き出してやる!
と、考えていると盗賊達が襲って来たのだ。
「大人しくしてもらうぜ!おりゃ~!」
と言って一気に斬り掛かってきたのだ。
だが、その瞬間に私は範囲攻撃として雷撃能力を使って麻痺状態にしようと超能力を発動させた。
バジーバジーバジーバリバリバリバリ!!
私を中心に電気のバリヤで囲み、ドーム状になって一気に広がって行く。
そして、たちまち盗賊達がそれに飲み込まれて行くのだ。
「「「「ギャァァァ!」」」」
すると、盗賊達は痺れて動けなくなった。
「くっそー!何なんだこれ!全身がビリビリ痺れて動けねぇ」
「何で魔法が使えんだよ!あの魔法無効化の宝玉は偽物だつてのか?」
なるほど、そんなアイテムだったのか。
まぁ、確かに本物なんだけどねぇ。
この世界の人達は超能力の存在を知らないため私が魔法を使っていたようにしか見えなかったのだろう。
「さて、あなた達には大人しくお縄についていただきます」
「お前は一体何者なんだ!」
「それは……秘密事項です☆!」
某人気アニメの人気キャラ風にウィンクしながらかわいく言ってみた。
((((かわいい!でもやる事は鬼何だよなぁ))))
おい!鬼とはなんだ鬼とは!
まぁ、別に良いけどねぇ。
一先ず全員の手足に縄を括り付けていると、ようやくグレイス達が到着したのである。
「アリー!大丈夫だったか?」
「はい!全員縛り上げました!」
「良し!良くやったぞ!」
「ありがとうございます!」
そう話していると後ろから声を掛けられた。
「あの!すいません!」
と話しかけられたため、振り向くとそこにらはこの国の王女様が立っていた。
あ!そうだった!王女を助けに来たんだった!
「申し遅れました!はじめまして!私は、アリーシア・フェイ・ドゥラットと申します!グレイス・フェイ・ドゥラット辺境伯の長女でございます!」
「え、あ!はい!はじめまして、わたくしはカリーナ・ジル・ベールドイドと申します!ベールドイド王国第二王女になります!」
と、第二王女であるカリーナが深くお辞儀をした。
「お久しぶりで殿下!」
「お久しぶりですね!ドゥラット郷!またお会い出来て光栄です」
「はは!こちらこそ!」
「この度は、わたくしの命を救って頂き誠にありがとうございます。」
カリーナが再度、お礼のためお辞儀をした。
「いえ!そんな!当然のことをしただけですのでお礼など要りませんし、顔も挙げて下さい!」
「ですが、王家として今回の件は只のお礼などで済ませることは出来ません!それに、アリーシア様はこれから王都へと向かう所ですよね」
「はい!カリーナ殿下もこれから向かう所ですよね!」
「はい、そうなんですよ!宜しければ護衛もかねて同行しませんか?」
「是非!お願いします!」
そうして私達は、馬車に乗ろうとしたのだがカリーナが声を掛けて来た。
「あの、よろしければ色々とお話をしたいのでわたくしと一緒の馬車に乗りませんか?」
「え?」
そう言われたのでグレイスの方を見ると小さく頷いたのだ。
行って来い!と言っているのだろう。
「分かりました!お供致します!」
「良かった!同年代の子とお話をする機会が無いもので会ったら一度お話をしたいと思っていたのです!」
「そうなんですか!私も殿下と沢山お話をしてみたいと思っていたのです!」
「ふふふっ!それではこちらへ!」
「はい!」
そして、私達はカリーナと幼少期に沢山の語学や情勢を勉強してきたことや冒険者に入った頃から現在の事までお互いどんな生活や生き方をしていたのかを会話が途切れる事無く、気が付けばもう王都に着いていたのだ。
キャラクター紹介
アリーシア・フェイ・ドゥラット(10歳)
前世の記憶や超能力を持って転生した最強無敵の美少女。
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金髪ショート、キリッとした目元に瑠璃色の目をした美少女。本作の主人公、メインヒロインである。
責任感が強く、博愛精神を持ち、聡明な頭脳を持っているが、時々お茶目な一面もあり、皆から信頼され、愛されている少女。
全属性の魔法を操ることが出来るが、それを言うと大変な事になりかねないので基本は三属性のみと設定しており、他の魔法や超能力については技術面で作り出した魔法と誤魔化している。
カリーナ・ジル・ベールドイド(10歳)
ベールドイド王国の第二王女で王位継承権は第4位のお姫様。本作のヒロイン
T143 B71 W50 H78
赤髪ショート、黄色の目で目尻が垂れていておっとりとした雰囲気を出している美少女。
王族の中では末っ子であり、王位継承権も最下位であり、兄弟に兄が二人と姉が一人いる。
王位継承権は低いが、八方美人の性格であるため、沢山の人から愛され、信頼されている。
だが、現段階で王位を継ぐ事は全く考えていないのだそうだ。
追記事項
忙しかったため、約1ヶ月ぶりの投稿になってしまいましたが、まだまだ書き続けて行くのでよろしければ楽しみにしてください。
後、今回からアリーシアの容姿や特徴を出して行きたいと思っていますのでよろしくお願いします。
世界最強の超能力者、異世界でも最強になる! 黒鯨魔純 @masumi9451
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