第7話 魔物退治

あれから1年半が経ち私も5歳になり、我が父、グレイスとの稽古も毎日、日課の様に行っているのだ。

そして、私は超能力が使える事を知ったため、あれ以来、装甲能力と言う防御に特化した能力を使い稽古をしていた。

え?何でそんなもの使ってるのかって?だって木剣でも当たれば痛いんだもん!その代わり剣技自体は地力で鍛えているのだ。


「アリー!強くなったんじゃないか!」


と、そう言いながらグレイスは横薙ぎに木剣を振り、それを後方に素早く飛んで交わす。


「よっと!」


直ぐ様グレイスの右斜め前に駆け出して詰めて行き左斜め下から右斜め上に一閃を入れる。


「はぁぁぁっ!」

「ふん!」


カァァン!


それをグレイスは詠んでいたのか、咄嗟に木剣を逆さに持ち替えて受け止め、力付くで跳ね返されるが、直ぐに木剣振り下ろす。


「やぁぁぁっ!」

「ぐっ!」


カァン!


グレイスもそれに反応して木剣をまた受け止める。

そして、足元が緩くなってるのを感じ、直ぐに足払いをかけに行く。


「なに!」


すると、グレイスは体制を崩し、地面に転がり、私は、グレイスの顔に剣先の向けると、グレイスは手を挙げ降参の意志を示した。


「参った!父さんの負けだ!」

「やった!やったぁ~!」


と、今まで一度も勝てなかったグレイスにようやく勝てたのだ。


「いやぁ〜それにしても随分強くなったな!もう父さんよりも強いんじゃないのか?」

「お父様、そんな訳無いでしょ」

「ん?何でそう思う?」

「だってお父様は今までわざと隙を作ってましたし、それでもなかなか決定打を打たせてくれませんでしたし、今回のもようやく隙をついてやっとの思いで勝てたに過ぎませんもの」

「何だ!気づいてたのか!ハッハー!それでこそ我が娘だ!」

「今度からは隙を作らずにお願いしますわ!お父様!」

「そうだな!ここまで出来るんだったら今度は隙を生み出す特訓に替えなければな!」

「はい!それではまたよろしくお願いします!お父様!」

「あぁ!ふむ」


すると、突然グレイスが顎に手を当て、何か考えこむような仕草をした。

そして、何か思いついたかのように咄嗟に立ち上がった。


「アリー!そう言えば魔物の事は知っているか?」

「はい!以前、書斎の方で魔物についての生態や特徴などの資料に目を通したことがあります!」

「そうか!じゃあ明日から魔物の討伐の経験も積ませようと思ってるんだが一緒に行ってみるか?」

「はい!是非お願いします!」


と、私は初めての魔物の討伐に行くことになった。

この世界には魔物が存在しており、普段は大人しいようだが、人を襲ったり、攫ったりする魔物もいるそうで、特にゴブリンやオークはメスがいないため人間の女性を孕袋として攫うのだそうだ。

そして、今回討伐しに行く魔物は初心者には持って来いのゴブリンの討伐である。

ゴブリンは一匹一匹だけならそれほど強くはないが集団になれば連携を駆使して襲って来るのだ。

そんなゴブリンをこれから討伐しに行くのだ。


「よし!防具も着たし、ポーションも持ったし、食料に水も持ったな!」

「はい!お父様!」

「それじゃ行くぞ!」


そして、私達は門を出て森の中へ入って行く。

そう言えば、この門を出たの初めてだな。

今まで一度もこの門を通った事が無かったため私にとってこれが初めての外の世界と言うことになるのだろう。

そして、森の中をグレイスと二人で探索をしていると12時の方向から殺気を感じた。

それは何とも禍々しい殺気だった。


「アリー!足下に気をつけろよ!転けると魔物の格好の餌になってしまうからな!」

「はい!」


どうやらグレイスの方はまだ気付いて無いようだった。

私は、前世の経験があるから殺気を感じることに関しては息をするようにわかるのだがグレイスはまだ殺気を感じていないようだ。

折角なので透視能力でどんな敵か見てみることにした。

すると、そこにはあのゲームやマンガにアニメなどで出てくる人型の魔物の正体がそこには居た。


(ゴブリンだ!)


そして私は、小声でグレイスに伝える事にした。


「お父様、この先に何かいませんか?」

「ん?ん~~お、いるぞ、こちらの様子を伺ってるようだな」

「それにしてもよく分かったな、お父さんより速く見つけ出すとは見事だ」

「えっ!え〜まぁたまたまですよ」

「そうか?」


どうやらそのゴブリンは一体だけのようなので私が相手することにした。

そして、ゴブリンの居る方へと歩を進めると、ゴブリンがまるで意を決したかの様に飛び掛かってきた。

それを能力を使って分かっていた私は、慌てること無くゴブリンに目掛けて一閃を入れ、真っ二つにする。


「はぁ!」


すると、ゴブリンが黒い煙の様になって消えた後、その場にはまるで宝石の様な物がそこにはあった。

そして、拾い上げて見てみる。


「お父様、これは何ですか?」

「それは魔石って言うんだ!」

「魔石ですか?」

「あぁ!魔物を倒すと魔石が出てきて街のギルドへ持って行くと換金してくれるんだ!」

「そうなんですか!?」

「あぁ!だから今日はゴブリンを倒すだけ倒して出てきた魔石は街に行って換金し、その換金した分をお前にお小遣いとして渡そう!」

「えっ!良いのですか?!お父様!」

「あぁ!だから今日は頑張れよ!」

「はい!」


そうして私は懸かってくるゴブリンをすべて一撃で倒していき、気づけば50体程討伐していた。


「驚いた!随分ゴブリンを討伐したな!」

「はい!何だかすごく楽しかったです!」

「そうか!それなら良かった!それじゃ今から街へ出て冒険者ギルドへ向かうとしよう!」

「はい!お父様!」


と、そう言って人生初の街へ出て行くことになったのだ。

早速着替えて人生初の馬車に乗り、我が領地の街へと繰り出すのであった。

どんな街なのかこれからすごく楽しみで仕方ないのである。

そして、約10分程経った頃、街が見えてきた。

関所に着いたあと、門番に辺境伯の証のアミュレットを見せると直ぐ様に通してくれた。


「さぁ!街に着いたぞ!」

「おおおぉ!」


そこは活気盛んで、かなり沢山の人が行き来しており、市場なども沢山の人混みで溢れかえる程であった。


「そう言えば、アリーは街に来るのが初めてだったな!」

「はい!初めて来ましたが、すごく賑わっていてとても楽しそうです!」

「そうだろ!ここは首都に次いで2番目の街だからな!」


そうやってこの街について色々話を聞いていると馬車が止まる。


「到着致しました」


どうやらギルドに着いたらしい。

そのギルドは冒険者ギルドであり、魔物の討伐や捕獲した物はここで換金し、そのままその人の報酬として取引される事もある。

そして、私達は中へ入り、受付のところまで向かうと受付嬢さん達が一斉に上がった。


「これは領主様、お久しぶりでございます!」


と、受付嬢のトップらしき人がそう言って頭を下げると他の受付嬢まで頭を下げた。


(うわぁ~凄い!統率が取れてる)


と、私は思った。


「ところで領主様、今回はどのようなご要件で?」

「あぁ!実はうちの娘に討伐の仕方を教えていたのだがゴブリンを50体も倒したんで早速換金しに来たんだ!」

「え?今何と?」

「だからうちの娘がゴブリンを50体も倒したんだよ!」

「えぇっ!こんな小さな女の子がゴブリンを50体も!!」

「そうだ!凄いだろ!」

「領主様が手を貸して倒したんではなくて?」

「あぁ!すべてこの子の力でだ!」


と言うと受付嬢の人達は絶句していた。


(あれ?そんなに不味かったかな?)


「……分かりました。只今換金して参りますね。」

(うん!諦めたね!)


まぁ、領主様の言う事だし嘘を言っている訳ではないと言う事は理解しているのだろう。

すると、受付嬢の人が硬貨の入ったトレーを運んで来たのだ。


「お待たせしました。ゴブリンの魔石は一つ銅貨3枚ですので50×3で銀貨1枚と銅貨50枚になります。」

「ありがとう!」


この世界では、銅貨100枚で銀貨が1枚、銀貨が100枚で金貨1枚となっており、銅貨一枚で飲み物を一つ買える価値があるのだ。

そう考えると、子供のお小遣いにしては多すぎると言って良いのかも知れない。

銅貨一枚で飲み物とするならば、前世では100円で飲み物が買えていたのだが、100円で計算すると銅貨100枚で10000円相当の価値があるのだ。

そして、銀貨と銅貨を50枚を受け取るとグレイスはこちらへ歩み寄って来た。


「ほら!アリー!手を出してごらん!」

「はい!」


と、言われるがままに手を差し出すと、グレイスは銀貨と銅貨50枚を手渡して来た。


「アリー!これがお前の小遣いだ!冒険者は皆、今日みたいな事をして稼いでいるんだよ!」

「はい!ありがとうございます!私もこれからもっともっと魔物を倒して頑張って行きたいです!」

「そうか!じゃあこれからも倒せそうな魔物を選別して経験を積んで行こう!」

「はい!お願いします!お父様!」

「良し!じゃあ帰るか!」

「はい!」


そして、冒険者ギルドを後にした私達は、自宅である屋敷へと帰路に着いた。


「今日は楽しかったです!お父様!」

「そうか!また明日からも今日の様に魔物を討伐してお小遣いを稼いで行こう!」

「はい!お父様!」


それから、私は魔物の討伐をするようになり、自分の剣技を磨くために日々精進するのであった。

勿論、魔法も合わせて日々向上していきたい。

あ!ちゃんと超能力の練習も忘れてないからね!



追記

年末で少し忙しく、投稿がかなり遅れましたが、それでも、ちゃんと投稿していきたいと思っています。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る