第5話 世界情勢

あれからという物、私は日々魔法の練習を積み重ねていき、あっという間に3歳になったその頃、目出度いある出来事が起きたのだ。

なんと、この私に兄弟が出来たのだ!どうやら身籠ってまだ5ヶ月だそうだが、後、半年もすれば生まれるだろう。

前世でも妹みたいな後輩も居たが、本物の兄弟が出来るのは実に嬉しい事だ!だが、この世界ではまだ妹なのか弟なのかは生まれてくるまでは分からないため、それまでのお楽しみとしておこう。

それはそうと、そろそろこの世界の情勢や地理等も調べてみたくなって来たため、私はまた書斎へと足を運ぶ事にしたのだ。


「さて、取り敢えずはここが何処の国でどんな場所なのかを調べないといけませんね」


そう言って書斎の前に着き、扉を開け中へと入って行き、早速この世界の地図を捜索することにした。


「ん~~、あっ!これかな?」


と、そこには大きい紙で巻物のようにぐるぐるに巻いた地図が1m位の本棚の上に並べてあった。

そして、その地図を手に取り、紐を解いて紙を拡げた。


「へぇ~、この世界の地図はこうなってるんだ」


そこに書いてある地図を見てみると、この世界には約120カ国が存在しており、私が居る国はベールドイド王国と言われる大国であり、その国のドゥラット領に属しており、ベールドイド王国の中でも東側に位置していた。

その他にも、首都はベールドイド領で大体中央の辺りに位置していて、北側にはアルト領、西側にはマルタ領、南側にはオルタール領の計5つの領地で構成されていた。

隣国では3つの国で囲まれており、北東の位置にヨールド帝国、南側にスタッド共和国、北西側にカグラツ王国、南西側は海岸となっていた。

その他にも沢山の国々があったが全部を説明するのは面倒なので割愛しよう。


「なるほど、各国はこの様な分布になってるのですね」


一先ず大体の地理は理解出来たので今度はこの世界の情勢について調べなくてはならないので今度は情勢関連の資料を捜索することにした。

すると、この世界の歴史に纏わる書物が数冊出てきたのだ。

そして、その書物を一通り読み漁り、無論1日では読み終えることは出来ないため、何日もかけてざっと1ヶ月が過ぎた頃、ようやく読み終える事が出来た。

どうやらこの世界には私達人間以外に多数の種族が存在しており、何と!エルフや獣人がこの世界に存在していて、魔族も存在しており、無論、魔王も居ると言うのだ!


(一度で良いから会って見たいなぁ~、特に獣人に!あの耳をモフモフしてみたいなぁ)


あと、魔族に関しては最近魔王と人族との対談で平和条約を結び、魔族との共存を実現したそうだが、魔族による人間への事件は後を絶たないのだそうだ。


(多分、これ人間側もそうだと思うんだけどなぁ)


どっちにせよ実際に平和になるのはそう簡単ではなく、お互いがお互いの意見や考え方をお互いが理解し合わないといつまで経っても魔族と人間は相容れないままだろう。

だが、その子供達はまた違う。何故なら魔族の子供が人間の子供と仲良くなればその子供達が大人になる頃には共存が実現しているだろう。

その時はみんな一緒の学校に通ったり、勉強したり、食事したり、遊んだりして魔族と人間の蟠りがいつかは無くなって行くのであろう。

前世の世界でも黒人と白人の差別問題があり、いつの間にかその問題も薄れていっていたし、この世界での魔族と人間も私の前世と同じ様な境地に立っている。

完全にとは行かないだろうが、同じ様に考えたり、話したり、食事したり、遊んだり、寝たり出来るんだと言う人間が持つ魔族の意識も然り、魔族が持つ人間の意識がこれを通じてお互いがどういう種族か知ることが大事だと思う。


(まぁ、時が解決してくれるだろう)


そして、この世界での暦も知ることが出来た。

今現在の日付は神降暦1453年5月10日だそうで、神降の意味は、神が下界に降りてきた年から数えられているそうだ。


「神って存在してるの?!ていうか降りてきたの?」


どうやらこの世界では神が存在しており、普段は天界に住んでいるそうだ。

神降暦が使われてから神は一度も下界に降りて来ていないらしい。


(降りて来てないのなら居ないのでは?)


そう言えば、前世の世界はイエス・キリストが処刑された後に何処かの街でイエス・キリストを見かけたからイエス・キリストが生き返ったのでは?となり、イエス・キリストは救世主だと崇め出したことで西暦が作られたと言う話だったと思うが、西暦の生まれ方も何だかいい加減な気がしてきた。


「取り敢えず、この世界の現状については大方理解出来たかな」

(それにしても、エルフや獣人がいるのであれば是非ともお友達になりたい!)


まぁ、その内大きくなればいつか会うことはできるだろう。

と、早く外に出られるくらいに身体が成長して欲しいと願うばかりであった。

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