後編の海

私は私の恋人を愛していると思う。

私が出会って、告白したわけではない。


機械が決めた恋人だけれども私は彼を愛している。


私の彼氏は坂田正太郎。

公務員を目指して勉強を続けている偉い人。


そんな私は彼と釣り合う人間なるべく日々努力中。

料理の勉強とかもやってみたけど彼の方がうまくできちゃうし、勉強も彼の方がうまくできる。


人付き合いもうまくて、正太郎君が家の里帰りについて来ておばあちゃんと仲良くなったりできる。


私はそんな正太郎君に依存している性格を直すために一人旅に出ることにした。

行き先は鎌倉。


朝早くに家を出て、のんびり鎌倉を目指す旅をするために旅行雑誌を眺める。

「絆、帰ろ。」

一組の教室からそこそこ距離のある五組まで呼びに来てくれる。

「ちょっと待ってて。すぐ行くから」

「分かった。」

旅行雑誌が出しっぱなしになってたからそれを片づけて正太郎君に声をかける。

「お待たせ~。準備できたよ~」

何かを考えていた正太郎君に声をかける。



――――一回、寝てたら鎌倉に行く日。

学校がある日って言うのが信じられないほどゆっくり起き上がり、一人旅に向かう。

今日は英語の小テストがあったけど……正太郎君は何点取れるんだろう。


結局、考えることは正太郎君のことなんだな、私は。


お昼くらいになってようやく鎌倉に着いた。


そして私は機械が決めた運命の力。

私たちがつかみ取った運命の力を身をもって知った。


平日、学校をバックレてここにいる。

絶対に知っている人とは出会うまいって思っていたのに知り合いに会った。

それも今通っている学校で一番の知り合い。

正太郎君に。



「なんでこんなところにいるの?」

「そっちこそ。学校はどうしたの?」

「私は……休んじゃった……。」


結局一緒に鎌倉観光をして、一緒に正太郎君の親に謝った。

私の一人旅は失敗しちゃったけど……楽しかった。

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たとえば、才能に振り回される世界の話 牛寺光 @511150380031011075

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