信号のない交差点
チーム織幸
◆一のゼロ◆プロローグ
とある街の十字の交差点。
住宅街の中にある交差点。
割と大きめの主要道路の筋。
しかし、ここには信号がない。
付いているところと付いていないところがあり、ここは付ける程でもないんだろう。
信号の付いている交差点よりも、確かに車は少ないように感じる。
だけど、通れない時は本当に通れない。
そこがポイントだった。
僕にはずっと見慣れてきた交差点だ。
何てことない、一般的な交差点。
だが、この交差点には不思議なところがあった。
それは時々僕の夢に出てくることだ。
えっ?
交差点が不思議なのではないって?
何て言ったらいいのか、上手く説明出来ないけれど、とにかくこの交差点が何度も夢に出てくるんだ。
最近の話じゃない。
子供の頃からだ。
どう考えても交差点の神様か何かに気に入られているようにしか思えない。
さて、夢の話を聞いてくれるかい。
車の通らない交差点の真ん中で寝そべってみたり、下手くそなダンスを踊ってみたり、まるで世界が自分だけのように振る舞ってみても、とても自由でいられるんだ。
どうってことない夢さ。
しかし、夢の最後には必ず決まって女性が現れる。
誰だろう?
何をすることもなく、ただこちらを見ている。
顔がはっきり見えないのも少し残念だ。
そうしていると、交差点には車が通り始め、僕はまた歩道に戻っていて交差点を通れなくなる。
ここでいつも夢は終わる。
この夢をたくさん見てきた。
覚えていないときもあるし、鮮明に覚えているときもある。
そして決まって思うこともある。
あぁ、人の心の交差点もまた、通れない時は通れないんだな。
何故こう思うのか、これがどういう意味を持つのか、自分でもよく分からなかった。
気にしないことが肝心かもしれないな。
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