第12話 五月一日待ち合わせ
五月一日午前9時、龍也は香織との集合場所に着いていた。
☆
スマホのロック画面で時間を確認する。
9:03、香織との集合時間は一時間後の10時の予定だ。さすがに来るのが早すぎたか、仕方がないだろだって初めての友達と休日に遊ぶ約束でしかもその相手が学校で一番の美少女と言われているあの篠崎香織だぞ!仕方ないうん仕方ないんだ。というか誰に言い訳しているんだ俺は。
それにしてもこんなザ・モブな俺じゃ釣り合わない高嶺の花こうして一緒に遊びに行くなんて夢だろこれ。いや実はこれは夢で...っ痛い。と確かめるために思い切り頬をつねってみたが痛かった。今俺がいるのは夢ではなく現実らしい。
あれこれ考えているうちにロック画面の時刻は9:20と表示している。集合時間まであと40分ほど特に何もすることがないのでスマホでネット小説が読めるアプリを開きお勧めと紹介されている小説を読み進める。
読み進めること約10分
「お待たせいしましたか。龍也君、ごめんお待た?」
香織の声が聞こえたのでスマホの画面を閉じポケットにしまう。
「いやさっき着いたとこ」
「よかった」
「っ!!」
目の前には白色のスカート部分には薔薇のような花の刺繍が施された長袖のワンピースの上に黒色のジャケットを羽織り、薄く化粧された美少女、香織の姿があった。
普段の学校生活見られないお洒落をした香織の姿に見惚れてしまっていた。
「龍也君、どうかした。この格好変...かな...」
「まさか、似合ってる。とっても。見惚れてしまうほどに可愛い」
と俺が香織を褒めると香織はこれまで以上に顔を赤くして固まってしまった。
「どうかした」
香織は俺の声でハッとして慌てて応える。
「だ、大丈夫、ちょっとびっくりしただけ」
龍也の不意打ちに一瞬怯んだ香織はそう言っていつもの調子に戻る。
「龍也君もその服に合ってる、かっこいい」
今なんて言われた俺、えっ、かっこいい、誰が俺が?いやいや、そんなわけ、だとしたら聞き間違いか、それしてはかっきり聞こえた。そうだ服がだ、俺じゃなくそう服がだ。
「龍也君どうしたの?」
「そ、それよりそろそろ電車のくる時間だ」
「ほ、本当だ行こ龍也君」
とカウンターをもろに食らった龍也は香織に腕をひかれ駅のホームに向かう。
***
無事に目的地の駅へ向かう電車に乗り込んだ。
「楽しみだね龍也君」
「そうだね、俺も楽しみだな香織との映画」
「そ、そうだね」
「ところで何の映画見に行くの」
「えっとね着いてからのお楽しみ」
「じゃあ楽しみにしとく」
と周囲の視線を感じながら香織とたわいのない話をしていると目的地に到着した。
「到着しました京都駅~」
「すごい人の数だな」
「そうだね。気を抜いたらはぐれてしまいそう」
「じゃあ、こうすればはぐれないね」
そう言って香織は俺の手を握る。
「えっ、あ、そうだな」
と平静を装ったが心臓の鼓動はスピードを上げ今にもはじけそうだ。
「龍也君こっち」
と香織は俺の手を引いて駅の出口へ向かう。
駅を出た俺と香織は映画館が併設されている大型商業施設に向かい歩みを進める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます