第7話 学校一の美少女と下校

 今日の放課後、龍也は香織と一緒に帰ることになった。

 ラノベや漫画なら同性同士や男女複数人の友達同士での下校はよく見る。

 だけど男女二人きりの下校は恋人フラグのことが多い・

 だが俺はラノベや、漫画の主人公ではない。そう俺は数いる人の中ではモブでしかないので都合よく学校一の美少女とフラグが立つわけがない。

 そう、俺は物語に出てくるただのモブにすぎない。

 これは、香織がいつもぼっちな俺を心配して誘ってくれているのだ。

 そうだ、そうに決まっている。少々急接近しすぎではと思うが、俺は友達がいたことがないから知らなかっただけで、実際の友達の距離はこのくらいなのかもしれない。

 放課後の人生初の友達、香織との下校のことについて考えすぎて五限と六限目の授業の内容が全く頭に入らなかった。


 帰りのHRホームルームを終えて迎えた放課後


「たっ龍也君、一緒に帰りましょう」


 香織が恥ずかしそうに龍也に話しかけた。


「あ、ちょっと待ってて」


 放課後の友達との初めての下校のことで頭がいっぱいで帰る準備をすっかり忘れていた龍也は慌てて帰る準備をする。


「そんなに慌てなくてもいいよ別にこの後急ぎの用事はないんだし」

「そうだね、気を使ってくれてありがとう」

「友達なのだから当たり前です」

「そうだね。ありがとう」

「うん」


 数十秒後、準備を終えた龍也と香織は昇降口へ向かった。

ついた

 靴を履き替えた龍也たちはが使を出帰路についた。


「今思ったんだけど」

「はい。なんですか?」

「香織はなんで俺に敬語なの?」

「それは、なんででしょう?」

「香織が嫌じゃなければ、渡邊さんや赤城さんと話しているときみたいにため口で話してくれないかな」

「うん、龍也君がそう言うならそうするよ」

「ありがとう」


 と龍也はにこりと香織の方に笑顔を向ける。


(あーっ、何その不意打ち、かっこ可愛い何それずるいよ~)


 香織が龍也の不意打ちに思わず明後日の方に顔を向ける。

 香織がその反応に不安な顔で香織を見る。


「ごめんやっぱり俺の言うことなんて聞かなくてもいいから」

「ごめん、そういうことじゃないから龍也君は気にしないで」

「そそう、ならいいんだけど」


 龍也は少し釈然としない様子で返す。

 それからしばらく沈黙が流れる。


 数分歩きそれぞれの家に続く分かれ道が近づく


「もうそろそろ分かれ道だね」

「うん」

「そういえば龍也君って今週からのGWって空いている日ある?」

「俺は予定何もないから空いてるよ」

「ふーん、そうなんだ」

「それがどうかした?」

「いいや、何でもないよ。また明日からも一緒に帰ろうね」

「えっ」

「じゃあまた明日」


 そう言って香織は家に続く道を方へ向かった。


(香織はなんで俺なんかにあんなに優しくしてくれるのだろうか?)


 そうして龍也も家に向かった。

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