第5話 初めての友達
神田達也は昨日初めての友達ができた。
その相手というのが入学以来学校中のカーストトップの男子生徒が告白しことごとく振り、男の関わりも皆無の皆の憧れの美少女、篠崎香織なのだ。
(中学から高校までで初めてできた友達ってだけでも緊張するのにあの篠崎さんなのだ、こんなモブ顔ぼっち陰キャな俺では到底釣り合うわけがない、友達になった以上最低限身だしなみだけでも整えてから登校したければ...)
龍也はいつもより一時間早く起き朝食と昼食の弁当の準備をし制服に着替え髪のセットを始めた。
セットとは言ってもこれまでセットなどあまりしてこなかったためネットで調べながらヘアセットを進める。
慣れていないせいかかなり時間を使ってしまいセットが完了したのは登校完了時刻まであと十五分になってしまった。
それから急いで歯を磨き慌てて家を飛び出した。幸い龍也が住んでいるマンションは学校に近いのでなだそれほど焦らなくてもよい時間なのだが、いつも登校完了時間の三十分前には学校についていた龍也からすると一大事のことだった。
龍也が教室にたどり着いたのは家を出て約5分後だった。
荒れた息を整え教室に入る。
「おっ、おはよう龍也君」
「香織おはよう」
ざわざわ
(もしかしてあの二人...)
(神田君今日珍しくヘアセットしてるし)
(マジか嫉妬とかよりも尊い...尊すぎる)
(やっぱ神田か~俺では太刀打ちできねー)
(直視できないあのカプを直視してしまったら私、尊死する)
☆
教室がざわついている。
どうせ俺みたいなモブが香織みたいな学校のアイドルとも言える彼女に関わってほしくないという話をしているのだろう。気持ちは分かるが、香織は俺にとって初めての友達なのだ。そう簡単に諦められるはずがない。
だが香織の方はどうなのだろうかこんな俺と絡んで迷惑をかけてしまったらと考えると距離をとった方がいいと考えてしまう。
これ以上話していると本当に変な誤解をされそうなので俺は席に向かった。
自席に着くと隣の席の方から視線を感じたので「どうかしましたか?」と尋ねると隣の席の女子生徒は顔を真っ赤にして明後日の方を向いてしまった。
香織に仲良くしてもらっただけで勘違いしてこんなモブがヘアセットなんて背伸びしすぎたかな。
明日はいつもどおりの髪型で来よう...
昼休みいつものように昼食を食べ終え、自席でラノベを読んでいるとピロンとスマホの通知が鳴った。
普段、俺にラインを送ってくる人など実家にいる両親くらいなのでスマホの画面を見て俺は固まった。
香織『今日一緒に帰りませんか?』
という通知が来ていたのだ
えっ何かのドッキリ?
俺たちは昨日友達になったばかりなのだ
そんな俺と下校?あの篠崎香織が?
龍也『俺は大丈夫だけど、香織は俺なんかでいいの?』
と率直な疑問を問いかけた
香織『何を言っているんですか。
私たちはもう友達じゃないですか。そんなの気にしなくてもいいと思います』
『大丈夫スタンプ』
そうだ俺たちは友達なんだよな。
友達がいたことがなかったので友達との距離感があまりわからないけど香織がいいっていいのなら気にすることはないだろう。
龍也『ありがとう。今日も特に何も予定ないから大丈夫』
香織『了解です。今日も教室で待っててください』
龍也『分かった』
☆
ラインのやり取りを終えた龍也は再び読んでいたラノベに目を向けるが内容が頭に入ってこないので次の授業まで少し仮眠をとることにした。
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