第3話 美少女との再会

「あの神田君ちょっといいかな」

「……」

「えっとさっき目あったよね!」

(くそっ)

「ん?何か用かな篠崎さん」

「いやその急にこんなこと頼むのも変なんだけど眼鏡とってもらってもいいかな?」


 龍也は学校では常に伊達メガネをかけている。

 理由は入学して三日間誰とも話せなかったのでイメチェンすれば話しかけやすいのではと思いかけているのだが効果はなかった。逆に隣の席女の子にえっ誰という反応をされてしまったが、また眼鏡を外すと同じ事が起きそうなのでその後かけ続けている。


「まあいいけど」


 龍也と香織はクラス中の視線を集めていた。

 龍也が眼鏡を外すとクラス中がざわめき始めた。

 クラス中から『眼鏡外しても、かっこいい』『ヤバイケメン過ぎ』などという囁き声が聞こえる。


(なんか言われてね、まあどうせ眼鏡外してもさほど変わんね、モブ顔とでも言われているのだろう事実なのでまあいい)


「やっぱり、神田君」

「はい」

「今日放課後時間ある」


 香織が顔を真っ赤にしてそう聞いてくる。


「まあ帰宅部だし時間はあるけど」

「よかった、じゃ放課後呼びに来るから教室にいてね」


 と香織が言い席に戻ると授業開始のチャイムが鳴りクラスメートたちが自席に戻りいつも通りの日常が始まる。


***

~香織の昼休み~

 香織は友恵と千夏と昼食を共にしていた


「で、かおりん朝のあれは昨日の助けてくれた人って神田君ってことでいい?」

「そうだと思う、昨日は神田くん眼鏡かけてなかったからすぐ気づかなくて」

「「神田君って休みの日は眼鏡かけてないんだ」」

「そうみたい」

「「へーそうなんだ」」

「それでかおりんちゃっかり神田君を放課後デートに誘ってたよね」

「そうゆうのじゃなくて」

「ほんとかな?」

「本当だって。ただ昨日のお礼がしたいだけだよ」


 香織は頬を赤らめながらそう言って卵焼きをほうばった。


「うん。今日はそういうことにしといてあげる」

「ありがと」

「そうですね。初めて香織さんから好きな異性に関するお話が聞けましたし。ふふふ」

「そうだね。それにしても神田君か競争率高そうだからかおりんがんばれ!まあ、かおりんがアタックしておれない男の子の方が少ないだろうけど」

「もうそんなんじゃないから二人ともからかわないでよ」


 香織が顔を林檎のように真っ赤に染めながら否定する。


(本当にそんなんじゃないし...考えたらちょっと胸のあたりがキュッと締め付けられる感じになるだけだからこれは助けられて恩を感じているだけ、それだけだから)


 その後香織たちは他愛の無い話をし残りの昼休みの時間を過ごした。


***

 放課後龍也は香織に言われたと通りに教室に残り、自席に座っていた。


「よかった約束守ってくれたんだありがとう神田君」

「いやいやした約束は守るって」

「そうだよね」

「で今日は何か用事でもあったの篠崎さん」

「あっそうだ改めて確認するけど昨日男の人たちに絡まれているところを助けてくれたの神田君だよね」


 香織は確信しているというまっすぐな眼差しで龍也を見る。


「そ、そうだけど別に気にしなくてもいいよ俺は俺のために篠崎さんを助けただけだから」


 嘘は言っていないあの時彼女を助けなければ俺は彼女見捨てた自分を決して許すことができなかっただから助けた、その彼女がたまたま篠崎さんだっただけだ。


「それなら神田君、私も私のためにあなたにお礼させて、だめかな?」


 篠崎さんが上目遣いでこちらを見て頼みごとをしている。それを前にして断れる男がいるだろうかいや否だ。いるはずがい。


「わ、分かった」

「じゃあ、これからちょっと付き合ってね」


 と篠崎さんの表情が一気に明るくなる


「それじゃ行こう」


 そして龍也の香織との人生初の放課後デート?が幕を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る