第65話 ゾンビ・パーティー開催1
〔“ゲリライベント” ゾンビ・パーティー開催〕
「「ゾンビ・パーティー?」」
グリムとフェスタは首を捻った。
突然始まった謎イベント。
二人は顔を見合わせると、急にゾンビがゾンビらしくない速度で駆けた。
「ゾンガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ゾンビが一匹襲って来た。
しかしグリムとフェスタは迎え撃つことにした。
〈死神の大鎌〉と〈戦車の大剣槍〉を構えると、ゾンビをバッサリ切ってしまった。
「「せーのっ!」」
「ゾンガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
ゾンビを一匹倒してしまった。
すると強烈な臭いが鼻腔を劈く。
体液が溢れ出し、グリムとフェスタに掛かりそうになった。
しかし大剣でガードすると、「ふぅ」と一息つく。
「危なかったー。あんなの掛けられたら臭いが取れないよー」
「そうだね。だけどこの臭い……」
「うっ! き、気持ち悪い……」
フェスタは口を押えて吐き気を催す。
グリムも嫌な表情をした。
そうだ。例えるなら……
「三角コーナー?」
「そんなレベルじゃないよー。うえっ、腐ってる。鼻がもげるってよく言うけど、本当にもげるよぉー」
フェスタが戦闘意欲を割いていた。
気持ち悪そうにしていて、背中を軽くさすってあげた。
すると気持ち悪そうな顔をする。本当に今から吐きそうだ。
「フェスタ大丈夫?」
「大丈夫じゃないけど、やらないとダメなんでしょ?」
「そうだね。大量にいるけど」
一匹を倒したと思って前を見てみると、そこには大量のゾンビが溢れていた。
みんな前傾姿勢になりながら、「ゾンガァ」と唸っている。
今にもこっちに来そうで、集団で波のように押し寄せる。
気色悪い光景だ。目が痛くて仕方ない。
「酷い光景だ。まるでパニック映画を観ている気分だよ」
「グリムはこの臭い平気なの?」
「ある程度はね。フェスタも慣れるために料理した方が良いよ」
グリムはフェスタの前に立ち、〈死神の大鎌〉を掲げて見せた。
ゾンビ達を一掃しに掛かるため、少しだけフェスタの下を離れる。
地面を蹴り上げ、一気に距離を詰めよると、インベントリから汚れても良い布を取り出しゾンビ達の前に被せた。
「そりゃぁ!」
ゾンビ達の姿が見えなくなる。
その状態で大鎌を振り捌き、ゾンビ達を一掃する。
体液が飛び散って鼻を劈く異臭で充満する。とんでもなく臭かった。
だけど布のおかげで体液を受け止められ、体に付着するのだけは遮った。
「ふぅ。とりあえず前列は一掃したかな」
「グリム、まだまだ後ろがいるよ!」
「見えてるよ。だから次だ」
グリムは大鎌を放り投げた。
ゾンビ一匹の額にクリンヒットしてぶっ倒れると、グリムは素早く飛び掛かりゾンビを仰向けで倒しながら周りのゾンビ達を回転切りで一掃する。
一瞬でゾンビ達は倒れていく。
如何やらHPはまるでないらしく、この調子なら一人でも戦えそうだった。
「二列、三列、四列!」
グリムはたった一人で戦う姿がフェスタにはカッコよく映っていた。
あまりの活躍にまるで舞うようだ。
フェスタはジッと見ているが、グリムに揶揄される。
「フェスタ、見てないで手伝ってくれないかな?」
「だってグリムがカッコいいからー」
「それは理由になってないよ。ほら、動けるなら動いてよ」
フェスタはしっかり叱られてしまった。
ムッとしたのも一瞬。確かにそうだと思い、膝を上げて無理矢理にでも立ち上がる。
大剣を構えると、グリムの背後に回り込んだゾンビを睨み、大剣を振り上げる。
「グリム、危ないっ!」
「えっ!? うわぁ」
振り返るとそこにはゾンビが居た。
けれどフェスタによって一刀両断されてしまった。
呆気ないと思ったのも束の間。顔にゾンビの体液が掛かり、気持ち悪くて倒れそうになった。
「フェスタ」
「危なかったね、グリム」
「そうだね、危なかったね……それならどうして下がるのかな?」
「えっ? だって、ほら、ねっ?」
理由になっていなかった。きっとグリムが臭うせいだ。
こうなったのも全部ゾンビのせいだが、フェスタもフェスタだ。
自分がやって置きながらこの態度は癇に障る。
そこでグリムもやり返すことにした。
「あっ、フェスタ!」
「うえっ? ぶはっ」
丁度よくフェスタの背後にゾンビが居た。
振り返った瞬間、グリムが瞬く間に倒してしまう。
すると体液がフェスタの全身に降りかかった。あまりの臭いに気を失いそうになるが、これは如何いうことかと怒りが沸々と沸く。
「ちょっとグリムぅー! 止めてよ、私まで……うはっ」
「ふふっ。お相子だよ」
グリムとフェスタは互いにゾンビ臭に包まれた。
このまま動き続ければもう臭いなって関係ない。
ゾンビに噛まれてないだけマシだと感じ、グリムとフェスタは波のように襲い掛かり、束の様なゾンビ達をドンドン振り払っていく。
次々襲い掛かるゾンビ達を倒して回るグリムとフェスタは気が付くと、襲って来ていたゾンビ達を倒し切っていた。
「ふぅ、お疲れ様フェスタ」
「お疲れー、グリム。ふはぁー、疲れたぁー」
グリムとフェスタは背中合わせに座り合った。
ちょっとだけ疲れたのは確かだ。
お互いに大剣槍と大鎌を隣に置くと、しばしの間休憩を取るのだった。
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