第2話 探偵さんたちは働きたくない。②

早速依頼人のところに向かうことになった。悠馬が運転するバイクで近場だと動くことが多い。

今回の場合依頼主が指定してきた場所は事務所から数キロ程度しか離れていなかったためバイクで移動している。

「それにしても君の背中はがっしりしていていいんだけど服の中に何を仕込んでいるんだい?ごつごつしていてくっつき心地が良くないんだが」

「.....お前今すぐその辺に放り捨ててやろうか?」

「やめて!?君の場合結構普通にやりそうだから怖いんだけど!」

「一応地面に着く前には回収してやるから安心しろよ」

実際にかなり鍛え上げられている悠馬であれば冗談で済みそうにないというところがさらに怖いところである。

大の大人さえも軽々と投げ飛ばせてしまうがゆえにできる発言ではあるものの失敗すれば二人とも大けがするというなかなかにリスキーな発言だ。

「だからと言ってこんな美少女を道路に投げ捨てるというのはどうかと思うんだが!?」

「じぶんで自分のことほめたたえれているうちは元気な方だろ。安心しろ。死にはしないしお前は顔がぐしゃぐしゃになってもその頭があるから問題ない。生活して稼ぐくらいならできる。....たぶんな」

最後の最後に自信なさげにつぶやく。当然バイクに乗っていて風の音がするとはいえここまでバイクの上で後ろから探偵さんが抱き着く形になっているのだ。

それほどまで距離が近かったならほとんどの声は聞こえる。

「なんでそこ最期自信なさげになるんだよ!せめてそこは嘘でも僕は生きていけるんだって言えー!!!!!」

「はいはい、すごいすごい。」

「ムキー!!!!!」

頭がいいはずの天才探偵様が聞いてあきれるようなやり取り。

本当にこれが天才といわれる探偵なのか疑いたくもなるが事実である。

馬鹿と天才は紙一重というがそれの極論版だと考えればまだ理解が追い付くだろう。

そんなこんなで漫才のようなやり取りをしているうちに待ち合わせ予定となってた場所にたどり着く。そこは...

「わぁ...ずいぶんと大きめのレストランだね...。こんなとこくるの久しぶりかも。日本にもこんなところあったんだね」

「それに関しては同意だ。一応最低限の服装は整えているにいるんだがボディーチェックがあるかどうかだけ本当にめんどくさい。」

「本来はあるはずなんだけれども今回は貸し切りみたいな感じだからその辺は問題ないってー」

「それはよかった」

(いろいろと隠さなきゃいけないものもあるしな...)

心の中でそうつぶやく悠馬。実際あんまり人目につかない方がいいものだっていくつか持ってはいる。そりゃあ荒事になることだって少なくはないわけだし(本来普通の探偵業を営んでいる人はそんなに荒事にならない)

それに悠馬は助手という名目上でついて言っているもののほとんど護衛や荒事担当という実態なのでそれなりに身の危険を感じる場合に使うようなものも持っている。

それに一応二人とも高校生という年齢であるのに高校にほとんど通わずに済んでいるのも特例措置として認められているというのもある。

そう会話しながらも入り口に立っている警備員とお店のスタッフに誘導されながら中に入っていく。

それなりに豪華なシャンデリアや絵画、壺などが置かれているもののそれらはあくまで主役ではなくその空間をより良いものに引き立てるように置かれていて主張が激しくない。

なかなかに優秀な人が中の飾り付け等をやったのだろうと少しため息をつきながらあたりを見渡してふと自分の行動がその空間に見合わないと思い緩んでいた表情を引き締める。

そして相方の探偵様の方を見ると.............

思いっきり目を輝かせて周囲を見渡していた。

今にでもスキップをしそうな様子であたりを見回している相方を見てまたため息をつく。

そのまま頭を小突いて少し冷静にさせる。

「痛い!ちょっと何するんだよ悠馬!」

「うるせぇあからさまにテンション上がりすぎだ。.....というかお前こういうの好きだったっけ?」

少なくとも悠馬の記憶にある限りこの少女はこういったものに特段興味を向けているところが無い。

「べっ、別に僕がこういうのに興味持ってたら何か悪いことでもあるのかい!?」

やけに焦っているように弁明する探偵様。心なしか汗をかいているようにも見える。

「おーいどうした?」

「別に!?ただ最近結婚式とかそういうのを見ていいなーっておもってここの飾りとかがちょっとそういう雰囲気に似ててちょっといいなーなんて思ってないんだからね!?」

「................あーそういう」

なぜか珍しくこういうところを見たせいで少し違和感を感じたもののよく考えてみればこの少女も高校生。それなりに年頃の女の子らしい考えもあるんだと少し安心もした。普段からあまり学校にも行っていないため友人も少ないのでいろいろと心配にもなる。

悠馬自身はいろいろと知り合いや友人もいるのだが....。




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というわけで二本目です。

探偵ちゃんがボッチということがよくわかりました。

一応完全にボッチというわけではないのですがお友達はすくないようです。

あと探偵ちゃんの名前が出てないのはわざとだからご安心を。

一応名前考えてはいます。.....本当ですよ?

それでは次回には名前が出るかと思うのでおたのしみにー。

ついでにハートとお星さまください!






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