探偵さんは今日ももどかしい。

泡沫 黄泉

第1話 探偵さんたちは働きたくない。①

才色兼備。この言葉は彼女のためにあるというものもいれば、天は二物を与えずという言葉を否定するだという。

つややかな黒髪とまるで人形のような整った顔立ち。

そして探偵として活動しているが故の特別な才能。

純粋な知識や頭脳だけに飽き足らず身体能力も人並外れておりまさに神に愛されたかのような天才。

高校生ながら世界中で活躍する探偵で助手とみられる青年と一緒に世界中を飛び回っているらしい。


というのもすべて本当のことで間違いではないのだがこれらの噂の一面だけでは語弊が多い。



「ねぇ、悠馬ー?」

「あぁ?なんだよ急に」

探偵が助手の名前を呼びそれに対して答えるように不機嫌そうに眼付きの悪い青年が答える。

「なんで君はいつもそう喧嘩腰なんだよ...。そんなことはさておき」

探偵は少しおびえながらソファーに深く沈み込みけだるげにつぶやく。

「今日の依頼ってなにかあったっけ?」

この探偵の発言はいつも仕事がないからが故の発言ではない。

むしろ仕事が多すぎて受ける依頼を絞っているのだ。なにせそうでもしない限りは海外からですら依頼が来る。到底処理しきれる量の仕事ではない。

ゆえに仕事を依頼できる人間がかなり絞られた。だからこそ暇になってしまったのだ。

「今日は仕事ねぇよ。ていうか昨日俺ら日本に帰ってきたばっかだろうが。そんなに仕事毎日やってたら死ぬわ」

「それもそうかー、まぁまさかの依頼内容が死んじゃった富豪のおじさんの資産関係だとは思わなかったけどねー。ああいうのめんどくさいから嫌なんだよ」

つい前日までの依頼内容は先日亡くなった資産家の遺産の相続に関すること。

それに際して子供同士がその遺産を巡ってトラブルになり殺されるかもと思ったそのうちの一人が父親の伝手を使って接触してきたというもの。

「ああいうほとんど護衛みたいなやつはお前苦手だから仕方ないだろ。それこそ俺の仕事だ」

悠馬と呼ばれた青年はそう答える。

身長はおよそ180程度。見た感じだと体重はおよそ90キロ近いだろう。

それほどに筋肉がついていてがっしりとした体つきになっている。

頭髪は短く切りそろえられた黒髪。顔つき自体は整っている方ではあるのだろうがその目つきが悪いせいでいろいろと台無しにしてしまっている。

「それはわかってるけどさー、探偵である僕に仕事の依頼をしたのに僕じゃなくて助手の力を借りたいだなんて聞いたらちょっとは怒ったっていいだろ?」

それは少し怒っているのだがこの少女がそのしぐさをすると残念ながらといえばいいのか怖さはない。むしろかわいらしさだけがある。

それも部屋着でソファーに沈んでいなければもっとかわいらしく見えたのかもしれないが。

一応だが補足しておくと二人とも高校生。そして幼いころからの腐れ縁いわゆる幼馴染といった関係性だ。それがいつの間にか二人でそこそこ広い事務所兼自宅として使っているのだから驚きだ。

そうして本来学校があるはずの平日をだらだらと過ごしていると突如探偵のスマートフォンが音を立てた。

それに気づいたとたん二人ともが嫌そうな顔に変わる。その理由は。

「このスマホ一応仕事用だから仕事の連絡くらいしか来ないはずなんだけど...」

「だな、ということは仕事か」

そして決意を決めたような顔で探偵がスマートフォンを取り画面をのぞき込む。

「..............」

数瞬の沈黙があった後探偵はしっかりと中指を立ててめんどくさそうな顔をしながら助手に言う。

「仕事の依頼だよ。それも今すぐに出発しなきゃならない類の」

この二人の物語は、災難は始まったばかり。

ここからさらに面白いことになっていく。




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なんとなく出書いてる作品なので更新頻度は保証できません。

もしよければハートマークとお星さまをいただければ嬉しいです!

それではまたお会いできるときにお会いしましょう。

結構カクヨムでいろいろ読んでたりするのでその辺に出没しているかと思われますが...。


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