第34話
洞窟で交代で睡眠を取った4人。しっかりと寝て、食事もとって心身ともに回復したあとで荒野に飛び出した。
空と陸からSSSクラスが複数体襲いかかってくるがそれらを早いスピードで倒しながら荒野を進んでいく4人。ローリーはワイバーンを落とし3人に強化魔法を上書きしつつ左右を見ていた。どこかに必ず安全地帯があるはずだ。見落とす訳にはいかない。大空洞に繰り出して3時間が過ぎているがいまだに安全地帯が見つからない。4人は休む間もなく魔獣を倒しているが3時間ノンストップで討伐しているといくらこの4人でも事故が起きやすくなる。ローリーは魔法を撃ちながらも必死で左右を見ながら進んでいた。
「川を越えたら右に! 壁際にいるSSS2体を倒してくれ!」
ローリーの叫びが聞こえた3人は、煮えたぎったまま流れているマグマの川をジャンプして越えると進路を右に変えて大空洞の右側に走っていく。2体の魔獣を倒すとその背後に小さな洞窟の入り口が見えた。次々とその洞窟に飛び込んでいく。
洞窟は入り口こそ屈んで入る狭さだが中は広く、そして20メートル程で奥が行き止まりになっていた。罠が仕掛けられている様子もない。
「よく見つけたな」
両手で膝を押さえて立ったまま荒い息を吐いているランディが言った。他の2人も似た様な格好をしている。
「あの2体だけおかしかったんだよ。このフロアというかこの大空洞にいた魔獣は全て常に動いていた。でもあの2体だけは動かずにあの場に立ったままだったからな。ひょっとしたらと思って声を出したが正解だったな」
ローリーだから違和感を見つけられたのだろう。前衛の連中は目の前の敵を倒すのに全力を尽くす。周囲を調べるのは自分の仕事だとローリーは当たり前のことをしただけだという認識だ。
中が安全だとわかって全員が思わず地面に腰をおろした。全員の息が荒い。ここが見つけられずにまだ戦闘を続けていたらどうなっていたか分からない。いくらこの4人とは言えSSSクラスと5、6時間も連続で戦闘を続けられるのかと言えば100%大丈夫だとは言い切れない。それくらいにSSSクラスとの戦闘は熾烈を極めていた。
入り口にいた2体の魔獣は討伐したあと10分が過ぎてもPOPしなかった。これで安全が確保されたとローリーが言うと彼らの緊張が解ける。
「半分くらいはクリアしたのかな?」
「どうだろう。よくて半分くらいじゃないか」
カイとランディがやりとりをしている間ローリーは収納魔法から水、食事、ジュースなどを取り出しては地面に置いていく。生き返るぜと全員がリラックスして食事をし水分の補給をする。
「ローリーはどう思う?この49層の半分はクリアしたかな?」
食事を口に運びジュースで飲み込んだランディが聞いてきた。ようやく落ち着いてきた様だ。
「49層にしては当たり前過ぎないか?俺はまだ何か仕掛けがある気がしてるんだ」
3人と同じ様に食事をして飲み物を飲んでいたローリーが言った。
「当たり前?仕掛け?」
隣に座っていたケンが顔をローリに向けて聞いた。
「確かにフロアや空にいる魔獣はSSSクラスだ。でも俺たちは力技で倒せているだろう?もちろん誰もが倒せる訳じゃない。装備がよくなりこのダンジョンでしっかりと鍛錬して実力を上げているから倒せるんだ。でも地獄のダンジョンの49層が力技だけで攻略できる程簡単なものなのかと思っている」
聞いているカイやケンは3時間以上ほとんど休まずに戦闘してきたこのフロアを攻略できて当然だというローリーの言葉にびっくりする。
自分たちは結構ギリギリの戦闘を続けてこの場所で休憩をしていると思っているがローリーの言葉を借りればまだこれから先に仕掛けがあるんじゃないかという。
「具体的に何かわかるかい?」
「力技だけで攻略できる造りとなっているとしたらこの場所は半分も行かない場所だろう。とことん気力や体力を奪うためにはもっと長時間ノンストップで攻略する必要がある場所があるはずだ。そして仮にここが半分くらいの場所だとしたらここから先の残り半分は今までとは違った攻略方法を求められると思う。それが何かは全く分からないけどね」
そう言って3人の顔を見るローリー。
「いつも言ってるだろう。悪い方を予想すればその通りであってもショックが少ない。49層で楽観的な思考はしない方が良いと思うんだ。それにたまたまここは見つけることができたが俺たちはまだこの空洞から奥、先に行くルートを見つけていない」
ローリーの言葉にそういえばそうだ。まだここから先に進むルートが見つかっていないことを認識する3人。この洞窟というか洞穴に来るまで顔を左右に振って探してみたが誰もこの穴以外の穴を見つけることができなかった。
「となるとこの洞穴の反対側にあるかもな」
「その可能性が高いだろう。とにかく今はしっかりと休もう」
休める時に休む。疲れを残さない。難易度の高いダンジョンを攻略する時の基本動作を忘れない4人。数くないであろう安全地帯を有効に使うことが生き残る秘訣だと全員が理解していた。
仮眠をしてしっかりと休息をとった4人。装備を点検し全員が洞穴の出口に立った。
「出たら右に行くぞ」
ランディの言葉に頷く3人。ランディが洞穴を飛び出してすぐに右に駆け出した。カイ、ケンと続き最後にローリーが同じ様に洞穴を出ると右に向かって走り出す。溶岩の川を越えて進んでいくとすぐにSSSクラスの魔獣2体が4人を見つけて襲いかかってきた。
3人が戦闘をしている間魔法で補助しながら周囲をチェックするローリーだが次の部屋に向かう洞窟が見つからない。倒すと進んでいく4人。立ちはだかる魔獣を倒して進んでいると突然ローリーが何かを発見した。
「みんな戻れ!さっきの洞穴に戻るんだ!」
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