『一人が好き』だった
紫吹 橙
第1話
私はずっと一人だ。
それが一番だと。それが最良の選択なのだとずっと思っている。
だが、最近思ったのだ。
本当にそれが最善なのか?と。
本当は自分は誰かといたいのにその気持ちに嘘をついているだけなのではないか、と。
だって、私は憧れたから。
仲間と精一杯あがいて、頑張って、キラキラ輝いている少女達に…
彼女達のように輝きたい。
そんな気持ちが私の中から消えることはなかった。
今でもそれを追い続けて走っている。
けれど、誰かと一緒にいる時に自分の気持ちを全部言えない。
そんな窮屈なのがすごく嫌だ。
窮屈だと考えてる自分すら嫌になるんだ。
でも、声では伝えることができないから私は文字で伝える。
文字でなら、どれだけ言いづらいことでも書けば良いから。
自分の好きなものについても、言ったら笑われてしまうかもしれない。
そう考えずにはいられない。
そんな自分の気持ちだって書くことができるから。
だが、そうも言ってられない出来事が私の前に舞い降りてきたのだ。
私のちっぽけな世界で誰かと一緒にいないと、戦うことができないことが。
一人でいることで、周りからヒソヒソと何かを言われるようになった。
ずっと一人でいれば気楽だと思っていたのに、それが怖くなってしまったのだ。
それが、私の弱さ。
それを自覚した。
だからこそ、私は強くなるんだ。
誰かと一緒にいて、自分の気持ちを言えるように。
自分を隠さずにいられるように。
私は見つけたい。
この人達なら大丈夫だろうと思って、本音で話し合い、ぶつかり合える仲間を。
その時が必ずくると信じたい。
そして、もしその時がきたら自分の好きを、伝えるんだ。
自分の大好きを、隠さずに言う。
それがどれだけ難しいのか、分かっているつもりだ。
だって、今も言えていないのだから。
自分のしたいことすらも言えないのだから。
嫌われるのが怖い。
そんな気持ちも含めて自分だ。
だから、怖がりながらも進もうと思う。
そして、自分が本当に心の底から笑い合える人と、場所に出会いたいんだ。
その為に今できることは全てする。
そう決めて全力で走る。
いつか出会う人も、場所もまだわからない。
けれど、私は待っているだけではいられない。
私は強くなりたいんだ。
自分の気持ちをはっきり言えるような人になりたい。
それが今の私の目標だ。
自分のことを自信をもって、誇りだと言ってあげられるようになりたい。
あの日見たあの人のように—
全力で仲間と走って、大事なものを守ろうとした彼女のように。
その彼女達に憧れて輝きを追い求めた彼女のように。
我が強すぎて拒絶されるんじゃないかと不安だったけれど、前を向いて走った彼女のように。
好きなものを嫌いになりそうだったけれど、隣にいてくれた人のおかげで前を向けた彼女のように。
強くなって、彼女達のように輝きたい。
誰かと夢を追い続けることの喜びを、楽しさを知りたい。
私はそう思うんだ。
その為には誰かに自分の本音をしっかり伝えられるようにする。
それが大切で、それが夢を叶えるためのまず『第一歩』なんだ。
それから一歩一歩積み重ねていけば良い。
いつか必ず、本音でぶつかっても嫌わないでくれる仲間と巡り合える気がするから—
だから、ひとりぼっちの『わたし』はさよなら。
大好きで、一生笑っていたいと思える人に出会う時を、挫折してもくじけないで前を向いて走りながら待っていて—
『一人が好き』だった 紫吹 橙 @HLnAu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます