第3話 初心者の街


 案の定次の街で途中休憩したところ筋肉がプルプルとしていた、この身体だからいいものを、本当の自身の体なら無理だっただろう

 次の街が、大きい街らしいのでそれまで我慢することにする。まるで拷問だな。

 筋肉がプルプルするのに急に馬車が立ち止まる。拍子に外に出てしまった。

「いてて」

 よく見ると盗賊のような男達に囲まれていた。

「ありったけの金をだしな!」

「女はこっちだぜ」

 あぁ。また、変なのに捕まったのか。

 フラフラと立ち上がり剣を構えると、

「な!やろうってのか?この人数と」

「はい」

「やっちまえ」

 遅い剣に当てるだけだ。殺したりはしたくないしな。

「ちっ!やりやがるな!お前ら逃げるぞ!」

 逃げていくのが盗賊の流儀なのかと思いながら馬車に乗り込むとお礼を言われ座らされた。


 拷問の始まりだ。


 やっと着いた。ケツが四つに割れてないことを祈りながら町に入っていく。

 幸いにも割れ目は一つだけだったのでよかった。

 町に入るとアナウンスが流れる。

『初心者の街に入りました』

 じゃあ今までの街はなんだったんだ?

 ここでようやくログアウトができるようになっていたのですぐにログアウトする。

 栄養補給液が空に近く、排泄機能もギリギリのところだったようだ。

 と言うか眼鏡の度が合わない?

 腹もスッキリしていて背も伸びたように感じる。

 鏡を見る前に排泄機能の処理などをして高かったVRをピカピカに磨き上げる。

 あっちで一ヶ月半くらいだから二週間くらい潜っていたことになるので埃が溜まっていたのだ。

 鏡を見にいくとアバターそっくりの自分が鏡に映っていてビッグした。

 まあ、二週間も栄養補給液だけで過ごしたのだから痩せたのはわかるが、顔の輪郭とかも変わっている気がする。まるで別人だな。      

 会社に電話すると今すぐにこいと言われ行くと、二週間の無断欠勤により退職を勧められた。まぁ。無駄に金は貯めてあるから退職でいいかと思い退職することにした。退職金ももちろん入る。


 退職したからと言ったところでなにもかわりなく1人は1人である。服がダブダブなため服を買いに行くと勧められるまま買う。着ていくと言いきていた服は袋に詰めてもらった。

 なぜかよく見られるような気がするが自意識過剰かと、自分に言い聞かせて髪もサッパリしたいと美容室にいき、おまかせで切ってもらう。


 さてと。栄養補給液を買い足してまたVRの世界にいくか。


 ようやく初心者の街に入った俺は他の人より遅れているのだろうなと思い、ギルドでのクエストを、消化していこうとおもったのだが。

「これは初心者が受けるクエストなので受けられません」

「え?初心者ですが?」

「Dランクの初心者はいないですね」

 と門前払いを食らったので、Dランククエストを受注する。クレイジーモンキーと言う猿の討伐だ。

 ここから数キロ先だから走ってみると思ったより速く走れるようになっている。

 森に着いたらクレイジーモンキーらしき姿が見えるが隠れるのが上手いみたいだ。

「そこだ」

 剣を突き刺すとクレイジーモンキーはドロップ品になった。毛皮とクレイジーボールという名の玉がドロップ品?


 街に駆け足で戻って、クレイジーモンキー討伐証明を出すと、レア素材が出たらしくて買い取りたいと言われたのでお願いする。

 金貨で100枚貰えた。アイテムボックスに入れてそのまま立ち去ろうとすると、またここで金を置いてけと言われるテンプレというやつが起きた。

 職員は知らんぷりしてるので剣を出してかかってくる男の剣を叩き落とす。次の男の首に剣を突きつけると謝って金を置いて出て行った。

 金貨はなく銀貨ばかりだったがしょうがない。


 これは初心者装備がいけないんだと思い、装備を変えにいく。Dランクだというとあつらえてくれたのがぴかびかの装備か黒い厨二装備の2択だったため黒い厨二装備にした。

金貨が60枚飛んでいった。


 装備も変えたし宿に行き部屋をとってからエールを流し込むと生き返った気分になる。

 こらがゲームだから面白いなぁと感じる。

宿屋で寝て、起きてから今日は魔法を使いたいと思い、魔法屋に来ている。身体強化と火魔法と水魔法のオーブを買う。金貨30枚だった。

 オーブは身体に入っていくように念じれば入っていき、覚えるのである。

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アキト 二十歳

レベル99

スキル

身体強化 火魔法 水魔法

ユニーク 心身同調

加護 海珠 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 と出た。いつの間にかレベルが99になってることに驚いた。あと年齢は二十歳にしといた。本当の年齢だとおっさんだからな。


 ギルドでDランクのクエストを受注する。

 こんどは草原のグレートバッファローを討伐とある。草原に走っていくとちょうどグレートバッファローと誰かが戦っているようなので見ていることにした。

 ささやかではあるが応援していたのだが、1人、また1人と死んでしまい残った女の子が逃げてくる。

「助けてー!」

「あ、はい」

 荒ぶるバッファローを剣で斬りふせるとアイテムボックスにドロップ品を入れる。ツノと魔石と皮がドロップ品だ。

「大丈夫でしたか?」

「はい!あっ!生き返らせないと」

「あ、はい」

 死んだ人にはサークルが出来ていてそこに生きてる人が一定時間いると生き返るのだ。それ以外は神殿に帰ってしまう。

 手分けして生き返らせると。

「ありがとうございます」

「いえいえ、邪魔をしたくなかったので見ていただけですから」

「ちぇ!もうちょっとだったのに!」

「もう!そんなこと言わないの!」

「そうですよ!生き返らせてくれたんですから」

「…すいませんでした」

「いえいえ、なんならこれ入りますか?」

 ドロップ品を出すと、

「大丈夫です!また挑戦しますから」

「そうだよ、また倒せばいいだけだしな」

 と、断られてしまった。

 それではとそのグループと別れて走ってギルドに報告に行く。

 討伐金金貨20枚をもらった。

 あの子達みたいにグループを作るのもいいなぁ、と思いながら今日はログアウトする。

 VRを磨いてセッティングする。終わらせてから自分のご飯を作って食べる。味気ないなぁ。

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