5℃の朝を迎えてから

葵野 海色

 

暖房を消して寝ていた。

寒い自室に驚き飛び起き、

もうこんな時間だと、

急いで階段を駆け下りた。


勉強は進んでるのかって、

父は厳しく俺の目を見る。

進んでるって嘘をついて、

冷えた体温が更に冷えた。


図書館でも行っておいでと、

母は弁当を作ってくれて。

勉強進んでないんでしょって、

俺の頭をほんの少し小突いた。


外の温度は家よりも低くて、

寒いのに集中は出来るのかと。

内心めんどくさいなと思う。

けれどやらないと進まない。


図書館の自動ドアが開く。

暖かい空気が外まで浸透し、

冷えた体が少しずつ温まる。

やる気も出てノートを開く。


テストにも近いこの時期は、

必死に勉強をする。

容量がいい訳でも無い俺は、

時間を費やして努力をする。


周りの音や空気感が落ち着く。

本の香りが部屋を覆い尽くす。

静かで温かい室内の中、

俺は集中して勉強を進めた。


気づいたら二時間経っていた。

いつもと違う環境は気を張れる。

そのおかげか集中力が続いた。

今日はもう一時間頑張ろう。

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5℃の朝を迎えてから 葵野 海色 @__ocsu

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