第六十回 なんでもこなせる器用な子、って優秀?

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第六十回ですが、皆さんご存知のとおり、ワタクシこけばしは、手広いジャンルの作品を書けることと、その時々に応じて文体や人称を変えることが得意なモノカキです。




 えっ?

 ……知らねえよって?




 そりゃそうだ、ハッハー!

 マスター、この賢い賢い小僧っ子にミルクを一杯おごってやりてえんだが、頼めるかね!?


 そんなウェスタン・ジョークはさておき。


 まあ実際のところ不肖ふしょうこけばし、ファンタジーはハイからインローまで、異世界へ転生はしませんが召喚は経験あり、異能系学園モノがありつつ、純文学のパロディ・オマージュを経て、ミステリーやらSFやらと、実にさまざまな物語を書かせていただいておりますです、はい。



 是非ともご一読いただければばば(ここ大事なトコです!)。



 ただですね。現実的な話、これが長所かと尋ねられると、素直に「空にセイ・イエス!」できないのですよね(古いなオイ)。



「そりゃどうしてデスカー!? ホワイ!?」



 と、思わずカタコトで疑問を抱いてしまった、そこのあなた!


 そんな金髪黒眉赤道着が良く似あうあなた(ケンなの……?)のために、その理由をもちょい詳しく綴っていきたいと思います。ではでは、出航ー!




■白黒カンケーなく良くあるオフィスの風景


 たとえば、ですよ?

 こんなシーンを想像してみて下さい。



 上司「今年の新人はなかなか良さそうだ。右の子から順に、なにが得意かアピールしてくれ」


 A子「大学のゼミやサークルで、企画立案、資料作成、営業、デザイン、商品開発と手広く経験しました! なんでもお望みどおりにパパっと仕上げてみせます! お任せ下さい!」


 上司「おお、凄いね(笑)。……他の子はどうかな?」


 B男「じ、自分は……企画力だけは自信、ありますね……」

 C子「あたしはー。デザインだけなら得意ッスー」

 D男「ぼ、僕はっ! 商品開発ぅ、やりたいでぇす!」


 上司「あっはっは、そうかそうか! じゃあ、B男クンは企画を頼むよ。C子サンはデザイン、D男クンは商品開発だな。……ええと、A子クンはなんでもできるよね? じゃあ、営業でー」


 A子(あるぇ?? な、なんでアタシ、営業なのよぉおおおおお!?)



 つまり、こけばしがA子である、そういうワケでは決してありませんけれど(どちらかと言えば無能)、「あるある!」と思った方は高評価とグッドボタンをお願いします(間違い)。


 人は誰しも選択肢がひとつしかない場合、「じゃあ、とりあえずそれで」と言いがちです。


 だって、他にないんだもん。

 仕方ないよね。


 逆に、さまざま用意されてしまうと、その中でのベストがなにか? が分からなくなります。となると、必然的に優先順位が下がってしまう。なんでも器用にこなせるのなら、最後に決めたらいいか、みたいな心理が働くんですよね、きっと。


 A子……くじけずに、営業でトップを目指そうぜ!(不本意)



■江東区のグルメ(※本文とは無関係な駄洒落です)


 たとえば、ですよ?



 駒沢公園通りにある「かっぱ」さん。ここ、メニューは煮込み一品のみ。となると、煮込みに興味がない人はさっぱりですが、その一方で熱烈なファンが通っています。


 ちな、こけばしは、煮込みなら「だうどん」の「パンチ」一択。


(脚注:「だうどん」とは、埼玉と言えばの代名詞、「山田うどん」の愛称です(あまり略せてない……?)。ジョシでホルモン煮込みを選ぶのは、酒呑みのみでしょうか……?(ダブルミーニング))



 対して、近所のファミレス。メニューはグランドからシーズン物までと、そりゃもう多彩を極めております。こけばし、苦手なんですよね、大量な魅力っちいものの中から、これって一品を選ぶの。つい、無難なところを探しちゃうのです。それか、おウチじゃできない料理とか。



 メニュー豊富な大衆居酒屋よりも、意外と「銀だこ」のハイボール酒場の方が、ジョシ受けは良かったりするものですよね。ああ、こけばしはダメです。極度の猫手・猫舌なので。


(脚注:「猫手」ってなんじゃい、と思われた方、いますよね。これは、こけばしの中では「熱い物を持つのが苦手なお手て」のことを指します。実際に猫がそうかは知りませんがー)


 たこ焼き論争はしません。

 関西勢が乗り込んでくるので……怖え。



■なるほど……? い、いや、分からん


 とまあ、不十分なさまざまな角度から言いたいことをお伝えして参りましたが。



「つまりッ! てめえ……結局なにが言いてえんだよぉオオオオオオ!」



 と、「ジョジョの奇妙な冒険」第五部イタリア編らへんに登場するスタンド使いのような感想をお持ちの方が多いことでしょうそうでしょう。なんなら、こけばしだってそうですもん。



 要するに、ですね。



 前々回の第五十八回でもこそっと書きましたが、こと芸事に関しては多才であるよりもコレイチの人の方が良い、ということです。ファンタジーならファンタジー、異能なら異能、ミステリーならミステリー、その道にけている人の方が、あちこち手を出したがる人より一日のちょうがあります。


 もちろん、例外はいつだってあります。


 もうすでに何度もお名前を挙げさせていただいておりますけれど、こけばしの敬愛する小説家、栗本薫氏に関しては、この枠に収まりきらないとんでもねえお方でした(また繰り返しになってしまうので、ご興味がある方は第二十六回をご一読下さいまし)。



 逆に、凄く嫌な言い方をしてしまうと。


 最初のオフィス編で例に挙げましたように、実際の能力やスペックとは無関係にこういった心理が働きがち、ということです。



 まあ、A子サンの場合、ハッタリかもしれないので事実かどうかは分かりませんけれども、もしも本当にA子サンが超絶できる子だったのなら、企業として上司として、これは少々勿体もったいない采配さいはいミスになりますよね。営業マンとしても優秀ならいっかーみたいな。でもでも、そうなる前に、「こんな優秀なワタクシに、飛び込み営業をさせるなんて……!」と転職するかも。


 慣用句でも「器用貧乏」というのはありますけれど、「器用大富豪」はありません。


(脚注:同じような意味の言葉ならあるぜ! という方は、是非コメントで)



■だったら、絞ればいいじゃんよー


 できたら苦労しません、はい。


 やりたいもの、やったもん勝ち、青春なら! のこけばしです、なんでもやってよろしいのであれば、なんだってやります。「カネさえ貰えれば、母ちゃんともファ〇クしてやるぜ!」なフランス傭兵仕込みの精神なのです(ホントにそうなの? と常々B級戦争映画を観ては思っていることですが)。



 でもねー。


 こういう人って、「ああ、この人、ファンタジーも」になりがちなんですよね。



「ファンタジー書かせても、超面白いじゃん!」とはなかなかならない。モデル界でトップの座に君臨していた子が、女優業に転向した時、同じこと思いますもん。ああ、女優やらせても、なかなかやるじゃんねー、みたいな。さすが、クラリオンガール、政界でもイケるじゃん! とはならない。立つのは評判じゃなく、襟だけ、みたいな(誰とは言ってませんからね?)。



 でも、良いんだ!

 こけばし、すっごい褒めてもらえてるもん!


 目指すは栗本薫! なので、これでよし。




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。

 ではでは、次回は別のテーマにて。


 どうぞ、よろしくお願いいたします。



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