第五十七回 ラノベには、トレジャーハンターはもういない?

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第五十七回ですがー。


 かつてこけばしは、コバルト文庫のほかに、朝日ソノラマ文庫(古っ)を愛読しておりました。そこで、出会ったのが夢枕ゆめまくらばくセンセと菊地きくち秀行ひでゆきセンセ。


 ごりっごりに肉体派でハードボイルドな内容の夢枕獏センセと比べると、菊地秀行センセの作品は……ちょっとえちえち要素が含まれておりまして。まー当時は超ドキドキしながら借りて読んでました。「ゼントラン、メルトラン……デ・カルチャ!」みたいな感じ(イミフ)。



 そんな記憶を思い出しながら、ふと思ったのです。

 もう、日本のラノベ界で「トレジャーハンター」モノって流行らないのかしらん? と。


 では、早速お送りしますッス!




■前人未到の未開の地はいずこ


 近年の科学・テクノロジーの発達は目を見張るものがあります。


 Googleアースであったり、人工衛星であったり、ドローンであったり。この世界でもう「誰も知らない」土地なんてあるのかしら? と思えるほどですよね。


 そういう背景が、人知を超えた不思議な世界での冒険を生み出し、いわゆる「トレジャーハンター」的な冒険アクション作品が生まれたのでしょう。しかし今は、その舞台は地球上には少なく、異世界、別の次元に存在する異なる世界へと移っていきつつある、そんな背景が昨今の「異世界ファンタジー」ブームの根底にあるように思うんですよね。


 でも、本当にもう地球上には「前人未到の地」って存在しないんでしょうか?



■こけばし、気になります!


 んなこと言うと、しばしばこう言われるんですよね。



「お前の大嫌いな『ワンピース』が冒険ロマンだろwww」


 いえいえ。

 それはまったくの誤解だと思いますよ?



 モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味は、決まってすでに文明のある島へ訪問してますよね? つまりはそれって、「冒険」ではなく「旅行」じゃないんでしょうか?


 たとえるなら、ジョナサン・スウィフトの書いた『ガリヴァー旅行記』とジュール・ヴェルヌの書いた『地底旅行』くらい違います。あー、つーかまた……よりによって同じ『旅行』を例に挙げるところがこけばしのお馬鹿さんなところだ……。まあ、つまりそういうことですよ。


(脚注:ちなみに「冒険小説」の本来の示す意味は、「主人公の行動が冒険的(危険をおかす)であるもの」とされていますので、日常生活においても成立はしちまう厄介語なのです……)


 いっそのこと、「探検」っていえば、余計な混乱を招かないんですけれど。

 なーんか、ニュアンス、違っちゃうんですよね。


 ともあれ。

 その舞台にふさわしい、「地球上の未踏の地」を調べてみるとしますか!



■ロマン感じるあの場所・この場所 パート1


 最も未知で、最も広大な「未踏の地」といえば、それはズバリ「海底のほぼ全域」です。


 地球表面上のほぼ七割を占めている「海」ですけれど、その海底ともなると、広さはさらに数倍増加します。そんな「海底」の約80パーセントが実際に調査をされず、衛星からの朧げな映像のみで高界像度マッピングがなされていません。



 えーとえーと。

 つまり七割の数倍の80パーセントだから……。


 うん、数字は気にしないことにしましょうそうしましょう(計算できなかった)。



 そして、いまだに深海探査船が調査潜水すると、新種の生物が発見されます。なんか逆に言えば、「見つけられていなかった生物を発見した」ってニュアンスの方が正しいような気がします。あまりに謎すぎて、こけばしなんかは軽い「海洋性恐怖症」だったりしますです、はい。


 難易度で比べると、月に行くより深海に行く方がはるかに難しいんだそうな。しばしば陰謀論信者の仰る「アポロ十一号が月に行ったのはウソ説」ですけれど、現代で再現(?)できていないのは、単純に予算の問題がネックなだけだと思います。じゃぶじゃぶ資金を投入できたら、別に月に着陸して地球に帰還するのは難しくないと思う。「はやぶさ」が言ってた。


 日本にすら海底遺跡はあるし、幾多数多の沈没船や、未知の物質・生命体でいっぱい。


 近未来で全世界が水没しちゃう系はあれど(ex.映画『ウォーターワールド』など)、ガチィの海洋冒険モノって映画『アビス』くらいのモンなんじゃないかなー。



■ロマン感じるあの場所・この場所 パート2


「南極大陸の氷の下」なんてどうでしょうか?


 あの氷の下、つまり「氷床の下」に一体どんなものが隠されているのか、長年この話題は世界の都市伝説論者の間で興味の的となっています。地球温暖化の影響なのか、露出した大地よりマンモスの化石が発見されるなど、まだまだ謎多き場所です。


 ただし、いわゆる「極冠きょっかん」と呼ばれる南側の「南極」が氷で覆われたのは、今から実に五〇〇年前のことだと言われています。原始大陸から分離し、ついに南米とも切り離されたことで徐々に気温が下がっていったワケです。それ以前も今とほぼ同じ位置に「南極」は移動済みでしたけれど、三〇〇〇万年前に南米と分離する時までは、まだ温暖な気候だったのですね。



 ん?

 ちょっと待って下さいよ?


 ということは、氷床の下から出てくるものは、ゆうて「五〇〇万年前の時点で封印されたモノ」って可能性が高いですよね?



 五〇〇万年前というと……ようやく人類の祖先らしきものが生まれ(サヘラントロプス・チャデンシス。二〇〇二年発見※)、日本においては「古琵琶湖」が形成された頃ですね!(後半っ!)ここだけのお話、琵琶湖って、世界五番目に古い湖なんですよ。知ってました?


(脚注:「最初の人類」ってワードは、特に考古学会においては「核ボタン」みたいなモノで、おそらく永遠に解明できない上に、共通見解にも至らない論争のタネなのです。ともかく、現時点では「アウストラロピテクス」に1ポイント、という段階に留めておきましょう)


 という前提があるにもかかわらず、UFOの基地がある説、ナチスの秘密基地があった説、超古代の遺跡が眠っている説と、いまだ謎が多い場所です。


 さてさて。

 こけばしが存命のうちに、これらの謎が解き明かされる日が来るのでしょうか?



■ロマン感じるあの場所・この場所 パート3


 かつての「冒険小説」の舞台として代表的だったのは、そう「洞窟」です。


 とはいえ、もう未知の洞窟なんてないんじゃないの? という声も聴こえてきますけれど、ところがどっこい、逆に「解明済みの洞窟」の方が少ないんじゃないでしょうか。



 たとえばベトナムで発見された「ソンドン洞窟」。一九九〇年に地元の農夫が発見し、のちの二〇〇八年に同じ農夫によって再発見された広大な洞窟です。全長五キロ、天井までの高さは200メートルという巨大な洞窟で、イギリスのダイバーグループが調査に乗り出すも、適切な機材が足りずに途中で調査を断念しました。それほどまでに巨大な洞窟なのです。



 かつてはこういった洞窟から「地底人類」や「地下王国」の伝説などが生まれ、はたまた別の世界への入口とも言われ、恐れ、敬われていました。やはり、ロマンあふれる場所のひとつ、と言えるでしょう。


 こけばし、閉所恐怖症のケが若干ございますので、ご同行は遠慮させていただきたく……。




 おっと、そろそろお終いの時間でございます。

 次回は新たなテーマにてお会いしましょう。


 どうぞ、よろしくお願いいたします。



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