第四十一回 ベストは分からずとも、ベターは分かる

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第四十一回ですが、前回に引き続き、アニメや小説、映画における「理想的な導入部――プロローグとはなにか」、についてでございます。


 では、早速お送りしますぞ(ぞ?)。




■げに恐ろしきは「ぷろろぉぐ」なることの力なり


 以前、X(Twitter)ランドで、実に興味深いアンケートが取られておりました。



「あなたは『プロローグ』を読みますか?」



 この問いに対する選択肢は、たしか次の四つ――「読む」、「少し読んでみて、合わなければ飛ばす」、「読まない」、「『プロローグ』と書いてあるだけで無条件に飛ばす」――だったと記憶しています(多少の言い回しの違いはありそう……いや、あるわw)。


 この結果、驚くことに最後の「『プロローグ』と書いてあるだけで無条件に飛ばす」を選んだ方が、全体の三分の一を上回っていたのです。


 ば……馬鹿な……!?


 ただし、そのアンケートに対して寄せられていた当該者のものと思しき意見はこうでした。



「どうせ謎ポエムが書かれているだけなのでw」

「読まなくても問題ないから『プロローグ』なんとちゃうん?」

「独りよがりの『世界観語り』なら読む価値無し」



 より攻撃的でない意見ももちろんあったのですけれど、ああ、皆さん嫌なご経験をお持ちなんだなぁ……と、自分の行いを振り返り、ネガティブなイメージの強い「プロローグ」はもう書くまい、と固く心に誓ったのでした。


「プロローグ」と書かれているだけで、有罪ギルティだとは。

 げに恐ろしきは言の葉の魔力でございます……。



■でも、それだけじゃない


 あんまりにも極端だなぁ、と思いつつも、そのアンケートを実施された方からのご指摘で、こけばしはハッとすることになります。



「そのプロローグ、本当に必要ですか?」



 さすがにこれだけですべてを察するほど、こけばしは「出来た子」ではございません。どちらかと言えば、「アホの子」寄りであると自負しています。


 なので、むっきー! となりながらも、続く言葉を拝見して、ようやく合点がいきました。



「それを、わざわざ『第一話』からピックアップした、誰もが納得できる理由がありますか?」



 成程なるほど

 たしかにおっしゃるとおりです。


 物語の正式なはじまりである「第一話」とは別の、物語の序章である「プロローグ」として独立させたからには、それ相応の理由がなければいけません。だって……書きたかったんだもン! と乙女チックに瞳を潤ませようが、誰も「そっかそっかー」とは言ってくれません。たぶん、そんな優しい心遣いができるのは「んぽちゃむ」の大親友、「きみまろ」くらいです。


 そう考えた時に。


 じゃあ、誰もが納得の行く「プロローグ」ってどういうものなんだろう? って。



■かくなる上は――


 その、逆の視点、「なぜ『プロローグ』がなければならないのか?」から考えた時に、こけばしが(足りない頭で)思い浮かべたのは、前回にも書きました映画「007シリーズ」です。



 つまり、前回のラストに書きました、


「キャラクター(主人公)の魅力を引き出すもの」


 であれば良いのではないか、というこたえでした。



 ……いやいやいや。



 もちろん、このこたえがベストだなんて思っておりませんとも。

 ただ、これならばベターである、と思うのです。


 漫画『アホガール』や『カノジョも彼女』でお馴染みのヒロユキセンセは、著書『マンガで夢を叶えるための“おもしろい”の伝え方』の中で、このように描かれています。



「マンガには『テーマ』が必要」

「『キャラクターが魅力的であること』は万能のテーマである」



(脚注:これ、正確な引用ではなく、ある程度整理した文章ですが、ヒロユキセンセの伝えたい内容とは齟齬がない、とこけばしは思っております。間違ってるぞ! というご指摘カモン)


 もちろん、これは「“おもしろい”マンガを描くためには?」という前提の言葉ではありますけれど、「マンガ」を「ラノベ」に置き換えたところで大きな問題は生じないでしょう。ある意味、「物語」のひとつのカタチだと考えたならば、映画だろうが演劇だろうが、純文学だろうがエッセイだろうが、応用はできるだろうと思うのです。


 念のため、もう一度申し上げておきます。

 これならばベターであるのでは、と。



■「わがった!→わがんない」


 こんな夜更けにみこちかよ(リスぺ)。


 まーまー、その最も大事な「テーマ」が「キャラクターが魅力的であること」だと知ったところで、そうカンタンに実現できたら苦労はしませんよね。うん、知ってた。


 前述のヒロユキセンセは、ご自身の経験と実績の下に「ひとつの回答」を提示してくれているのですけれど……それをここで書くワケには参りません。どうかひとつご購入いただき、ご自身の目と減った財布の中身とでご確認下さいませ。


 ネタバレ、イクナイ。

 トテモ、オススメ。


 とまあ、こけばしには一銭も入らない布教(宣伝)はさておき。

 そもそもの話題は「プロローグは必要? 不要?」でしたよね(白々)。


 ぐっちゃんぐっちゃんに考えまくった上での最終的なこけばしの見解は、



「そこまでして『プロローグ』を書くのは、あまりにリスキー」



 であります!


 うん。だって、そうでしょ。どうしても必要だったら、「プロローグ」じゃなくって「第一話」って書けば良いワケだし(違)。というか、もうすでにNGワード扱いの「特級呪物」に自ら進んで触れに行く勇気は、チンケな三下に過ぎないこけばしにはございません。無理すぎ。


 とか言って、過去作では書いていたり……これが若さか(ノースリーブ)。

 皆様も、用法・用量を守って正しくお使い下さい。




 おっと、そろそろお終いの時間です。


 というワケで。

 次回のテーマは……「わがった!→わがんない」。


 どうぞ、よろしくお願いいたします。



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