第三十回 主人公って、共感するもの? 憧れるもの? その2

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第三十回ですが、前回の続きから。


 では、急ぎ足でお送りしまーす!




■あまりに途中だったので解説しましょう!


 という言い訳からスタートします!(いい度胸)


 前回、映画「ロッキー」を引き合いに出して、結局なにが言いたかったのかと言いますと。


 こけばしの大好きな映画――ストップ! 投げようとしている石を捨てて下さい!――ということではなくて(まあ好きなんですけど)、読者に「共感」してもらえるような主人公になるよう、心がけて書いている、ということをお伝えしたかったワケです。



 ……ちょっと論理が飛躍しますよ?



 その「共感」を得るために、はたして「主人公」の「外見」や「容姿」って重要なのかな? 実は重要じゃないんじゃないかしら? と思うのです、こけばし。



「はい無能www」

「それってあなたの感想ですよね?」


 うんうん。

 そうなんですけども。



 では、ここで映画「ロッキー」の主人公「ロッキー・バルボア」にご登場いただきましょう。



・フィラデルフィアの小さなアパートでひとり暮らすイタリア系アメリカ人

・十五歳からボクシングをはじめるが、思うような戦果が得られずサボり気味

・ボクシングだけでは生計が立てられず、高利貸しの取立人を請け負って日銭を稼いでいる

・根が優しすぎるあまり、取立人の仕事で強く出ることができず、失敗が多い

・恋愛には不器用で、親友の妹に恋心を寄せているが、気持ちを伝えられずにいる



 まあ、「外見」や「容姿」のことじゃないだろ、ってのは、ひとまず置いておきまして。


 この中で、「視聴者(読者)」の「共感」を得そうな部分って、「独身」であったり(失礼だろ)、「うまくいかない人生」だったり、「良い人なんだけど」だったり(けどなんだよ)、「恋愛に不器用」だったり(大きなお世話だぞ)ってところだと思うんですよね、こけばし。



 たしかにこの映画「ロッキー」の劇中において、シルベスター・スタローンのイタリア系らしい甘いマスクは効果的に働いたと思います。ちょっと垂れ目気味で。愛嬌のあるハンサムで。


 ただ、当初のプロダクションの目論見もくろみとしては、主人公「ロッキー・バルボア」役の候補はスタローン本人ではなく、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、アル・パチーノといった超有名二枚目俳優だったと言います。IFもしの話ですが、もしそうだったら、結果はどうなっていたんでしょうね。同じようにヒットした? それとも?



 しかし、そもそもこの映画「ロッキー」の脚本は、当時まったくの無名だった「なろう系俳優」スタローン本人の苦労・苦悩の日々と、世界ヘビー級タイトルマッチ「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦がベースとなっていたりするのです。



 スタローンは、俳優を目指すもオーディションに五十回以上落選、日銭を稼ぐため仕方なくポルノ映画の俳優や用心棒をしていたと言います。つらたん。


 ウェプナーは「ロッキー・バルボア」のモデルであり、世界ヘビー級王者・モハメド・アリの初防衛の相手でした。「アリ圧勝」の前評判をくつがえし、無名の挑戦者・ウェプナーは9ラウンドにまさかのダウンを奪います(注:実はウェプナーがアリの足を踏んだかららしいのですけど……)。試合はアリ勝利で終わりましたが、ダウンを奪った際にアリの脇腹を直撃したウェプナーのパンチの凄まじさに「二度と対戦したくない」とアリが語ったとか(注:踏まれたからでは?)。このエピソードは、まさしく映画「ロッキー」のラストで再現されていますよね。


(脚注:チャック・ウェプナーは、かの伝説のプロレスラー・アントニオ猪木とも「格闘技世界一決定戦」で戦っていたり。また、WWWFでは「人間山脈」ことアンドレ・ザ・ジャイアント相手に異種格闘技戦をしました。生涯成績は、47戦31勝17KO14敗2分。つおい)


 少し脱線しましたががが(再起動中)。


 この映画の魅力は、「自分の可能性を信じることの強さ」と「アメリカン・ドリーム」です。



 であるならば、前述のような第一線で活躍中の超有名二枚目俳優(漢字多いな)が主役であったのなら、その魅力は観衆へ十二分に伝わらなかったのではないかしら、と思うワケですよ。


 だって、もう十分「自分の可能性」は発揮していますし、彼ら自身が「アメリカン・ドリーム」そのものなのですから。もちろん、そういうキャスティングでの映画やドラマだってあると思いますし、成功を収めている作品もきっと数多くあるんでしょう。けれど――やっぱり。



■ええと……矛盾、はするんだけどね?


 ……おや?

 まさかその声は。



「その結論だと、『外見』と『容姿』って関係大アリじゃねえかwww」


 うんうん。

 自分でも今まさに、その結論にびっくりしているところです(びっくり)。



 い、いやいやいや!

 き、聞いてくれ、ゴルゴ――いいや、ミスター東郷!(小芝居すな。なお芸細)



「超有名二枚目俳優」だったら成功しなかったかも、ではなくて、「誰も知らない無名俳優」だったから成功したんじゃないの? ねえ? 違う? 違うの? なんとか言いなさいよ! ってことを言いたかったのですお伝えしたかったのです(メンヘラ気味)。


 つまり、「外見」と「容姿」が明白な人ではダメだったんじゃないの? って。



 ですので、


 読者の「共感」を得る目的で「主人公」の「外見」や「容姿」を描写することは重要か、と問われたら、そりゃあるに越したことはないけれど、細かく説明しなくっていいし、なんなら説明不足気味の方がむしろ都合がいいよね。


 ってこたえます。はい。



「どっから出てきたんだよその理論」

「イミフすぎて草通りこして竹www」


 うんう――おっと、そろそろお終いの時間だわ!



 ええとええと(滝汗)。


 前回に引き続き、今回も「主人公って、共感するもの? 憧れるもの?」について綴ってきたのですけれど――ちょ、その石、ダメ! 一旦落ち着こう! ね?――まだ途中ですので、次回もこの続きから! お届けします! いたた!! 痛いってば!!!


 ではでは!

 次回もまた、どうぞ懲りずにお願いいたします!



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