第二十五回 ちょうどいい文字数を教えて! その2

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第二十五回ですが、今回も前回に引き続き「一話あたりの文字数って何文字?」というテーマについて綴っていきます。ごめんよー!


 では、張り切ってお送りしまーす!




■(再)緊急企画! 「書きながら連載せよ!(なお、追いつかれたら即死亡)」


 こうして、こけばし初の試みとなる「書きながら連載する!(追いつかれたら即死)」という無謀な企画がはじまったのでした。勝ったッ、第三部完!


 というジョーダンは、バスケだけにしておきまして(うまくはない)。

 ……ガチィで辛かったなぁ。


 でもでも、とっても貴重な体験でありましたし、自分の中での強さと言いますか、なにかを成し遂げた達成感と言いますか。なんか言葉にしづらいですけれど、途轍もない『何か』を得たように思います。



 ■ラブ×リープ×ループ!

 https://kakuyomu.jp/works/16816700427245926152



 一日も欠かさず毎日更新して、全五百三十九話です。


 単純に計算すると、一年と六ヶ月弱です。もちろん、この連載中に、お正月やお盆などの奉りごとがありましたし、またコロナ禍ということで、見事に陽性反応→一ヶ月半の軟禁生活も経験しました。ですが、一日たりとも更新は休みませんでした。



 本作は、一話一五〇〇文字前後と短めです。


 しかし、これがむしろ利点どころか、非常に重い足枷あしかせとなることを連載当初は気づきもしていませんでした。なぜ足枷になるのかといえば、この一五〇〇文字の範囲内で、ある程度の「起承転結」をつけてみせないと、物語としては成立しない、と気づいてしまったからです。



 こけばしは、ヨムよりカクが圧倒的に多いため勉強不足である点は否めませんけれど、ただなんとなく書かれて、ただなんとなく次の話に繋がる、という作品をしばしばお見かけします。


 正直に言ってしまえば、そのエピソードは不要――とまでは言わずとも、「ただなんとなく」既定の文字数が綴られているだけの話に、こけばしは価値を感じません。ひょっとしたら後に続く伏線が書かれていたり、重要なマイルストーンとなっていたりするのかもしれませんが、少なくともそれを読まされている読者にとっては、なんの面白みもないと思うのです。



 なぜか。

 それは、ひとつの「話」として未完成だからです。


 ある程度の「起承転結」、もしくは少なくとも「起承転」くらいまではないと、何も起こらず、何も承らず、何も転じず、何も結ばない、ということを意味しているからです。



 特筆すべきことのない、実に平穏無事な一日であった。

 良かったね。



 なら、どんなジャンルのどんな物語かは分かりませんけれども、無くてもなんら支障はないのではないかしら、と思うワケです。前述のように、ひとつのエピソードとして完結していればまだマシですが、それすらないのであれば、「ただの場繋ぎ」、「文字数稼ぎ」ですよね。


 ですのでこけばしは、この一五〇〇文字という範囲内で、常に「起承転結」を書くように、逆に言い換えれば「起承転結」を書ききることをノルマとして自分に課していました。


 実際に同様のことをご経験された方には十分伝わるかと思いますけれど、これは実に大変で、ときに苦痛ですらありました。なんでこんな馬鹿なことをはじめてしまったのだろう、と後悔もしました。悔しくて、つらくて、泣きながらも書き続けた記憶が今もなお残っています。


 それでも決して諦めずにやり遂げることができたのは、リアルタイムで更新を追ってくれていた読者の皆様の存在、そして、ほぼ毎話、コメントやいいねを送ってくれた方々のお陰です。



 その甲斐もあって、こけばしの作品の中で、もっともPV(ページビュー)数を獲得できた物語となりました。


 もちろん、ただでさえ話数が多いワケですから、同じ読んでいただいたにしても、話数分の差がおのずと生じてきます。それでも累計二十四万超のPV数(二〇二三年八月現在・3サイト合計)獲得は、こけばしの物語の中で初の出来事でした。



■拙作「ラブ×リープ×ループ!」が教えてくれたこと


 本プロジェクトを無事にやり遂げたことで、こけばしはいくつかのことを学びました。



 まず、今回のテーマでもある、「文字数」についてですが、一五〇〇文字では、書きたいことが書ききれないこともある、と感じました。



 もちろん、複数話にまたがるエピソードやイベントもありましたけれど、それ以前に前項にも書かせていただいたとおりで、「一五〇〇文字の範囲内で『起承転結』構成を徹底することは極めて困難である」と実感したからです。


 と、同時に、「一話一五〇〇文字=読了目安三分程度」は、比較的手に取りやすい分量である、と感じました。ただこれにはマイナス面もあったようで、「一話毎がサクサク読めてしまうので、止め時・区切り時が見つけづらい」というご意見もいただきました。内心、面白かったって思ったからなんでしょ? ねえ? ねえ!? と、突如メンヘラ化してしまいましたけれど、冷静に考えたら物足りないの裏返しなのかも……と、部屋の隅でぐじぐじ畳の目をいじくりながらいじけてました(めんどくせぇ奴……)。



 また、前回の中後半にも書かせていただいたのですが、「ラブ×リープ×ループ!」という作品は、半自伝的な要素をたくさん詰め込んだ学園ラブコメディとなっております。


 そのため、作者の当時の「団地住まい」というある意味特殊な住環境や、そこで生まれる軋轢あつれき、子どもたちの生活傾向などが如術にょじゅつに現れていました。今ではあまり見かけない「マンモス校」であったことも、その中の要因のひとつとなっていました。



 さらに、舞台となるのは町田市のほぼ中央にある団地群で、登場する店舗や公共機関などもほぼ実名でした。つまり、かなりニッチな「箱庭」の中での物語だったのです。


 つまり、このことは「ある特定の読者(土地勘があり、同世代で、同じような境遇の子ども時代を過ごしてきた)には物凄く刺さる」内容となっていたものの、そういった「共通点」がない読者にはそれなりの内容に留まっていたのではないか、と思うのです。



 元々、過去を振り返ってノスタルジックな気分になりたかったことが、この作品を生み出したきっかけでしたので、こけばし本人的には充分すぎるほど満足のいく内容となったのですが、「読者が読みたいモノになるか?」という点については、企画当初あまり考慮していません。


 そういった諸々を踏まえての、過去最高の成果をあげられた作品となり、本当に嬉しいです。



 かなり話はれてしまいましたが、この結果を受けて、現在は一話二〇〇〇~三〇〇〇文字を標準規格として執筆するようになりました。これもまた実験ではありますので、また経過が見えてきたらご報告しようと思います。




 おっと、そろそろお終いの時間です。


 次回のテーマは変わります。筆の進み具合で調整する予定です。

 どうぞ、お楽しみに!



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