第十六回 いよいよ、出航! しかし、目的地は遠く――
はじめての方はよろしくお願いします。
お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。
さて第十六回ですが、以前の第十二回でご紹介させていただきました、こけばし流の「物語づくり」のロードマップを覚えていらっしゃいますでしょうか。
① 物語のアイディアをひねり出す
② 物語の世界観・設定を考えてルール化する
③ 物語のメインテーマを決める
④ 主要な登場人物を生み出す
⑤ 導入からラストまでのあらすじ(シノプシス)を書く
⑥ あらすじをさらに細分化して、イベントごとの要約文(プロット)を書く
⑦ 文体を決めて、バリバリ書き進める←Now!
⑧ 推敲・校正を行う
⑨ あまりの反響のなさに絶望する
⑩ なにを思ったのか公募にチャレンジして無事玉砕する
そう、前回において「文体」を決めましたから、あとは「バリバリ書き進める」とあります。
早速、「バリバリ書き進めるには?」について綴って参りましょう。
では、張り切ってお送りします!
■今あなたは「そこ」にいますか――?
のっけから謎の怪電波を受信したようにみえるかもしれませんけれど、気のせいです。
いまさらながらにお伝えしたいのは、「創作環境について」。
これについては正直千差万別ですよね。
通勤・通学中の時間を利用して人目を避けるようにスマホで執筆したり、就業・就学中の空き時間を活用してパソコンで書いたり(ただし、サボりはダメですよー!)。一時間早起きして執筆時間を確保する方もいれば、クタクタになって深夜帰宅してから書く方もいらっしゃいます。休日にカフェに出かけて優雅にアフタヌーンティーを楽しみながら書かれる方もいるかもですし、公園のベンチで子どもたちの遊ぶ声をBGMに書く方もいることでしょう。
ただこけばしの、少ないながらの経験から申しあげますと。
逃げ道や、甘やかしてくれる存在がある場所での執筆は、あまりオススメしません……。
ちなみにこけばしの場合には、どんなに時間がなくっても行きつけの「コメダ珈琲店」に「出勤」して、そこで集中的に書きます。
もちろん、構想や構成を考えたり、次に書くシーンを頭の中に描いて素組みする、いわゆるリハーサルみたいなものはどこでもできますので、家の中のトイレやお風呂、歯磨きやスキンケア、お掃除やお料理中の時間も、大体すべて創作のことを考えつつ日々を過ごしています。
けれど、ですよ?
いざ、それらを「アウトプット」しようとする段になると格段に難易度が増し、大量のリソースを消費して、なんなら体力までがっつり消費してしまいます。正直に言えば、とってもしんどくて、とっても楽しい作業なのです。
そんな時、すぐごろりと横になれるベッドがあったり、よりによって巨大な
わんこ系彼ピッピがじゃれついてきたり(こけばしはそんな高レアカード持ってません)、年上甘々お姉さんが「大丈夫? おっぱい揉む?」と心配してくれたり(いますよね? あ……し、失言でした(謝るな))、にやにや笑いを浮かべた近所のクソガキJSが「まだそんだけしか書けてないんだー♡ ざぁこざぁこ♡」と耳元で囁いてきたり。これが「甘やかしてくれる存在なのか」と問われるとこけばしも迷いますけれど、そういう存在も近くにいない方がいいです。BL・NL・GLのいずれかの展開に発展したら、もうその日は書けませんから。
じゃあ、逆になんで「こけばしはコメダ珈琲に通うのか」と言いますと。
これがもう実に単純で。
お金を支払った分は執筆しないと損した気持ちになり、嫌でも書くしかなくなるから、です。
やんごとなき事情により某IT企業を退職して個人事業主となり、何の間違いか「執筆業」という身分を得てしまったこけばしですから、平日五日間は欠かさず出勤します。そのため、お店の方々にはすっかり
なので、ひたすら愛用の
ただ、昼間の客層はおばさ――もとい、おねえさま方が比較的多いですので、雑音が入ってこないように、ファミリーマートの文具コーナーで販売されているウレタン製耳栓が必須です。
さすがに、工場勤務のパートのおねえさま方の
つまり何が言いたいかと申しますと。
どうにも書けない、筆が進まない、気が散ってしまう、みたいな悩みを抱えている作者様は、一度違った環境で書いてみるのも良いよ! ということです。
ただし!
開店から閉店まで、珈琲一杯で粘る! とかはやめてあげてくださいね。
■精神と時の部屋が欲しいあなたに
「オメーはいーよなー! ほぼニート同然だし、いくらでも書けるし!」
うんう――って、こらこら。
ニートに見えてるかもですけれど、そうじゃないのデス!
抑うつ、という持病もあるので常勤や出向は無理ですけれど、一応リモートでできるITコンサル業務やこまごまとしたネットワーカー作業をしておりますからね! そんなにないけど。
とにかく書くための時間の確保。きちんとした本業をお持ちの方なら誰でもお悩みのことと思います。では、あんまり参考にならないこけばしの過去の一日をご紹介いたしましょう。
① 毎日深夜帰りのため、朝はギリギリに起床。半泣きでモーニング・ルーティンをこなす。
② 満員電車に揺られて一〇時出社。座れない&乗り換え多いので書けない。
③ 出社とほぼ同時に、深夜作業組から昨夜発生したトラブル及びタスクの報告を受ける。
④ 一〇時半から代表及び役員、各部署の幹部との戦略会議に出席。ひたすら眠気を噛み殺す。
⑤ 一一時半会議終了。クライアントからのメールチェック。必要に応じて作業指示書作成。
⑥ 一二時から各担当者に作業指示。常識的にはランチタイムなので嫌な顔をされる。
⑦ 一三時外出。横浜まで移動してクライアントとの定例ミーティング。無理難題を言われる。
⑧ 一六時ミーティング終了。駅前の喫茶店でミーティング内容を整理しつつ、軽食を摂る。
⑨ 一七時帰社。担当者を集めて定例ミーティングの内容を共有。課題を出し合い、検討する。
⑩ 一八時社内ミーティング終了。クライアントからのメールチェック。必要に応じて以下略。
⑪ 一八時半から各担当者に作業指示。併せて担当部分の運用作業及び外部業者との調整実施。
⑫ 一九時半から別クライアント向けの提案資料作成。ひたすらパワーポイントと格闘する。
⑬ 二〇時半退社。近所の喫煙所で部内メンバーの愚痴を聞きながら一本だけ電子タバコ喫煙。
⑭ 二二時最寄駅の一つ前に到着。競歩気味にコメダ珈琲店へ急ぐ。閉店まで執筆(1hr)。
⑮ 閉店後三〇分ウォーキングして帰宅。作り置きおかずで夕食。ナイトルーティン後に就寝。
……自分で書いていて、つい涙が出そうになりましたよー!
誰だよ、こけばしをPM、いわゆるプロジェクト・マネジャー(マネージャーの意。洋風で言うと『マネジャー』らしい)にした奴はー! ウチはグループ内の一子会社でしたので、ナンバー・ツーとか言いながら上はもう代表と出向役員だけでしたから、実質給料の安い社長でした。うふふ……嬉しくなーい! うがー!!
それはさておきまして。
先程の一例は、割と忙しくもあり、されど大きなトラブルもない平和な一日でした。これで、執筆用にきちんと確保できたのは、たった一時間だけです。もう少しヒマであれば、昼食として勤務規定で定められている一時間をとり、半分を執筆に充てていました。あと、通勤に往復で三時間かかりましたので(片道一時間半)、帰りの電車内で羞恥心さえ捨てれば、もう一時間半は確保できます(質は問わない前提です)。あとは睡眠時間ですが、この当時は四時間半というショート・スリーパーでしたので(白目)、就寝前の一時間を捻出することが可能です。
それで、何とかMAX四時間ですね。
時間の量だけ見ればかなりマシな部類かもしれませんけれど、正直言って、こんな生活していたらフツーに死ねます。それでなくても、身体の調子を悪くすること間違いなし、です。
それに、これはまた別の回で綴ろうと思いますけれど、いまどきのWeb作者は、ただ好きな物を、好きなように書いていれば勝手に人が集まる、というものでもありませんよね?
SNSを通じて作品の宣伝をしたり、同じような志・嗜好を持った同志との交流・ネットワークづくりも重要です。あまりこういう言い方はしたくないのですけれど、ネットの向こう側とはいえお友だちになってくれたら、作品にも興味を持ってくれる可能性が高くなるからです。
その時間を差し引いたなら、結局ちゃんと書ける時間なんて一~二時間というところでした。なんともつらたん。うむ。
おっと、そろそろお終いの時間ですね。
今回、「こけばしがどのようなことを考えて書き進めるか、そういった部分をかいつまんでお話しできたらと思います」といったはずなのに……本題に入れていない!(びっくり)。
なので、次回こそ、こけばしがどのようなことを考えて書き進めるか、そういった部分をお話しできたらと思います! スミマセン!
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