第十回 インパクト抜群な難読姓……けど、読めない

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第十回ですが、前回のテーマ「ネーミング」、基本的に海外ベースで進めてしまった感があります。なので、日本人の場合も合わせて勝手にだらだら語ることにします!(笑)。


 ということで、あくまでこけばしの場合の、今までやってみた「ネーミングのこだわりとアイディア」について、さらに引き続きお送りします!




■その国々のメジャーな名前を知る


 またファンタジー系の例ばかり続いて恐縮ですけれど、そのイメージする国ごとに、メジャーな名前って変わってきますよね。



 ちなみに、ベネッセ社「たまひよ」調べの「二〇二二年名前全体ランキング」を見るとこんな感じでした!


 ●男の子

 1位 碧 (あお)

 2位 陽翔(はると)

 3位 蒼 (あおい)

 4位 朝陽(あさひ)

 5位 蓮 (れん)


 ●女の子

 1位 陽葵(ひまり)

 2位 凛 (りん)

 3位 結菜(ゆいな)

 4位 芽依(めい)

 5位 詩 (うた)


 ※調査母数297,255件(男の子149,152件、女の子148,103件)



 これから何が分かるかというと、たとえば「九年後~十四年後の児童文庫で、登場人物の名前として使われてそうだなぁ」というヒラメキです。あと「男の子でも女の子でも、どちらでも通用する、ジェンダーレスな名前が多くなったなぁ」という傾向も見つかりました。


 つまり、ここで何が言いたいかと言いますと、名付けにも時代ごとのブームがあって、そこから外れたモノはちょっと違和感が生じてしまう、ということですね。その時代生まれではない読者は気付きもしませんが、同世代の人はなんとなく違和感を覚えます。そこで共感ポイントが失われてしまうのです。タメ、同級生だと思って読んでたら、おっさんだった、みたいな。



 これは、海外を舞台にした作品の場合、もっと注意が必要だと思います。


 そもそも日本で言う「太郎・花子」にあたる名前(例がすでに死語な件)が何かすら知りません。アメリカでは……「John doe・Jane doe」でしたっけ?(これは「名無しの権兵衛」か)。


 たとえば日本が舞台の物語で、仕事仲間が「山田太郎」と名乗るのを聞いて「偽名か?」と尋ねるシーンがあったとします(実在する「山田太郎」さん、ごめんなさい!)。アメリカ版なら……「John Smith」とかでしょうか。それのフランス版、ってどうなるんでしょうね? ドイツ版は? 陰謀・テロリスト物を書くなら必要な事態も発生しそうですよね。



 そこはまたいずれ詳しく調べてみるとして。



 いかにもケルトな物語なのに、登場人物がアメリカ人っぽい名前をしていたら興醒めです。そもそもファンタジーのモデルって、なんだかんだ言っても「中世ヨーロッパ」ですからね。こけばしはいわゆる「○○警察」勤務歴はないのでそこまで気にしませんけれど、拝読した時には「ちょっと調べたら分かるのに、勿体ないなぁ」と思ってしまいます。


 そういう細かい積み重ねが「現実感」や「共感」の素なのであって、そこをおろそかにしてはダメだと思うんですよね。ホントじゃないけれど、ホントにあったかもしれない、がゴール。


 まあ、これを徹底したからといって、それで「物語」が面白くなったりはしないんですけど。



■奇抜な名前、難読姓のメリットとデメリット


 ラノベ、というと、奇抜で難読姓な主人公が活躍するモノ! というイメージがあります。

 じゃあ、みんなそうしないとイケナイかというと……そうでもないですよね。


 実際「佐藤さん」、「鈴木さん」が活躍する大人気ラノベはいくらでもあります。前回の名付けの話でも綴りましたけれど、「東西南北」が付く四人の登場人物で進んでゆく「物語」だってありますし、平々凡々なよくある名前の方が親近感は湧きます。



 ただ……付けてみたい!

 そんな衝動は、こけばしも抑えられなかったりします。



 その場合、「いやいや! 絶対いないでしょwww」というものよりは、どこかにいそう、なラインを探るのが一般的かと思うのです。やりすぎれば暴走族のチーム名みたいになっちゃいますし、特殊ルビで無理やり読ませるような名前だと、読者に誤った認識で覚えられてしまいます。


 こけばしが実際に出会った人を例に挙げると。



「門田」と書いて、「かどた」ではなく「もんでん」。

「河内」と書いて、「かわうち」と「かわち」が同じクラスにいたり。

「宇田川」と書いて、「うだがわ」と読むと思いきや「うたがわ」だったり。



 あのクラス……ちょっと頭おかしい人が組分けしたに違いない(言いすぎ)。


 たしかに「龍造院りゅうぞういん」とか「勘解由小路かでのこうじ」とか付いているだけで、カッコいいですよね!


土御門つちみかど」だったらそれだけで陰陽師っぽいし、偉人と同じ名字ってだけでも勝手に重厚感が増加します(気のせい)。「一番合戦」で「いまかせ」とか「いちまかせ」とか。「四月一日」で「わたぬき」とか。それだけでインパクト大、ですよね!



 ただ、その名前、ホントに必要? ってことは、今一度振り返って欲しいのです。



 たまによく見る(どっちだよ)パターンでは、名前が奇抜で難読姓なのにも関わらず、「俺はクラスでぼっち、空気のような存在で、誰も名前すら憶えていない」と書かれていると、うーん……そうかなー? って思ってしまいます。


 だって、こんな変わった名前なら、一度も話したことがなくても、名前は憶えていると思うんですよね。少なくとも「なんか変わった名字の奴」っていう認識はあるはず。少なくとも。


 なので、やるのはいいけれど「TPOを考えましょう!」ってことですね。




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。


 今回も「ネーミング」について掘り下げる、とか言っておきながら、ちっとも掘り下げられてない気がするのはこけばしだけでしょうか……。


 なので、次回も引き続き綴っていけたらと思います。ホント、ごめんなさい!



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