第九回 ゴッド・ファーザーのテーマって暴走族のイメージある

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第九回ですが、前回までいろいろイメージしてカタチにしてきたモノ。そのいろんなモノの名前って決めてましたっけ? まだですよね? そうそう、一番面倒臭いんですよね……。


 ということで、あくまでこけばしの場合の、今までやってみた「ネーミングのこだわりとアイディア」について、ざっくりとまとめてみます!




■ネーミングが必要なモノ


 まあ、当たり前ですけれど、登場人物たちには名前を付けてあげなければ、「主人公」は「主人公」のままです。当たり前ですけれど。



 だから「ネーミング」をする必要があるのですが……これって結構大変ですよね。



 その上、ファンタジー系では特に、地名や世界名(変な言い方……)、大陸から海、湖、山脈はもちろんのこと、町の名前や、貨幣や長さ、量などを示す単位名を付けてあげなければなりません。もう、考えただけで気が狂いそうですね……うむ。


 異言語をテーマにしたファンタジー作品、なんてありましたけれど、これはもうそれ以上、はるかに凌駕する難解さに違いありません。ちょっとー! 「バウリンガル」持ってきてー!



 少し話はれましたけれど(予定調和)、書く「物語」のジャンルによって、「ネーミング」が必要なモノの数はかなりの幅で増減します。とある都市をモデルにした架空のお話であれば、まだ元ネタがあるのでマシですけれど、それだっていろいろと気をつかう点があったりします。


 なので。


 これ、無理ぃ! って方は、おとなしく現代を舞台にした「物語」を書こうね!(違う)



■ネーミングのコツとヒント


 とはいえ。


 自分の中で、ある一定のルールを作っておくと、割と「ネーミング」の難易度を下げることはできちゃったりします。簡単だよ! とは言っていない。あくまで、難易度を下げる、です。


 ひとつは、前項にもちょこっと出てきましたけれど、既存の「何か」をモデルとして、それを自分なりにカスタマイズして流用する方法です。



 たとえば。


「キャラクター」の「ネーミング」で比較的多いのは、既存の、しかも割と皆さんご存知のアイドルやグループ、団体の名前を一部引用するパターンです。



 具体的には、漫画・アニメで大人気の「けいおん!」。主人公たち「放課後ティータイム」のメンバーの名字は、かの平沢ひらさわすすむ大センセイが所属していた「PーMODELピーモデル」から引用されています。「テクノ御三家」として数えられる伝説のテクノ・バンドですね。これと同パターンなのが漫画「ぼっち・ざ・ろっく」。メンバーの名字は、アジカンこと「ASIANアジアン KUNGーFUカンフー GENERATIONジェネレーション」から引用されています。


 サッカー漫画「DAYS」に登場する「梁山りょうざん高校」の主要な選手名は、あの「ドリフターズ」のインスパイアになっているようです。「碇屋良介→いかりや長介」、「加藤一彦→加藤茶」、「高木マルコ→高木ブー」、「志村千槽→志村けん」、「中野剛→仲本工事」てな具合に。


 そして誰もがご存知でしょうけれど、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に関しては、登場人物する敵およびスタンド名は、洋楽ロックバンド名および曲名になっています。飛呂彦センセイ、洋楽ロック好きですもんね。それこそディオからして「DIO」だし。なお、ロニー・ジェイムズ・ディオは、ほぼゴリラ。大好きだけども。



「キャラクター」の「ネーミング」において、特定のジャンルの物を取り上げる、というスタイルはこれ以外にも多く、宝石名、果物名、車種名、食べ物なんていうのもあります。


 例を挙げるとキリがないので、詳しくは皆さんで調べてみると新たな発見があって面白いと思います。が、このように「ある特定のモノから発想を得る」とすると、それほど「ネーミング」に悩まなくても済んじゃいます。英名だとダセぇ……という人は、ラテン語に変えたり、ドイツ語に変えてみたりすると変化が付けられます。「ダイヤモンド」が嫌なら「ディアマンテ」。「桃」、「ピーチ」をイタリア語にすれば「ぺスカ」。


 ね?

 使えそうじゃないですか?


 引用するモチーフを統一すると、何となく一体感が生まれますし、新たにキャラクターを追加することになっても余計な手間がひとつ減ります。そのモチーフが、あなたの書く作品に関連しているものであったなら、なおさらステキですよね!



■ネーミングの注意点


 ただ、個性の強い「名前の形態」を持つ国をモデルにしたり引用元にする時は要注意です。


 良い(悪い?)参考例がロシア。


 ロシア人のフルネームは「名前+父称+姓」で構成されています。つまり、適当に組み合わせた名前の人物の、父親が登場すると違和感が生じてしまうことがあるのです。


「父称」とは、実の父親の名前を受け継いだものなので、たとえば、かの文豪・ドストエフスキーの場合、「フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー」がフルネームであり、父親が「ミハイル」なので、ミドルネーム用に変化した「ミハイロヴィッチ」が付けられています。


 ただし、この「父称」は性別によって変化します。「ミハイル」の息子なら「ミハイロヴィッチ」ですが、娘だったら「ミハイロヴナ」になります。そして「姓」もまた、性別によって変化するのです。ドストエフスキー家の娘なら「ドストエフスカヤ」になるんですね。



「んなとこまで、気が付く読者なんていねえよぉ!」


 うんうん。

 凝れば凝るほど、読者には伝わらない「隠れたこだわり」になりがちですよねー。



 だがしかし。

 近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエいわく、「神は細部に宿る」です。



 江戸時代の歴史小説で「キラキラネーム」が登場してきたら、たちまち違和感が仕事をはじめませんか? いや、花魁おいらんとか一部の特殊な職種の人であれば別ですけど。むしろ、子沢山すぎて、もうしまいにしたいので「トメ」(=打ち止め)なんて名付けちゃうくらいですから。


 そういった「文化的背景」も丸ごとパクってルール化しなさい! とは言いません。けれど、知らないより知っておく方が良いし、楽しいと思います。今後の創作のかてになるはずですから。


 特にファンタジー系で、ファーストネーム、ラストネームだけでなく、ミドルネームも付けたい、という場合には、ミドルネームの名付け方やその示す意味だけでも調べてみて学ぶと、きっとあなたの作品はもっとステキなものになることでしょう!




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。


 今回のテーマ「ネーミング」については、もう少し掘り下げる必要がありそうですね。


 なので、次回も引き続き綴っていけたらと思います。



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