第八回 魅力的なキャラクター像とは

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第八回ですが、前回までで「物語」の骨子こっしが見えてきました。では、早速……の前に、とっても大事な作業として、その「物語」に登場する人物たちをイメージしてみましょう。


 ということで、あくまでこけばしのやり方ですが、「魅力的なキャラクター像」の生み出し方、またその時のヒントや役に立ちそうな発想方法について、綴っていけたらと思います。




■キャラクターの重要性


 ズバリ、「物語」の魅力をアップさせる要素は何だと思いますか?


 ストーリー?

 世界観?

 設定?


 たぶんそれは、「いかに登場人物たちが魅力的かどうか」なのだと思うのです。



 たとえば、主人公。

 この子はある意味、作者の代わり、代役であって、代弁者でもあると思います。



 となれば当然、読者には「カッコいい!」「可愛い!」と思われたいですし、「分かるよー分かるぜーうんうん」と共感も得たいですよね。読者と同じ時間を共有し、読者の過去の経験を思い起こさせるイベントに直面して、理想的なカタチでそれを鮮やかにクリアしていく。さすが! やるじゃん! と思ってもらえたら、こんなにステキなことはありません。


 そのためには、第五回の後半でお伝えしたような、「個性と属性を組み合わせてキャラクターを生み出す」ことが必要になってきます。



「だったら、先にキャラクターを決めた方が良かったのでは?」


 うんうん。

 そのパターンも、アリっちゃアリです。



 ただ、ここでそれを「えて」しなかったワケは、先にキャラクターを決めて、そこからイメージを膨らませただけでイキオイ書きはじめてしまうと、途中で行き詰まるケースが多々あるからです。この子にこんなセリフを言わせたい……こんなことしたら、可愛かろう! と、先に細部ばかりに目が行きがちになってしまい、肝心な「大枠の話」がちっとも浮かんでこなくなります。いやいや、この子がカッコよければいいから! と思えども、筆は進みません。


 なので、先に書いた「世界観」や「設定」、「約束事」に「テーマ」が、息を吸って吐くかの如く浮かんでくるようになったらにしましょうね。



■キャラクターの錬成方法 その1


 こけばしの場合、いにしえのIT屋時代に慣れ親しんでいた「マインド・マップ」を使うことが多いです。


 まず、適当な用紙の中心に丸を書いて、その中に「主人公」など「物語」におけるキャラクターの役割を書き入れます。


 そして、そのワードから木の根のようにいくつか線を伸ばし、「主人公」に関連するキーワードやイメージのワードを伸ばした線の先にまた丸を書いて、その中に追記します。そこからまたさらに連想されるワードを、さらに伸ばした線の先に丸を書いて追記して……と、どんどん自由に広げていきます。



 具体的には、「主人公」から伸びた線の先に丸を書いて、「家族」、「性格」、「長所」、「短所」、「身分」などと五つばかり追加してみます。


 さらに、「主人公」から伸びた先の「家族」には、「父」、「母」、「妹」を追加してみました。ここでは敢えてていねいなステップ・段階を踏んでいますけれど、直接、「父と母は健在、妹がひとりいる」と書いたって、もちろんオッケーです。よりスピーディー。


 ここで「主人公」、「家族」、「妹」の先を深掘りしてみましょう。


「学校トップクラスの美少女」、「血の繋がりはない」、「外ではクール、家では甘えん坊」、「料理スキルは壊滅的」と言った、どこかで聞いたことのあるイメージが湧いてきましたね。こんな調子で、ひとりの登場人物に対してQ&A形式のように自分自身に問いかけて、その答えを書いていけばいいんです。ね? カンタンですよね。



 ちなみに、パワーポイントなどの資料作成ソフトで作ると、図形の移動が楽ですよー。


 ただこのままでは、後でいちいち辿たどるのも面倒ですから、資料としては保管しておきつつも、ちゃんとひと塊の文章にしておいた方が良いです。


 その際には、登場する頻度にもよりますけれど、お父さんやお母さん、妹の項に分けて、それぞれ別にしましょう。多少似通った内容が並ぶかもしれませんけれど、もしかすると「兄は好きだが、妹は嫌っている」と違いが出てくるかもしれませんから。おにい、カワイソー!



 この「マインド・マップ」の利点は、「連想によってアイディアが広がる」ことです。反対に難点は、「目的が明確でない時にはあまり役に立たない」ことです。また、アナログで書こうとすると面倒な点もあり、デジタルでの作成が向いています。


 あと、決してキレイに作ろうとはしないこと!


 あくまで「発想術・連想術」なのですから、前述の「文章にして残す」方に時間と労力を費やしてくださいね。



■キャラクターの錬成方法 その2


 とある友人がやっていた方法です(IT屋時代に、というただし書き付きです)


 名刺大のカードに、思いつく限りの個性、属性を書き込みます。「陽キャ」、「オシャレ」、「腹黒」、「糸目」、「ドS」……などなど。一応、友人の名誉のために追記しておきますけれど、今挙げたワードは、こけばしが咄嗟とっさに思いついたものですよー!(それはそれで…)


 で、書き終えた大量のカードをシャッフルして、五枚程度を抜き出しオープンします。


 そこで出てきたワードを、順番を変えたり、意味を拡大解釈したりして、ひとりのキャラクター像に仕立て上げる、という方法です。物足りなければ、さらに一枚、もう一枚と追加しても良いでしょう。個性や属性なんて、なんぼあっても困りませんからね!


 もし仮に「男の子」「女の子」と引いてしまったとしても、そこは機転を利かせて「男の娘」としたり「王子様系ボーイッシュ」などと辻褄つじつまを合わせて、無理やりにでも繋げます。すると、何となしにキャラクターが! あらあら、生まれたわ! ばぶぅー! となるのです。



 ただこの方法では、キャラクター自体の個性と属性は決まっても、「マインド・マップ」とは異なり、周辺情報までは埋められません。キャラクター同士の関係性を表すには向いていない、ということですね。


 もー! なんも浮かばねえ!

 閃け、あたしぃいいいいい!


 となった時の必殺技だとお考え下さいませ。




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。


 今回で「物語」の「登場人物」までできちゃいました!


 ……いやいやいや!

 肝心な「名付けの儀式」が終わってねえ!?


 なので次回は、皆さんお困りの「ネーミング」について綴っていけたらと思います。



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