第七回 あなたが「書きたいモノ」で伝えたいものは何か

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第七回ですが、前回までで「物語のアイディア」がさらにふくらんで、生き生きとしてきましたよね。でも、肝心なモノがまだ抜けているように思うのです。


 それは「テーマ」と「ゴール」です。


 ということで、あくまでこけばしの場合に限りますけれど、「物語のアイディア」にあなたの心と魂を吹き込むための「テーマ」と「ゴール」の考え方について、ざっくりとまとめてみます!




■テーマとはなんぞや


 一概に「テーマ」というと、やたら仰々ぎょうぎょうしいものを想像しがちかと思いますけれど。


「あたし(俺)は、この物語でこういうことを伝えたいんだよぉおおおおお!」


 という、意気込みというか、一本通った芯というか、背骨みたいなものを決めることを指します。



 大人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」で作者の荒木飛呂彦センセイは、


「JOJOの物語の、一貫したテーマは、『人間賛歌』です」


 とどこかで仰っていました。



 これを真似しようとすると、えらく高尚なモノを考えなければならないフンイキがしてしまいますけれど、そうではないです。もっと単純で、簡単なものでいいと思っています。



「人間って、素敵だよね!」


 でもいいですし、


「人間って、残酷だよね!」


 でもいいんです。



 ただ、一度それを決めたら、徹頭徹尾、そのテーマに沿った内容にすることを心掛けなければなりません。例外として破ることがあっても良いのですけれど、その場合には作者の代弁者である主人公も、それなりに大きなダメージと高すぎる代償を支払う必要が出てきます。そうでなければいけません。


 これは第一回の「なぜ物語を書くのか」にも通ずるものがあります。


 もしもあなたが、社会から不当に扱われ、今の境遇を悲観して、世界全体すべてのものに対しての「復讐心」を抱いていたとしたら、それらすべてを「嘲笑あざわらい」、「駆逐」して「破壊」するような「物語」を書くのかもしれません。


 そうであったならこけばしは少し悲しいですが、その「この世のすべてに対する復讐と蹂躙じゅうりん」がテーマになるのかもしれません。


 そこまで行かなくても、たとえば未だに過去の学生時代の空虚な恋愛事情がコンプレックスになっているのであれば、「陰キャ男子がなぜかモテてモテて困る」のようなテーマになるかもしれません(これは……テーマなのか?)。



「んなモン、なくたって、できらぁ!」


 うんうん。

 そういう方もいますよねー。



 でも、これがあると「物語」がブレたり、迷いが生じることが少なくなると思うのです。ぜひお試しあれ。



■ゴールとはなんぞや


 ズバリこれは、


「どうなると物語が終わるのか」


 ということです。


 そんなの当たり前じゃん! という声が聴こえてくるようですけれど、案外これが明確に決まっておらず「何となくハッピーエンド」くらいに考えている方も多いのではないでしょうか。


 面倒な言い方をえてしてみると、



 ・主人公の叶えたい願いは何か

 ・そのためにクリアすべき課題は何か

 ・課題をクリアするための必要条件は何か



 というように細分化されると思います。

 これを王道、というか、コテコテテンプレRPG風で考えてみますと、



 ・悪の魔王を討伐してこの世に平和を取り戻すこと

 ・各地を旅して選ばれし「絆の仲間」を集めなければならない

 ・それぞれの「絆の仲間」から提示された試練に合格しなければならない



 となるワケですね。


 これがもし「悪の魔王を倒す!」だけだと、途中で何をすべきかが曖昧になります。寄り道し放題で、話がどんどん反れていきます。読んでいる読者も「結局こいつ、何がしたいんだ?」と混乱してしまうことでしょう。


 ですので、単純に「ゴールを決める」と言っても、割と具体的な内容にしておく必要が出てきます。いわゆる「フラグ」のようなもの、と考えると、より具体化しやすいかもしれません。「フラグ」と考えれば、どのように「フラグ」を探して、どんな方法で「フラグ」を立てるか、また、どうなってしまうと「フラグ」が折れてしまうのかが考えやすくなります。



「んなモン、決めちゃったら終わらせないといけなくなるじゃん!」


 うんうん。

 某サイトでは、数十、数百、数千話と、延々書き続ける方が人気出ますもんねー。



 でもですね。

 こけばしは「物語は、終わってこそ、物語として完成する」と考えている派なのです。


 ここに関しては、異論・反論はあるかもしれません。


 ですが「終わらない物語は、どこまで行っても未完成品に過ぎない」という考え方に、一切の揺らぎはありません。これだけは譲れない、こけばしのポリシーです。ごめんなさい!




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。


 今回までで、「物語」の軸はできてきたかな、と思います。

 なので次回では、その世界に登場する人物たち、「キャラクター」を考えてみましょう。



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