第四回 こんな小説、今までなかった! その1

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第四回ですがー。

 前回、前々回でムツカシーことを書くとボロが出るな、といまさら気づきました!


 なので今回は、物語を書く前、どうやって物語の「タネ」を見つけてどのように育てるかについて、こけばしの頭の整理も兼ねて、ちょっぴり綴っていけたらと思います。




■誰も知らない知られちゃいけない


 突然ですが。

 皆様はリアルの生活において、こんなことを言われたことはありませんか?



「今までにない、誰も見たことのない、まったく新しいアイディアが欲しい!」と。


 こけばしはあります。

 そう、あるんです……。



 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、こけばし、元IT屋でWeb屋でございまして。大手企業様のホームページやキャンペーンなどを担当していたPM(プロジェクト・マネジャー)でございました。その折に言われたのです、先程のセリフを。


 あなたならどのように返しますか?


 気心の知れたクライアント様でしたので、こけばしは「そんなの思いつくなら、今頃はきっと社長やってますねー」とこたえました。もちろん、大マジです。ガチィで、です。


 つまり何が言いたいのかというと。



「この世に、誰もまだ見たことのない斬新で、スペシャルなアイディアなんてない!」



 ということなのです。


 もちろん、途轍とてつもない才能を有していて、常人では到底理解の及ばない発想力をお持ちであれば、万にひとつの可能性で浮かんでくるかもしれません。



 けれど。

 果たしてそれって、万人が同じように理解できるモノなのでしょうか?



 たぶん、こたえはノーで、大勢のマジョリティーは「イミフw」と見向きもしないでしょう。


 だって、理解できないんですもの。

 仕方ないよね。



■あれやこれやだってそうなんだもの


 この世に存在する「画期的なモノ」とは、その大部分が「今まで既に存在していたモノ」の組み合わせです。あのGoogleでさえ、Yahoo!やgooが既に提供していた、検索エンジンの仕組みを、とことんシンプルに、軽快に動くものとして提供したのがはじまりです。


 X(Twitter)もそうですね。すっごく大雑把に言ってしまえば、それまで存在していたBBS(電子掲示板)とチャットの仕組みを、シンプルにツールとして、さらにリアルタイムにしたもの、と言い換えても過言はないと思います(怒られそう……イーロン、許して)。



 小説や物語も同じで、今世の中にあるものは、何かしらの「既存品プレタポルテ」の組み合わせです。



 隆盛を極めた「異世界モノ」も、言ってしまえば既存の「ファンタジー」と「輪廻転生」、もしくは「タイムスリップ」、それにいくつかの要素を組み合わせたものです(断言していいのか……いいのか?)。


「異世界召喚モノ」が近年生まれた「新しい概念」かというと、一八五〇年代にはすでに名作「ナルニア国物語」が発刊されていますから、実に一七〇年近い歴史があるワケです。日本でも、高千穂遥センセイが「異世界の勇士」を書かれたのが一九七九年だったと思いますので、それだって四〇年は優に経過しているジャンルなのです。


「異世界転生モノ」はと言えば、そりゃあ、あなた! 「古事記」の須佐之男命スサノオノミコト、です! というとかなり語弊がありそうですけれど、少なくとも山田風太郎センセイが書かれた「おぼろ忍法帳」、のちの「魔界転生」がありまして、初出は一九六四年となります。角川映画にもなりました。ちなみにこけばしは映画版、すっごい好き!(どうでもいい)



 またまた横道にそれましたが。

 要するにですね。



「既存のワードの組み合わせで、他との差別化を図るのです!」です。



 たとえば。

 同じ「召喚」されるのでも、行き先が未来だったらどうでしょうか?


 しかも、すべてが適正進化した世界(=現代の上位互換)で、召喚された自分だけが持っている「忘れ去られてしまったいにしえの技術」、いわば「ロスト・テクノロジー」が重用される世界だったとしたら?


 その発想に加えて、さらに「オタク」と「検定挑戦」と「世間知らずなお嬢様」、さらに「クイズ」を加えた結果が、拙作『お嬢様、未来のビジネスマンに「宅検」は必須資格ですよ! ~オタク・カルチャーは未来を救う!?~』になります(ここ、宣伝です)。



 ■お嬢様、未来のビジネスマンに「宅検」は必須資格ですよ! ~オタク・カルチャーは未来を救う!?~

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887662618



 詳しくはご一読いただきたいのですけれど(注:強制ではありませんが、お読みいただけたら五体投地で感謝します)、これでも有難いことにお星さまを百十二個、ページビューを4,500ほどいただきました。特にこけばしの作品の中でも際立って特徴的だったのは、物凄い数のコメントをいただいたことです。


 つたない分析ですけれど、とりわけ文章がうまかったとか、内容が面白かったとかではなくって、読み手の「共感」を得たのだなぁ、と思うのです。ついつい、ひと言コメントしたくなってしまう。それも作品としては大きな評価だよなぁ、と、とっても心強く、前向きに思えた作品のひとつです。




 おっと、そろそろお終いの時間です……が!


 なにが「次回はもっとゆるーいテーマでいきましょうねー」だよ!

 全然肝心なことが書けてないじゃーん!


 てなわけで。

 ちゃんとお役に立てるよう、もう少し実践的な部分を次回に書くことにします。すみません!



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