第三回 さらに文章力を上げるポイント

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第三回ですが、前回の基礎編をクリアした後にちょっとした工夫、注意を心掛けることで「さらに文章力がアップしたように見えるポイント」について綴っていきましょう。


 まずは前回の流れで、比較的分かりやすいところからいきましょうね。




 ■数字を使う時は、半角数字? 全角数字? それとも漢数字?


 はい、出た!

 一番悩む奴!


 正直、インターネットで公開する作品ならば「正解は無い」と思っています。デフォルトで横書きなので、オール半角数字でも違和感は無いっちゃ無いです。


 ただ「1989年」だったり「1989年」だったりの西暦表記は「一九八九年」の方が格段に座りがいいです。書籍化を念頭に置いている方は、いずれ縦書きになるので漢数字表記がオススメ。


 どうしても! という場合には、同じカテゴリー内で統一するようにしましょう。


 カテゴリーというのはつまり、長さとか個数とか、年齢とかのこと。それ、それぞれが別の場所で異なる表記になっているのはNGです。これはルールではなく、読み手の負担という意味ですね。


 分かりやすく、守りやすいマイルールを作るとしたら、後に続く単位が「漢字」なら「漢数字」、「カタカナ・記号」なら「アラビア数字」とすると、比較的迷うことなく、スムーズに導入できます。



 ■記号を使いたい時にはどうするの?


 基本的には「カタカナ表記」にします。

 もうそういうものだと理解して下さい。



 えー!

 でも「%」とか「㎡」とか「ℓ」とか記号打てるじゃん!


 うんうん。

 ですよねー。書けちゃうんです。



 しかしながら、この世の中にはですね、「機種依存文字」という厄介な上位ルールがありまして。なんのこっちゃい、と思われるでしょうけれど、特定のパソコン、スマートフォンでないと表示できない文字、とでもいいますか。ゲイツとジョブズは和解しろ、とか。とにかく少々ややこしい事情があったりします。特にそれは、Webで悪影響を及ぼします。


 また別の――というか、本来の理由として、国、地域によって単位は異なりますし、その略号が読めない方も少なからずいらっしゃいますので、「カタカナで表記する」がルールです。



 ご存知ですか?

 石油とかの話題でしばしば登場する「ガロン」。


 あれ、国によって、量が違うんですって!(英ガロンと米液量ガロン)。しかも、かつてはワインとエールとコーンの三種類あって、それぞれ別の量だったのです! んな、馬鹿な!?



 それはさておき、「100%」ではなく「100パーセント」、「20㎡」ではなく「二〇平方メートル」(直後が漢字なので漢数字にします。前項参照のこと)となります。


 もっと細かいことを言うと「国際単位系」って話に繋がるのですが、たぶん混沌化してしまうので忘れましょう。悪いことは言いません、大事なのでもう一度。忘れましょう!!



 ■Webライトノベルは改行と空行が重要


 これをシンプルに、純文学と呼ばれる作品は「黒く」、ラノベのようなライトな作品は「白い」と表現される方もいます。要するに、1ページにどれだけの文字が詰まっているか、という意味ですね。


 これもまた、紙とインターネットでは大きく事情が異なってくると思うのですけれど、あえて文章作法として考えるならば、



 ・台詞の連続パートでは空行を空けない

 ・意味が繋がっている文は改行しない

 ・場面転換するなら改行プラス空行を入れる(しないなら改行のみする)

 ・地の文と台詞の間に空行を入れる



 の四点に注意すると、格段に読みやすさが増す、と思います。


 もちろん、大きく場面が変わる場所では複数行空行を入れて、先の展開を見えないように(スクリーン上で、という物理的なお話です)したり。そういう「Webだからこそ」のギミックを組み込むこともできます。特にインターネット小説では、ひと台詞ごとに空行を入れたりすると好まれる傾向にあるみたいです(当社比)。


 ただ、これもやりすぎると「白い」空虚感ばかり目立ち安っぽく見えてしまいますので、無闇に濫用するのはオススメしません。



 ■「煩い」とか「鳩尾」とか「背黄青鸚哥」とか、難しい漢字使うと頭良さそうじゃね?


 これもあるあるですね……。


 無論、それが一種のアイデンティティ、あなたの作品の作風、テイストになっているのであれば止めませんけれど、ルビ無しで一発で読め! と言われたら、かなり厳しいです。


(脚注:ちなみに、順に「うるさい」、「みぞおち」、「セキセイインコ」です)


 大正文学風だったり、そうするだけの歴然とした理由があるならいいのですけれど。そうでなければこれは、単に読者のストレスを溜めることに繋がってしまいます。ストレスがMAXに至れば……いや、そうでなくても、即ブラバ! です。ポチるだけ、一瞬ですから。


 またこの「ブラバ」のように、ネット民なら常識の範疇でも、一般市民の方々はご存知ないワードについては補足が必要です(使うなら、ですけれど)。ちなみに「ブラバ」→「ブラウザバック」です。



 少し話はそれましたが、インプットツール――つまり、パソコンやスマートフォンが変換してくれるものだから、ついつい難しい漢字、見た目字面じづらのカッコいい漢字を選びがちなもの。


 しかし、それは罠です。

 読み手の立場から言わせていただくと、自分に酔ってるのかな? となってしまいます。


 だって、読みづらいんだもん。

 しかもルビ無しで、いちいち検索するのダルいんだもん……。



 これにはこけばし、もっともシンプルで、確実な解決案を提示します!


 今、打ち込んだその文字、紙とペンだけで、ご自分の手で書けますか?

 ダメなら、今すぐ諦めて、即刻開いて(「漢字」から「ひらがな」にする行為)下さい!




 おっと、そろそろお終いの時間です。


 こけばしさんに文章ルールとか書かせたらダメだぜ……。

 方々からお怒りのお手紙が届くから!


 じ、次回は、もっとゆるーいテーマでいきましょうねー!



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