第二回 書き方のお作法とは何ぞや

 はじめての方はよろしくお願いします。

 お馴染みの方はようこそ懲りずにお越しいただきました、虚仮橋陣屋(こけばしじんや)でございます。


 さて第二回ですがー。

 はよ本題に入れ! と、早くもお叱りを受けそうで震えています……。


 てなわけで、ちょっぴり役に立つテーマとして今回は、タイトルどおり「書き方のお作法とは何ぞや」について綴っていきましょう。




 ■そもさん


 近年、インターネットを活用して作品を公開できる場が増えました。

 ネットは広大だわ……(素子)。


 それにともなって、自己流の「書き方」を貫いている方を見かける機会も増えました。しかし、もしもあなたが出版各社で開催しているコンテストへの応募を検討されているのであれば、最低限の「書き方のお作法」は身に着けなければならない、と申し上げる次第です。



 ……はい?

 どこかから聞こえてきましたよー!



「俺様の自由きままに書きたいんだからほっとけ!」

「そんなことしなくても、才能があるから無問題!」

「下らねえお作法なんざ知った事か! F●CK!」


 うんうん。そうですよねー。

 自分だけの「物語」なのですから、どう書こうが自由ですよー!(菩薩)



 でもですね、どんなに優れていて魅力溢れる「物語」だったとしても、その「書き方のお作法」にならっていない、ただそれだけでふるい落とされてしまったとしたら、もったいないと思いませんか?


 残念なことに、このモノカキの世界にはルールがあり、決まりがあります。それに従わない作品には、それなりのペナルティが課せられます。幸運にも目利きの編集者があなたの渾身の力作を拾い上げてくれたとしても、すわ出版となった暁には大量の校正を有難く頂戴する羽目になります。


 ならば、あらかじめ覚えておいて損はしないと思いますよ。ね?




 ■段落冒頭文字は一文字下げる


 これ、割とネット・ケータイ小説育ちの方がやってしまいがちかと思います。


 でもですね、これって小学校の作文の授業で教わっている基本ルールなはずです。下げればいいだけなので楽チンです。ぜひやりましょう。


 ただし、セリフ文に使う鍵括弧かっこ(「」や『』)の場合は下げません。記号の分、一文字下がっているのでOK、と覚えましょう。



 ■句読点はしっかり入れる


 何を当たり前のことを……と仰る方、縁あって他の方の作品を拝見する機会が多かったのですけれど、意外と多いんです! これも作文の基本。


 けれど、LINEやX(Twitter)で育ってきた方々は、句点(。)を付けないのが習慣になっていると思います。むしろつけると、「え……なんか怒ってる?」と震えてしまうとか。謎い。


 句点(。)は文章の最後に付ける、なのでシンプルで分かりやすいですね。なお、セリフ文の文末に来た場合は、句点(。)は不要です。


 一方、読点(、)の付け方には多少コツがいると思っています。これはまた、いずれの機会に綴れれば良いな、と思います。



 ■疑問符(?)と感嘆符(!)の後は一文字空ける


 うーん、これ、学校で習ったかなあ。正直こけばしさんは記憶にないです。


 ただこれを怠ると、どこで文節が区切れているかが分かりにくくなることもあります。文字っぽいから? なのかな? なお、セリフ文の文末に来た場合は文字空け不要です。


 ラノベでは多用される傾向が強いですよね。


 ただ、多用と乱用は別モノ、です。むやみやたらに使うと! やたら登場人物がシャウトし続けているという! 異様なストーリーが展開されてしまいます!


 あとラノベあるあるでは、「喰らえっ!!!!!」のような連打も。ここぞという時に使うことをルールにするといいかもです。これで稼げる文字数なんてたかがしれてるもの……。


 ああそうだ!!

 こういう使い方も必要ですよね!?


 という感じに、「強調の極み」と「強調アンド質問」という変則パターンもあります。横組みにする(!と?を一文字として横に並べる手法)もありますが、近年の書籍ではほとんど見かけなくなりました。



 ■三点リーダー(…)やハイフン(―)は二つセットで使う


 例を挙げますと、「くッ……殺せッ!!」や「びくん――びくん!!」みたいな表現で(なんつーもの書いてるんだ)使うアレです。


 このルールの元々の由来は、文部省で作成された『くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)』中において、用例として点(・。通称ナカグロ)が六個書かれていたからである、とされています。


 が、真偽のほどは定かではありません。

 たびたび論争の火種になるので、これ以上は触れないことにします……。


 なお、こけばしさんは「偶数ならOKじゃね?」と思って、四つ、六つと多用する傾向にありますが、やりすぎると終始登場人物がためらっているという、微妙な空気感漂う物語になりますので、ご注意めされよ。



 ■人称がブレないようにする


 はい、ちょっと難しい話になりましたね。

 このあたりから該当する方が格段に増えてきます。



 ざっくり鷲掴みにすると、


「地の文を誰の視点で書くのか」


 ということです。



 一人称であれば、一般的には主人公の視点になります。三人称であればいわゆる第三者、「神の視点」とでも言いましょうか、登場人物以外の誰でもない視点になります。


 ここで陥りやすいミスとしては、一人称なのに、相手の心情をこと細かに描写してしまう、などです。あくまで主人公の目線、見えたものがすべてになりますから、「読心術」保有者でもなければ相手の心情なんて分かるワケがないですよね。


 また別の例としては、主人公不在のシーンを書いてしまうとか……。ただしこれは、そのパートだけヒロイン視点の一人称に変えてしまう、という変則手法もあります。注意点としては、明確に視点者が変わったことを伝えないと読者が混乱してしまう、という罠がありますよー!




 おっと、そろそろお終いの時間ですね。


 今回は基礎編でしたので、次はさらに文章力を上げるポイントについてお話ししましょう。



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