第27話 ラブコメ展開にはならない二人

「·····なぁんで、私があの異世界人を探さなきゃいけないんですのよ」


深夜2時、しょーもないことで私は肉体労働をさせられている。

なーんで、逃げたアホの事を探さなきゃいけないんですの。

私客人ぞ? シノンたん達も叩き起してるのならともかくなんでん私だけ。


「つーか、逃げたのってオペラ見てる間でしょ、ぜってぇもう逃げてますわ」


「はは、でも、イヴ様が起きる前に何とか檻にいれなきゃ」


笑いながらそう言ったロンド。

·····まじでこいつ、従者の鏡ですわ。

·····ん?ちょっとまて


「そういやあんた、音楽家でしょうに、なんでこんなことしてるんですの?」


「ははは、なんでだろーね」


少し考えて彼はいい笑顔を見せた。


「ははってあーた、自分の仕事できねーのでは?」


「ちゃんとやってるよ、この前だって歌劇を作った。演奏だってするし、作曲もする」


「·····その片手間にあのプリンセスのお世話してるんですの? ロンドきゅん、あんた化け物じゃなくて? 普通体壊れますわよ?」


「根性でなんとかなるよ、好きな事やってるからね」


すげぇよこの男。

私じゃ到底我慢できませんわ·····。

なんでそんな笑顔でそういうかっこいいこと言えるんですの?

人間やめてるのではなくて?

まぁもしかしたら、私とは違うベクトルのアタオカなのかもしれませんが。

だって、あの姫の我儘を好きで聞いてるとかありえませんわ。


「ははっ、セイラ。有り得ないって顔してるね」


「そりゃそうですわよ。なんでそんなにイヴちゃんに尽くせるんですの? 意味わからんですわ」


「·····あぁ、そりゃ、俺があの子といるのが楽しいからさ」


当然のように言いやがりましたわこの男。

ちょっと引くわー。

まぁでも、そういう理由なら分かりますわ。

好きな子になら自分の身を捧げても苦痛じゃないですものね。


「·····セイラ、また変な顔してる。俺の事幼女趣味とか思ってない?」


あら、バレテーラ。


「ザッツラーイト、その通りではなくって?」


「セイラ、よくデリカシーないとか言われない?」


開き直って言ったらプクッと顔を膨らまされた。


「まぁ、いいけど。あと俺は幼女趣味じゃない。言葉通りあの子といると楽しいから飽きないんだよ。作曲の刺激にもなるしね」


「へーやっぱ音楽家は変わってる人間が多いですわね、私に言われたかろう、ないですけど」


そう言うと彼はクスリと笑った。


「そんな変わり者の君も俺は気に入ってるけどね」


「あら、どーも」


私の反応が期待していたものと違ったのか、彼は少しぎこちない笑顔を見せる。


「反応薄くない?」


「言われ慣れてますもの」


「変わり者って?」


「·····おめーが私のことどう思ってるかしっかり分かりましたわ」


こいつ、本当に私のこと面白人間としか思ってねーですわね。

それはそれで、凄く腹立たしいのですが。


「ははは、でも本当に気に入ってるんだよ? ずっとこの国にいて欲しいくらいさ」


「そりゃ、お前がイヴちゃん相手私に押し付けられるからでしょうに」


「それもある」


「まじおめー私を落としたいならすげぇ甘い言葉掛けてみなさいですわ、その顔でどうにかなる相手じゃねーですわよ?」


「超絶自意識過剰」


「冗談真に受けるんじゃねーですわ」


調子狂いますわまったく。

私がツッコミに回るなんてよっぽどですわ。

しょーもない事を話しながら、アホ勇者の探索は翌日午前7時まで続いた。

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聖女が強奪した聖剣は新たな勇者を生み出しました 匿名3972 @tokumei3972

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