第25話 自分がいない所で敵はいい思いをする

「かぁー、疲れましたわ!」


久しぶりにオペラなんて見ましたから背中が痛いですわ。

あの劇場の椅子硬くて最悪ですわ。

まぁ、内容は面白かったですが。

ロンドって凄いやつだったみたいですわね·····

一緒に見ると思いきや、壇上で指揮振ってるんですもの、しかもあのオペラ作ったのもアイツと聞いて驚きましたわ。


部屋のベットに寝っ転がり帽子を取る。


「あっそうですわ、あれどこやったかしら」


帽子の中にある、シロガネ帝国から貰った腕時計型携帯端末を取り出して腕につける。


「よかった、電池まだ残ってましたわ」


シロガネ帝国を去る際、コユキ皇帝が私達ように改造して渡してくれた端末。

腕に着けとくと自動に充電できる優れものですわ。


「シノンたん達に暫く帰れないこと伝えないと」


まさか、明日もイヴに連れ回されるとは。

なんで私が教会で祈りを捧げなきゃいけねーんですの。

聖女だからって女神と対話できるわけでもねーですのに。


画面を触ってシノンたんに連絡を取る。


『ピコンピコン』


呼出音が数回なるがシノンたんは出てくれない。

あれー? どうしたんでしょう。

何かあったのかしら。


『もっ、もしもーし』


ようやっと出たと思ったら、何故か聞こえてきたアシュラの声。

しかもちょっとキョドってる。


「あっ? なんでおめーが出てるんですの?」


『なんだよ、折角でてやったのに』


「·····まぁ、いいですわ。ちょっとシノンたんにも伝えて欲しいんですけど」


『あっああ、なんだ?』


「暫くそっちに戻れそうにないですわ、あの姫がなんかミョーに私を気に入ったみたいで、色んな行事に参加させられるみたいなんですの」


『あー、そっかーそれは仕方ないなー。大丈夫だセイラ! 災厄の情報集めは俺達で頑張るぜ!!』


·····なーんでコイツこんなに焦ってるんでしょうか。

しかもいつも言わねえ頼もしいこと言っちゃって。


「まぁ、落ち着いたらそっちにすぐ顔を出しますわ。それまでよろしく頼みましたわよ」


『おっおう! じゃ、切るな!』


「お待ちなさい、なんで切ろうとしてるんですの? まだ聞きたいことがありますわ」


やべーですわ、こいつ何か隠してますわ。

直ぐに切ろうとしやがって、すっげー怪しいですわ。


『なっ·····なんだよ?』


「今どこにいますの?」


『宿屋だよ、王様が用意してくれた高級ホテル。確か名前がノエルクラウン』


「へぇ、結構いいとこに泊まらせてくれたみたいですわね。で? アシュラ今シノンたんどこにいますの?」


『えっとなー、うん、風呂入ってるよ風呂』


·····風呂?

なーんでシノンたんが風呂入ってることこいつ分かるんですの?

へい、セイラズブレイン可能性を模索しろですわ。


シノンたんの携帯端末→アシュラが持っている→二人はいま宿屋→何故かシノンたんの風呂事情をアシュラが知っている。


この情報から察する最悪の事態を見出すと·····


「アシュラおめー、シノンたんと同じ部屋にいる訳じゃねーですわよね?」


『ちっ、違っ! そんなははは!·····ボゴォン!!』


アシュラが否定したと同時にどこからが爆発音が聞こえてきた。


「なんですの!?」


『なっなんだぁ!?·····ぎゃー! ごめっ! アシュラぁ! 泡風呂爆発したー!』


「ギルティいいいいいいいい!!!!」


風呂場から聞こえてきた声が聞こえた瞬間、私は絶叫した。


『うっ、うるせー! 鼓膜破れるかと思っただろうが! 』


「知るか! てめぇ! 何シノンたんと一緒の部屋に泊まってんですのよ! 呪い殺されたいんですの!? 」


『しょうがねぇだろ、指定された宿屋に行ったら高級ホテルで、しかもスイートの大部屋だったんだよ!! まぁ安心しろ大部屋と言っても個室が四つあって、プライベートな空間はしきられてるから』


「はぁ? そんなこと聞いてねーんですのよ! 男女が二人きりでそんなとこ泊まったら、抑えきれねーだろうが! 仕切られてるだァ!? そんなのどうとでもなるんですわよ!! 私の可愛いシノンたんを汚す気かてめー!! 紳士なら普通断るよなぁくそが!!」


向こうには見えないが綺麗な中指を立ててブチ切れた私。


『うるせー!! こっちだって分かってんだよんなこたぁよ!! だけど、シノンが目を輝かせて泊まりたいって言うんだから仕方ないだろぉ!!! しかも他の部屋満室だし! シノンたんそういう事気づいてないし、警戒心ないし、なんか言ったら向こうが意識したらこっちが恥ずかしくなるから言えねーし! まじでどうすりゃいいんだ!』


「なんですのよその羨ましい悩みは!!シノンたんとフラグ建ててるからって、チョーシ恋てんじゃねーですわよ!! 死ね!」


『建ててねぇから!!』


「ギルギルギルティ!!!」


『バタッ! アシュラー! やばいっ! 泡止まんない!! あれ? 誰かと話してるの?』


今起きてる事を想像して口から吐血した。

しっ、シノンたんがお風呂から上がってきた!?

それつまり、あれですわよね!?

裸!? いや、タオル一枚!? そんな


『シノっ!?』


「·····おいアシュラぁ、お前まじで地獄行きですわ。シノンたんの裸orバスタオル姿見やがりましたわね」


『あっ! セイラと繋がってるの? もしもーし! 聞こえてる?』


「シノンたーん!!? 大丈夫ですの!? そのクソバカアホ猿に手を出されてませんこと!? つーか、いま裸!? 早く服きて!! まじで! うわーん!! シノンたんがー! うおぼろろろろ!!」


女神の声を聞いて情緒が不安定になる私。

まじで何喋ってっかわっかんねぇ。

終わってますわ私。


『ふっ、服は着てるよ!!! そこまで私ポンコツじゃないし!!』


やったー!!!! 服きてる!!

いえーーーい!! マジでほっとした!

嬉しすぎて涙出てきましたわ。


『まったく、セイラは心配性なんだから。それよりセイラは大丈夫だった? あの姫に無茶させられてない?』


「シノンたんマジ天使。私のこと心配してくれるとか私のこと好きすぎん? 愛してますわシノンたん結婚しよ」


『·····おいバカ、何言ってんだ、シノンが引いてるぞアホ聖女』


アシュラの一言ではっとさせられた。

やっべー、思ったこと口走りすぎましたわ。


「·····おーっほっほ!冗談ですわ!とりあえず3日後隙を見て会いに行きますわ! それまで2人で頑張ってくださいましー!」


急いで通話を終わらせ、私はベットに大の字で転がった。


「セイラー! 大変だ!」


バタンと音を立てて扉が開きロンドが中に入ったきた。


「ちょっ!? レディの部屋に入る時はノックしやがりなさいですわ! 自分が色男だからって許されると思うなですわ!!」


思わず近くにあった帽子を投げつけてしまいましたわ。


「すまない! それより大変なんだ! 勇者が脱走したんだ!」


「·····そう、じゃ、寝ますわ」


「セイラー!!!!」


どうでもいいことだから寝ようとしたら、布団からひっぺがされて私はロンドに連れていかれた。

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