第7話 災厄と結界

「ポーションよし!」


ポーションがギチギチに詰まったカバンに


「体調よし!!」


最高級のベットで休んだ体


「皇帝よし!!!」


そして、笑顔のシロガネ皇帝。


「さて準備はよろしいですわね!!」


「あぁ!!」


「超絶ばっちこいだよ!!」


私達はこれから、結界に入る。


「·····それでは結界を解除します。開いたら直ぐに入ってくださいね」


彼女が呪文を唱えると、ドーム状に辺りを囲っている結界の一部に穴が空く。


「行きますわよ!」


「うん!」


「おう!」


「どうかお気をつけて!!」


その穴に飛び込むと、すぐに結界は元に戻る。

結界の中は、寂れた歓楽街がその当時のままの姿残っていた。


「風化してても結構オシャンですわね·····流石旧ツクヨミ町」


結界の中の地図を開いてセイラは周りを見渡した。

歓楽街だったこともあり、複雑な作りをしているこのエリア。

RPGみたいに、あのお城でずっしり構えてくれてればいいんだけど·····


「ここから災厄探すって結構ハードだね」


「何言ってんだシノン、災厄倒すことの方がハードだろうが」


「·····たっ、確かに」


「まー、大丈夫ですわ、どっこいせ」


「「·····!? えっ? 何してんの?」」


急に大鎌を構えたセイラ。

いや、まさかとは思うけど、その鎌を大振りとかしないよね?


「せいっ!」


間髪入れずに振り切ったあああ!!!

風圧でこの先の建物も切れて傾いてるし!


「「本当にやりやがった!!」」


「ほら2人も早く、こうして暴れていりゃ向こうも来ますわよ、あっ魔法攻撃はあんまりしちゃ駄目ですわよ? ポーションが足りなくなります·····ってなんですのこの煙」


「なっ、なんか甘い匂い~」


「馬鹿っ! 吸うな!」


「むぐっ!」


アシュラは何かに気がついて、私の口と鼻を慌てて塞いだ。


『ウィンド・ウォーマー』


その直後にセイラが私達に魔法をかける。

風で口周りを包み込み、煙を浄化させている。


「ごめんですわ」


やっちまったって顔のセイラは素直に謝った。


「ごめんじゃねーよ! 見ろ! 勇者様がトローンとしちまっただろうが!!」


「うわっ、エロッじゃなくてヒールヒール!!」


セイラの一言にちょっと引いてるアシュラ。


「大丈夫かシノン」


「うん、なんとか、ありがとうアシュラ」


「ごめんですわ、シノンたん!!」


泣きながら私に抱きついてくるセイラ。


「もー、いきなり変な事しないでよね」


でもこの煙、絶対災厄のものだよね·····

つまり、私達の存在が向こうにバレ·····


「ぎゃあっ! ぎゃあっ!!!」


目の前に現れた小さな鬼。

彼らは声を荒らげて私達目掛けて走ってくる。


「災厄の使い魔!!」


「よっしゃ! 結果オーライ! 敵が私達に気づきましたわ! さぁ使い魔倒してボスを引きずり降ろしますわよ!!」


「言われなくてもやってやる!!」


鎌を構え直したセイラと短剣を取りだすアシュラ。


「·····引きずり下ろす必要はない」


白い煙の中から聞こえてきた妖艶な声。


「お主らか? わしの街を破壊したのは」


煙管を咥えふぅと煙を吐き出す黒髪の彼女。

花魁と軍人を合わせた様な容姿の彼女は数多の魑魅魍魎を引き連れて私たちの前に立ち塞がった。


「お主らこの地が、災厄ドープの縄張りと知って足を踏み入れたんじゃろうな」


まさかまさかの1面からラスボス登場。

こういうのって雑魚キャラ倒しつつ、進んでいくもんじゃないの?

いきなり、私より強いのと戦うの!?

そもそも、全然旅の道中で戦えてなかったのに!

すっごく負ける気しかしないんだけど!!


「わぁ、私の作戦通りですわ、こりゃあラッキィちゅーもんじゃねーですの?」


「ラッキィなわけあるか!!」


「でっでも、やるしかないよ!」


私が構えた剣を見て災厄はニンマリと笑う。


「そうか、お主が新たな勇者か精々わしを楽しませろよ」


そう言って彼女は煙管を逆さまにし、使い魔達を私達に向けた。

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