第5話 入国シロガネ帝国

「すげーよ、やべーよ、どーすんだよ」


とんでもない事をしでかして関所を抜けた私達。


「罪人のおめーが一番震えてどうするんですのよ」


それをやった聖女は呆れたようにそう言った。


「いや!おかしいのお前!何にあれ!死神か何かですか!?普通に気絶させるとか他に方法あったじゃん! 何トラウマ植え付けてんの!?」


「でも、私達が身構える必要なくなったね!」


「シノンたん何言ってんだ!端末で報告してたろ! 元々包囲網作戦するって言ってたんだ、国境の外に人がいてもおかしくないだろ!」


シノンたん呼びって·····アシュラ、相当ビビってるな·····。


「ザッツラーイト、アシュラきゅんさえてますわねー、ご覧なさい数メートル先に兵士達がわんさかいますわ」


あたふたしているアシュラに現実をつきつけるセイラ。


「本当だ木の影に隠れてる」


「シノンたん聖剣でシュバッとやれます?」


「えっ? シュバッ?」


「あれですわアレ、一振したら風の刃が飛んでくみたいな」


言わんとしてる事は何となくわかった。

でも、できるかな·····あれって物理攻撃に見えて魔法攻撃だし·····私あんまり魔法が得意じゃないんだけど·····

とりあえずやってみるか·····


道具屋で買ったとりあえずの鞘から剣を抜き、ぎゅっと握る。


おおっ! なんだこれ! 凄い! めっちゃフィットする!

なんか私の一部になったみたい!

プラグをコンセントに刺すみたいに、私と剣が一体化した気がする!

よーし、力を込めて思いっきり!


「喰らえ! シノンスラッシュ!!」


聖剣を一振すると、巨大な風の刃は辺り一面の木々は音を立てて倒れていく。


「「「うわああああああ!!なんだこれ!?」」」


木の後ろにいた兵士達はその木の下敷きになった。


「·····えっ、なにこれ怖っ!」


こわこわこわっ!! えっ!? 超絶怖いんだけど!

何この威力! もっ、もしこれ木がなかったら·····


人に直撃した時の想像をするとゾワッとした。


「すげーー!!!流石シノンたんですわ!! きゃー! 聖剣の力フル活用ですわね! 選ばれし勇者パネェですわ!」


「すげぇ! シノンすげぇよ!」


アシュラとセイラがキャッキャしながら私を褒め称える。


「どうしたんですの、シノン」


「せっ、セイラ·····なんでもない、ただちょっとビックリしただけで」


·····だって、私そこまで魔力込めてなかったのにあんな凄い攻撃を·····それに、なんか頭がぼーっとして·····


「·····なっなんだこれ」


「大変だ!! 森林組合に連絡だ!」


「そういう問題じゃないだろ!! シロン王国の応援に来たのになんだこれは!!」


·····やばい、森の奥から応援がきちゃった。

甲冑を着た兵士達、おそらくシロガネ帝国のものだろう。


「第2ラウンドですわね! やりますわよ!」


「やめろ! お前がやれば死人が出る! 俺がやる!」


「わっ、私も!」


やる気のセイラの前に出て私達は武器を構える。

ちょっと、ふらふらするけど大丈夫。

この人達倒して入国しなくちゃ·····


「·····やめなさい!!」


「えっ」


「シロガネ皇帝! 何を」


「戦力差、貴方達では歯がたちません下がりなさい」


·····こっ、皇帝!?


兵士達をかき分けて、皇帝と呼ばれる白いケープを着た女性が私達の前に現れた。


「はじめまして、シロガネ帝国皇帝 シロガネ・コユキです。少しお話聞かせていただけますか? 新勇者ご一行様」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る