第3話 国境を越えろ!
「さて、そろそろ国境を越えますわ」
歩いてかれこれ7時間。
私達はシロン王国の関所の前にきていた。
「ここを越えれば私達は世界を救うまでこの国には帰れませんわ、覚悟は宜しくて?」
「元々指名手配犯にそれを聞くか? 前に進むしか方法が無いのによ」
「おめーに聞いてませんわ、覚悟がなかろうが旅出るの決定ですもの」
かっこつけたアシュラに冷ややかな視線を送くるセイラ。
「シノン、誘っといてなんですが·····覚悟は出来てまして?」
「うん! 勿論だよ! 地位と名誉の為世界を救う覚悟しかないよ!!」
私の答えを聞いた彼女は嬉しそうに笑顔を見せる。
「これで罪悪感ナッシング!! よーしさっさと関所抜けますわよ~~!!」
「けっ、罪悪感なんて言葉とは無縁だろお前」
「まっ、まぁまぁ! そっそうだセイラ国を抜けたらどこ行くの?」
また喧嘩になりそうだったから、私は慌てて話を変えた。
「最初の災厄を滅ぼしにシロガネ帝国に行きますわ」
「シロガネ帝国·····確か隣の大きな国だったっけ」
「えぇ、大陸の中で3番目に大きな国で、世界一の花街ツクヨミ町があるんですの!! 災厄倒したら遊びに行きますわよ!」
子供のようなキラキラした目で彼女は楽しそうに語った。
「教会生まれで、しかも聖女になっちまったせいで、そういう店に行けなかったから、旅に出たら絶対に行こうと思ってましたの!! 酒、女、ギャンブル! 災厄倒したご褒美に楽しもうと思ってー」
「·····あはは」
「お前マジどうして聖女になれた?」
私が思った疑問をアシュラはなんの躊躇いもなく言った。
「そりゃ、私がスゲーからに決まってますわ!」
「「言うと思った」」
「まっお喋りはこの辺にしてそろそろ臨戦態勢とってくださいまし」
「「えっ?」」
関所の門を通る前にセイラは杖を鎌に変えて握り直す。
「あっ! あー!!!! 聖女セイラ様に指名手配犯アシュラ・ホッパー!!」
関所を見張っていた兵士達は私達を見て大きな声を上げる。
「西関所から本部! セイラ様発見! なおなぜか指名手配犯アシュラと女の子が一緒です!!」
和気あいあいと道を進んでたせいで肝心な事をすっかり忘れていた。
そっ、そうだった!
アシュラは確か捕まえられる包囲網を張られてるんだった!
セイラは元々勇者パーティから剣盗んで逃げてきて·····
「まっ、まさか、セイラ様、こいつと聖剣を·····! とっというか聖剣は!」
ということはその剣を持ってる私は?
「あー!! きっ、君! その背中に背負ってるものは!」
私の剣に気づいた兵士の人は持ってた時計型の端末に向かって報告をしようとした。
「メーデー、メーデー!! 聖剣強奪犯セイ·····」
だがその時計は一瞬で粉々に砕け散った。
「ぎゃー!! セイラ様!? 何を! 」
『応答願う! 西局! 西局!?』
喋った瞬間、間髪入れずにセイラは鎌を振るっていた。
「わりぃんですが、急いでるんですの変な報告やめてくださる?」
「黙れ! 聖剣強奪犯!! 犯罪者め! これは王国に対する謀反だぞ!! 貴様らただで済むと思うな!」
ぎゃーー!!!! やっ、やっぱり、そうなったー!!!
どどどと、どうしっ
「はーうるせーですわね。謀反なんてしねーですわよ」
面倒くさそうに兵士を睨みつけるセイラ。
「私達は聖剣強奪犯でも、犯罪者集団でもこざいません」
彼女はクルクルと鎌を回し、兵士2人の喉を掻っ切ろうと突きつける。
「さぁ、道を開けなさい」
今にも命を取ろうとしている相手に囁かれた二人は顔を真っ青にさせて涙目になった。
「勇者パーティ、モリカワ・シノンご一行のお通りですわ」
失意の年にかられた彼らをよそに私達は関所を通過した。
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