エイネーと二つの六日間

雲上いつき

はじめに

『君は変身を遂げる。君は、カモメ。長くまっすぐな白い翼を潮風にのせ、君は、夜の海を旅していく。

 大きく羽ばたく。

 見ろ、前方に、月を戴く島が。

 島の中央には、銀に輝く青の真中山エィレスィルアトゥアがそびえている。月光を浴びる峻厳な姿に、君は心をからめとられる。

 さらにひと羽ばたき。

 沖へ出てくる、輝かしい黄金の光が踊りはじめる。野性的でない、静かで穏やかな光。文明を思わせる、あの安堵をもたらす光は、君の方へ、歌と櫂による規則正しい音楽をも届けてくる。

 さあ、君はもっと懸命に羽ばたく。小舟に掛かる小さなともしび、踊る波の反射、それらがさらに、君を引き寄せ…………』


 つくりの人 カメイユ著『地の子ども』より


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