人が夢を見ると書いて儚いと読む5


数日後


ママのバーにて渡良瀬、レイア、サツキの姿があった


「あのー、渡良瀬さん・・・ここって」


「あー・・ママに任せてる特殊な人が来る店だ、気にすんな」


ママは普通のスナックなどをやっていると

聞いてはいたが

屈強な男が女性の恰好をした特殊なお店に

なんだか落ち着かないサツキ

完全に女性に見える男も居るのだが・・・


「んで仕事はどう?」


「あっ、はい、なんか渡良瀬さんが来る数日前から

残業がかなり少なくなったみたいで

私も殆ど残業せずに帰れています」


「だろうね」と軽く答える渡良瀬


「えっと、何かしたんですよね?」


「んー、今の所殆ど何もしてないんだなーこれが」


「え?でも・・・」


「コンサル会社が入るってさ、言わば監視なわけよ、

悪い部分があったら、報告改善提案その他色々。

今まで異常な仕事量と異常な残業があった訳じゃん?

それがコンサル入るってなったら、そりゃーねぇ・・・

異常な部分なんて見せられん訳よ」


カフェオレを一口飲んでさらにと続ける


「例外はあれど、儲かってるし、うまくいってる会社に普通は

コンサルは入らない訳よ。過去のデータなり見れば分かっちゃうけど、

それでも異常な所を見せないようにとの涙ぐましい努力かな。

どう思う?経理課のレイアさん」


おどけるように言ってチラっとレイアを見る渡良瀬


「経理の一人と課長が不倫をしているようです。社内の噂と合わせ

現場も抑えております。それとアリスのハッキングにより、

クライアントのデータと富士のデータに齟齬がありました。

もちろん課長への入金データも抑えております」


「あ、ちなみにレイアはこっち側の人間ね」


色々な情報が飛び交って頭がぐるぐるしているサツキ

ちなみにサツキが飲んでいるのはウーロン茶である


ペコっと挨拶するレイアに、サツキもペコっとする


「なるほどねー、横領した金をキックバックして仕事を取ってたと。

異常な仕事量と異常な残業には裏があるって事だな」


「それだけではないです。係長も接待費を横領しておりました。

こちらはユカリに課長の奥様に扮してもらい、料亭や居酒屋等へ

旦那の帰りが遅いので聞き込みに来た、という態を装って

支払いの金額を聞き出しております。こちらも齟齬がありました」


「私のほうでも聞き出してレイアに伝えているわ」とママも知り合いの

高級クラブやスナックなどで調べていた。

どちらも白紙の領収書を貰い、支払った金額より多く書き

経費で経費で落としていたようだ


本当に何がどうなってるのか全く分からないサツキ


「まあぶっちゃけ、こっちからしたら横領なんてどうでも良い訳よ。

ハッキングで得た情報だったりで、こっちから切り出せないし、

公にしようと思ったら証拠の正当性とかナンヤカンヤで

結構大変だしで割にあわない。

それよりも、わからせ屋としてはサツキに負担掛けてた奴らに

わからせないと意味ないしな!」


そう言ってサツキを見れば何がなんだ分からなくとも

自分の為に色々動いて貰っていると実感でき

嬉しさや恥ずかしさでウーロン茶を飲んで視線を逸らすのであった

耳は真っ赤になっているが・・・


その後は軽く飲んだり、

屈強な男で女なスタッフのショーを見たりして解散になった


もちろん渡良瀬はその後ママと夜の街に消えたのであった・・・









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