第22話
あれから2週間が経った。
ネラはレベルが25に上がり、スキルもそれなりに上がったし、状態異常無効と精神異常無効スキルも習得した。
後半は正直俺居なくても全く問題なかったわ。癒しの息吹がアンデット特攻で範囲攻撃だったから聖属性魔法バリの威力でほんと一瞬で倒せちゃうのよ。
本来は広範囲の回復魔法なんだろうけどね。
あれ、ハイヒールとリジェネ合わせた効果の範囲回復魔法だよな。
緑蔭の風なんて広範囲のバフだしさ。精霊魔法良いなぁ。エルフ固有っぽいから習得は無理なんだろうけど。
ま、後半はレビーに任せて俺はダンジョン踏破したり、錬金術で保存瓶やら魔導具やら色々作ったり、異空間の農場や牧場視察やらやりたい事が出来たんだよね。
ちょっと放置しちゃってたけど、オルトとノエルが屋台始めたら、結局要望があってふかふかパンも売る事になって、相変わらず飛ぶように売れてて凄い大変だったみたいだ。屋台だったからかオルトとノエルの二人で切り盛り出来てたみたいで、手伝う事もせず申し訳なかったかな…
ナジ達はナジ達でダンジョンに籠ったり集めた素材を売ったり、俺の錬金素材として貯蓄したりと忙しい日々だったようだし。
この2週間はみんな思い思いに過ごせたって事か。
そろそろ休暇も切り上げる予定のため、俺は今居住用の異空間とは別の農場や牧場用異空間に来ている。
本当に異空間というよりどこかの農業国のようだ。
空には雲が浮かび太陽まで輝いているのだから。
視線を空から地面に向けると一面に広がる小麦畑。
反対側にはサトウキビ畑も広がっており、広大な農場をゴーレム達が刈り取り作業に精を出していた。
…いったい何体が稼働してるのか。
結構作ったもんな。
この農場地帯を進むと牧場になっており、メウブル達がのんびりと草を食んでいた。
決まった動きしか出来ないなりに、ゴーレムは随分と動きが洗練されてきている。
……というか、学習している気がする。
人工知能は搭載していないのだが…
確実に当初の稼働機能以上の働きをしているよね……なんで?
なんにせよ、広大な敷地を保有する異空間には100ではきかない数のゴーレムが稼働しているのだ。ゴーレムは自動魔力補充機能を備え付けているので、勝手に充電ならぬ充魔力する。その為に各所に備え付けた魔力タンクに魔力を補充しておく必要があるのだが、結構面倒くさい。
そこで俺はその魔力タンクも異空間から俺の魔力を自動で収集蓄積出来るように改良してみた。
今日はその経過観察をしに来たのだ。
早速一つ目の魔力タンクを確認すると、ちゃんと自動収集されているようで、魔力は十二分に蓄積されていた。
俺は異空間をずっと展開させているので自分のMPは常にMAXにはならないけれど、MP自動回復スキルのお陰で常に7割弱程をキープしている。今の俺のMPの常時4割近くが異空間の稼働に必要な魔力という事だ。ゴーレム達が増えるから……俺の魔力の使用量半端ないのよ。
それでも商品の為にはしょうがない。
これで更に自動化が進むというものだ。
メウブルの発情期や出産もレビーの知識を元に監視用ゴーレムを作ったお陰で今はゴーレム任せだ。新しい命もメスなら初産出来る迄育てて牧場へ、オスならある程度育てたら肉にする。こちらも需要は高い。年老いたメスのメウブルも食肉として屠畜するのだ。まあ、まだ年老いたメウブルは居ないけども。ウチのゴーレムは凄いのだ。
見た目某アニメのコピー〇ボットみたいだけれどもね。
ピックアップで魔力タンクを確認して行ったけど、どれもちゃんと機能しているようで一安心だな。ならキッチンラインのゴーレム用魔力タンクも同じように改良するか。同じ異空間だからいちいち誰かが魔力補充してたんだよね。
……俺のMP状態が6割を切るだろうな。
まあそれでも常時3000以上のMPが残ってるんだけど、う〜ん。これからも消費が増えるかもだしなぁ。
農場の収穫サイクルを少し減らせば6割切ることもないかな?
〔時間を進めるサイクルを減らすのでしょうか〕
そうねぇ、ずっとナヴィにやって貰ってたけどさ、これも魔導具作るとかで自動化出来ないもんかね?んで、収穫時期を伸ばして魔力消費を減らす。
〔在庫は既に十分ですからね。稼働率を下げるのも良いでしょう〕
うん、飽和状態になりそうだしね…
〔ですが時間を進める魔導具は難しいと思います。無属性魔法の中でも取り扱いが難しく、繊細な魔力操作を必要としますので〕
そうかぁ。
じゃあ引き続きそっちはナヴィにお願いするしかないか…ごめんな。
〔お気になさらず。マスターをサポートするのが私の役目です〕
ありがとな。
とりあえずサイクル伸ばして俺のMP使用量減らす方向で頼む。
〔承知致しました〕
「ん〜!」
俺は伸びをして一息つくと居住用の異空間に戻った。
自室のソファに横になると、今後の予定を考える。
とりあえず全員補正スキルのお陰でレベルの割にそこらのAランク冒険者以上の強さになっている。下手したらSランク並のステータスだ。
とはいえ、上には上が居るだろうし、素材集めは必要だから今後もダンジョンに行ってついでにレベルアップもしていこう。
ルトワール領の首都で店を出すけれど、そこ迄の旅程に街や村は大体5つくらいか?近くにダンジョンのある街や村は…
〔ナントローモと、アイベルンですね。ナントローモはリンデンベルド領、アイベルンはルトワール領に属しています。どちらも良い素材が取れますし、魔物の強さもセリスタ近くのダンジョン以上です〕
へぇ、それは興味深いな。
ナントローモと、アイベルンではちょっと長めに滞在するか。それ以外の街や村は2〜3日商品を売ったら移動しよう。
とりあえず錬金術で鑑定カードや魔導コンロ、魔導ライトに魔導簡易水蛇口、魔導簡易お湯蛇口等を作っていくか。在庫はまだあるけど、大きな街では需要が高いからな。ルトワール領の首都ハイデルワイスで大儲けする予定だし、ぐふふ。
俺は錬金術で次々に魔導具を作っていく。
やはり儲けるなら商材は消耗品に限る。日々の娯楽である酒類や美味い食べ物も良いが、魔導具は数年は持つが劣化したら買い替えが必要だし、一度味わった便利さはそうそう手放せないからな。この先安定的な収入の為にも便利グッズ、いや便利魔導具は増やしていきたいものだ。
商標登録なんて制度がこっちの世界にもあるなんて思わなかったけど正直ラッキーだわ。
む〜ん、やはり錬金術スキル持ちの人雇いたいなぁ。
ねえナヴィ、もう一人か二人錬金術使えそうな人探してもいいと思う?
〔錬金術スキルを習得出来そうな奴隷を探すのであれば、この先のザッケルとナントローモ、アイベルンに奴隷商がありますので、探してみるのも宜しいかと〕
奴隷…奴隷かぁ…
やっぱそうなる?
〔マスターの知識やスキル等は秘匿しておくべきですから、奴隷契約か従属契約は必須です〕
まあ、そうなんだけどさ…
確かに情報漏洩は気になるところだけど……
今作ってる商材達はほとんどマネ出来ないと思うんだ。管理が必要なもの達は従属契約してる今のメンバー以外立ち入る事を出来ない異空間に移動させるとか、盗めないよう防犯対策をしておくとか、ああ、監視用のドローンみたいなゴーレム作るとか、分けることは出来るよね…
もちろん異空間そのものが最大の機密なんだけど、拠点構えたら倉庫部分の異空間用のドア設置して従業員登録した人だけ入れるようにするとかさ。
農場や牧場の異空間は存在を秘匿して、さも荷運びしているように…は無理か。
でもそこはブラックボックスとしておいて、転移陣を使ってるって事にすれば良いんじゃない?
実際転移だって出来るもん。
っと、それは店拡大の方法であって、錬金術スキル持ちの人雇いたい事の方法ではないな。
む〜ん……
ほんとは錬金術スキルだけじゃなくて料理スキル持ちの人も増やしたいんだよな…
今のままだとノエルの負担が大きいんだよね。
ふかふかパンはゴーレム達がキッチンラインで生産出来るようになった。クッキーもバリエーションを増やしてもそれぞれゴーレム達が作れている。マヨネーズやケチャップ、ジャム、ベーコンと大量生産品はゴーレム任せだけれど、酢やイースト菌はノエルとナヴィに任せてる上に日々の食事も作って貰って売り子さんをしながら、新しい商品開発も頑張ってるんだもんな。
まあ、レシピはあちらの世界のものだけど、それをこっちの世界で再現させるのはやっぱり大変だと思うんだ。
店で売り出し始めたピザやカルツォーネもすごい人気だし、コロッケやメンチカツの単品やそれのサンドウィッチまでも売り出そうとしてるんだよね。これもゴーレムで対応出来るだろうけど……
うん、違うな。
俺の作業を減らす為にも錬金術スキル持ちの人を雇うのが急務だ。このままじゃ俺が死ぬ。
よし背に腹はかえられん。
いのちだいじに。
ザッケルに行こう。
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