第14話

「いらっしゃい!」


目当ての家具屋に着くと店員さんがすぐに声をかけてくれた。大人数での来店なので目立ったようだ。邪魔かもしれんが、全員客なので大目に見て欲しい。


「どうも。注文してたベッドを受け取りに来ました。あと、彼らの欲しい家具の案内もお願いします」


「新しい家具も購入?いやー相変わらず剛毅だわぁ。じゃあまずはベッドの引渡しだね。全部で7台だけど、お客さんのマジックバックでもさすがに無理じゃないか?」


「あー、俺のマジックバックはサイズが大きいので大丈夫ですよ、あはは」


誤魔化し笑いで場を濁し、店主さんにうちのベッドの所に案内してもらう。

そこには燦然と輝くキングサイズの我がベッドが異彩を放ち佇んでいた。

はあ~ん、俺のベッド!素敵だ!

うちの子達のベッドもやはり輝いている。ベッドマットの厚みが素晴らしい。欲を言えばもう少し厚みが有ればなお良いのだが。


「うわ〜!でっけぇベッド!これがゼン様の?」


レビーが食い入るようにキングサイズのベッドを見つつダイブしたそうにうずうずしていた。

悪いが栄光の一番手は持ち主である俺なんだ。これは譲れないよ、レビー。ふふふっ。


「みんなは自分の部屋に置く家具を見てて良いよ。オーダーメイドでも大丈夫だし、遠慮しないで。あ、そうそう。まだみんなには給金渡してないから全部こっちで出すね」


「ありがとうございます。ですがよろしいのでしょうか」


「全員分ですと結構な出費になると...」


「えー、オルトもナジも何心配してんのよ。君らのおかげでどれだけ稼いだと思ってるのさ。資金は潤沢よ、遠慮するなって」


「ですが、ほとんどゼン様が倒した魔物の素材や魔導具を売ったお金ですよ」


それをギルドで買い取って貰ったり卸したりしたのはナジ達なんだけどな。

労働に対する対価ですよ?


「前も話したけど、労働に対する対価は給金として支払う。給金の支払い日は毎月の月末ね。今後は欲しい物は貰った給金で賄って貰うけど、まだ渡してないから今回は俺が出すだけだよ」


はあ、そうなのですね...と、まだ納得いってない感じの二人をよそに、ササッと店主さんに「安いものを購入しようとしたら、より良い物を勧めて。金額は気にしなくていいので」と耳打ちしネラの家具を見てまわる事にした。


給金の金額はどうしようか。相場とか分からんけど月に金貨3枚くらいかな。少ない?


〔一般的に大人が1ヶ月生活するのに必要な金額は銀貨50枚から60枚です。金貨1枚を稼げれば余裕を持って生活出来るレベルですね〕


そうかぁ。

でもうちの子達はみんな優秀だしねぇ。

収入もあるし、金貨3枚でも少ないくらいだよね。


〔衣食住も賄っておりますが〕


ああ、うんそうね。

まあ、衣食住の衣は今後は給金から買って貰うんだしさ。みんなも魔物の素材集め出来るし、商材の作成から販売を頑張って貰うんだから、月金貨3枚にしよう。昇給とボーナスもありでね。


〔承知致しました〕


給金の金額も決まったし、ネラの家具はめぼしい物は見つけた。ネラも気に入ったようだし、自分のも選ぶかな。

ローテーブルとソファ、後は錬金術用のテーブルとか座り心地のいい椅子が欲しいんだけど、オーダーメイドかなぁやっぱり。

店主さんと話し、錬金術用のテーブルと椅子は作って貰う事に。当分は今まで通り異空間に作った台の上で作業だな。


「ゼン様、全員家具は選び終わりました」


「お、そうか。店主さん、お会計お願いします」


「毎度あり!全部で金貨5枚と銀貨48枚だ」


ニコニコの店主さんに家具代を支払い、各々家具を収納させると「お客さんとこは従業員までマジックバック持ちかい、こりゃまた凄いねぇ」と驚かれてしまった。

笑顔で「じゃあまた来ますね」とその場をそそくさと後にする。忘れがちだけど俺のスキルは希少かつチートなのだ。気をつけねば。


「さて、次は装備の新調だな」


10日程のダンジョン探索で割りとボロボロになった装備を新調する為に武器屋と防具屋に行く。


「ゼン様、防具はさほど悪くなってませんので、武器だけで大丈夫です」


「ん?そうか?なら武器屋行こう」


オルトの言葉に従い武器屋に向かう。

まあ確かに攻撃を受ける事も少ないのか。最初からステータスは高かったしな。

武器屋に着くと早速店主が「いらっしゃい」と無愛想に歓迎される。

歓迎...されてるよね?


「すみません、長剣、短剣、槌、杖を見せてください。店で一番良い物も含めて見せて貰えますか?」


「ゼン様!杖は大丈夫です、まだ使えます」


「いや、今のって初心者用だからさ、もっと性能良い杖に買い替えた方がいい」


ノエルが遠慮するけど、レベルも上がったんだから、それに見合うだけの装備にしたいんだ、俺がね。


「おう、兄ちゃん達、うちの取っておきから中級冒険者が使うものまで持ってきたぜ。好きにみてくれ」


店主さんにありがとうございます、と伝え長剣から見る。

ミスリルソードに前に見せてもらった魔剣もある。


「この魔剣、魔力をエンチャント出来るんですよね?」


「お、そうだぜ。本人の魔力量にもよるが魔力を纏わせるだけじゃなく、斬撃を打ち出せるんだ、要は遠距離攻撃が出来るって事だな」


相変わらず魔剣をニヤニヤしながら見ている店主。


ナヴィ、これレビーにどう?

魔法は使えるけど、剣を使った攻撃の方がレビーには向いてるよね?


〔はい、魔剣に属性魔法で魔力を纏わせて戦えば、剣士スキルだけでなく魔法のスキルも上がりますので、レビーには良いでしょう〕


「レビー、これどう?」


「え?魔剣なんていいの!?」


「もちろん」


ニコッと笑った俺にレビーは満面の笑顔で「やったー!魔剣なんてカッケー!」と大喜びだ。

店主さんは「金貨10枚だぞ、大丈夫なのか?」と怪訝な面持ちだが、たったの金貨10枚ごとき何ら問題ない。スっと金貨を支払い、魔剣をレビーに渡す。即金に多少びびったようだがすぐに「毎度あり。次は何を?」と切り替えが早い。


「短剣はこれにします」


ササッと鑑定していたのだが、良い短剣を見つけたのだ。


「お、お目が高いね。そいつぁ短剣の中では使い勝手が良いと思うぜ。なんせ効果付きだからよ」


ニヤリと店主が笑う。強面なんだから、もうちょっと善人顔に寄せようよ。無理か。


「どんな効果ですか?」


知ってるけど、鑑定持ちって事をわざわざバラす必要も無い。


「こいつは君影の短剣って言って、攻撃時に麻痺を付与する効果があるんだ」


「麻痺か、いいね。オルト、どう?」


「良いですね。攻撃すれば必ず麻痺するのですか?」


「いや、たまに麻痺が入るだけだよ」


「ふむ。だとしても、付与効果が有るのと無いのでは違いますし、私としては気に入りましたが、高いのでは...」


二人して店主をみると、更に笑みを深めた店主が「こいつは珍しいからねぇ。短剣だが金貨8枚ってとこだな」と、ふんぞり返ってマウントを取ってきた。

イラッとしたので


「じゃあ、これで」


と、金貨8枚を出して鼻っつらに突きつける。なんでかこの武器屋の店主の顔にイライラしてしまうんだよな。ドヤ顔だからかね。

次は槌か...うーん、イマイチだなぁ。

ナヴィ、他の武器屋ってあるよね?


〔ありますが、似たり寄ったりでしょう。需要の少ない武器ですから〕


う〜ん...


「ジガンさ、槌系の武器って打てる?」


「魔槌って事か?」


「まあ、出来れば」


「ふむ、良い魔石があれば出来ると思うぞ」


「じゃあさ、ナジの武器はジガンに頼める?ナジもそれでいいかな?」


「俺は全然良いですよ。むしろジガンに作ってもらえるなんて嬉しいです」


「ん、じゃあ、ジガンよろしく。魔石はクイーンアントのでいいかな」


「うむ、任せておけ」


分かりにくいけど多分自信満々な顔なんだろうな。


「じゃあ、次は杖かな」


「杖か、これなんてどうだ。ミスリルと魔石で作られてるんだが、魔力増加値が高めなんだ」


「へぇ」


(鑑定)


ミスリルの杖:ミスリルと魔石で作られた杖。

効果:攻撃力+18、魔力+15


ふむ、今の杖より攻撃力が15も上がるし魔力も10上がるのか。とはいえ、今のノエルのステータスにこの値がプラスされたところでな…

効果付きの杖があればなぁ。

うん?


(鑑定)


波状の杖:使用者の身体能力を3%アップさせる杖。

効果:攻撃力+12、身体能力+3%向上(攻撃力、防御力、魔力、魔防、俊敏)


おいおいおいおい、これすげぇいいじゃんか。

一般的には大してステータス値が上がる訳じゃないけど、ノエルのステータスに3%つったら、各能力値30以上が上がるじゃねぇか。


「これはいくらですか?」


「これか?大した杖じゃねぇぞ。いいのかい?」


「ええ、これが気に入りましたから。ノエル、これでいいかい?」


「あたしはゼン様が選んでくれるものなら何でも良いです」


ニコッと嬉しそうなノエル。


「じゃ、決まりだな。いくらです?」


「銀貨60枚だ」


怪訝な店主には悪いが、俺たちのステータスなら十分なのだ。特に俊敏が上がるのは有難い。

それで銀貨60枚なんて掘り出し物だな。

さっさと支払いを済ませたらジガンを見てみる。特に興味もなさそうだが。


「ジガンどうする?ハンマー買う?作る?」


「ネームド魔石もあるんじゃ、自分の武器は自分で作るわい」


ふんっと鼻息一つ。ま、そうだよね。


「じゃあこんなもんか。みんな昼飯にしよう」


そう言って武器屋を後にし、市場に向かう。どうせなら飲食店に行くか。

食事はいつも屋台のものか宿で食べてたからな。最近はノエルが作ってくれてたけど、いつも作って貰うのも悪いもんな。

幾つか繁盛してそうな店の中から、適当に店に入る事にした。大して広くもない店内は、こざっぱりとしており好感が持てる。少し早い時間だったからか大人数でも一緒に座る事ができ、数少ないメニューから各々選んだ。料理を待つ間、「装備、あとなんか必要な物はない?」と足りない物を聞いてみた。


「ゼン様、もし良けれは盾を新調したいです」


ナジが遠慮がちに言うと盾を見せてくれる。

あら、結構傷んでるな。ナジ頑張ったんだなぁ...


「昼飯食ったら盾買いに行こう。ジガン、大盾は?」


「むぅ、まだ全然使えはするがの」


「良いのがあったら買っとくか」


「うむ、新しい大盾は気になるところじゃな」


ちょっと嬉しそうなジガン。髭面で分かりにくいけど、最近ジガンの表情を読めてきている自分がいる。


〔マスター〕


(うん、気付いてる、斜め向こうの柄の悪そうな奴らだよね)


〔はい〕


(ネラの事ずっと見てるからね)


店に入る前から柄の悪そうな男どもから嫌な視線を感じていた。ネラの事を舌なめずりでもしそうな勢いでガン見してるのだ、そら気づくってものだ。


〔ネラ以外にみな注意する様伝えました〕


(サンキュー。ま、あんな雑魚ども俺達なら一人でも勝てるけどな)


俺はみんなの顔を見回して誇らしげに笑う。こういう時に備えてレベルアップしてるんだから。


「今日の残りの予定だけど、盾の他にもし良い防具があればそれも一緒に購入しよう。やっぱ装備はいい物を身に付けて欲しいからさ。それが終わったら冒険者ランクを上げに行こうな」


「はい。ランク上げが終わったら市場に行っても良いでしょうか」


「良いよ、何買うの?」


「保存瓶の材料を買おうと思ってます。ゼン様なら保存効果のある瓶を作れるのではないかと思いまして」


ニコニコといい笑顔のナジが言うには、マヨネーズやケチャップ、ジャム等の小売りを考えるとどうしても保存効果のある物でないと難しいので、保存瓶に入れる様にしたいそうだ。

もちろんそれだとかなり高くなるが、1ヶ月から3ヶ月程度の保存が可能で使い捨てではなく繰り返し使える瓶にすれば、今後は中身だけを買えるので財布に優しい仕様になるとのこと。

確かにそれは良いな。一緒にマジックバックも作るのもありかな。

そんな事を考えているうちに料理が運ばれてきた。


「いただきます」


ステーキをパクっと一口。ジュワッと肉汁が広がって、肉の旨味と程よい塩気が食欲を唆る。付け合わせの野菜も新鮮で美味しい。塩味だが。

スープも味わうが、やはり塩味で。上手いが普段ノエルが作る料理と比べるとどうしても物足りない。パンに至っては固くてスープにつけないと食べにくい。

まあ、本来こっちの世界では今目の前の料理が当たり前なんだよな。

ふと、みんなの方を確認すると、手は動いているがやはり物足りなさそうだった。

やっぱり食は大事だね。夕飯はノエルに頑張って貰おう。


「ナジ、保存効果のある瓶は作るよ。それ以外にマジックバックの簡易版とかも便利じゃないかな。こっちも3ヶ月くらいの保存効果がある容量が極小サイズのマジックバック。そうだな、樽一個分くらいなら銀貨30枚で売り出してもいいんじゃない?」


「保存効果付きの瓶は銀貨15枚、次回からは中身だけの詰め替え価格で、銀貨3枚。瓶の大きさは今ノエルが使ってるサイズの半分。極小マジックバックを購入する人用に普通の瓶も用意しましょう。その場合は詰め替えの手間代を差し引いて銀貨2枚と銅貨50枚でどうでしょう」


ふふふっと悪い笑みを浮かべるナジ。オルトもうんうんと頷いている。

そちも悪よのう、ふはははは。


「良いなそれ。じゃあ錬金素材を大量に購入しよう。あ、あと石鹸の材料も買わないと。ラードみたいな脂身はどうすっかな。オーク肉は売ってる分では足りないし」


〔セリスタの街から少し離れた場所にもう一つダンジョンがあります。そちらにオークが出現しますので、大量に狩ればよろしいかと〕


「ゼン様、オーク肉は美味しいのでよく売れるんです。半分売って半分は私たちの食事に使うのも良いのではないでしょうか」


「俺!俺がオーク狩る!」


レビーが勢い込んで手を挙げた。

一人じゃ武力は十分だけど、世間の常識的に危ない気がするな...


「俺も一緒に行きますよ。メウブルの買い付けもありますし、隣街のリンデンベルドに行きたかったので」


「リンデンベルドってこの領の首都だっけ?」


「そうです。そして私が働いていた商会がある街ですね」


笑顔が怖いよ、オルトくん。気持ちは分かるがな。


「ついでにさ、オルトの商会の状況も見てきてよ。今何が売れてるのか。客の入りとかね」


「ゼン様...」


「ま、俺は蒼銀の月を大きくするつもりだし、ライバル店のリサーチは必要不可欠ってね」


「らいばる?り、りさーち?」


あはは、ナヴィ説明よろしく!


〔…はい〕


「さて、みんな食事も終わったね。そろそろ行こうか」


全員食事も終わったので、盾を買いに行くテイで面倒事を済ませようか。

支払いを終えゾロゾロと店を出ると、案の定斜め向こうの柄の悪い男達も店を出た。職人通りに向かう途中、少し人通りが途切れたところで男達が取り囲んでくる。


「待ちな。兄ちゃん達、痛い目に合いたくなきゃそのエルフの子供をこっちに渡しな」


「なあおい、俺は銀髪の兄ちゃんも来て貰うつもりだぜ。いいだろ?お頭」


「おめぇは相変わらずだな。好きにしろ。飽きたらそいつも売っちまえばいいさ。綺麗な顔なんだ、それなりの金額で売れるだろ」


「おい、だったら俺はアッチのかわい子ちゃんを貰うぜ。まだ成熟してない少女っていうのは、堪らねぇからな」


下卑た顔で男達が好きに話す。一人一人値踏みをしつつ、慰みものにしようと考えているようで正直気持ち悪い。

っていうか、あのおっさん俺を狙ってたよな。


〔好事家、マスターの世界で言うところのホモまたはゲイ、女性も対象ならバイでしょうか〕


いや、ナヴィさん。

そういう説明やめて...

萎える、なんか色んな事が萎えるから...


まあ、俺はともかく、ネラやノエルに手を出すなんて絶対許さん。

まだやいのやいの話してる男達。

バカなのかな。

話に夢中になってるから逃げ出す隙が普通にあるんだが…

俺達全員捕まえて好きに嬲った後で売りさばこうとしてるみたいだけど、4対7の人数差、まあ7といってもネラは人数に含めてはダメか、幼女だもんな。

それでも4対6なのに勝てる気満々なとこが凄いよね。鑑定したけど全員ステータス100もないくせにさ、どっから来るんだろうか、この有り余る自信はさ。


「楽しそうなとこ悪いんだけど、あんたらに付き合う程暇じゃないんだよね。さっさと終わらせて買い物したいんだ、かかってくるなら早くしてくれ」


俺はわざと煽るように男達に向かって溜息を吐いた。


「ゼン様、ここは私が対処致します」


「うん、オルト一人で十分だね」


「ちぇっ、俺がやっつけようと思ったのにぃ」


レビーがやる気を削がれてちょっと不貞腐れた。可愛いんだからなぁ、もー。


「なんだてめぇら、舐めんのも大概にしろや」


「別に舐めてはおりませんよ、事実として、私一人で十分なのです」


カッとなった男達の一人がオルトに向かってナイフを手に襲いかかる。

遅い...

オルトが相手のナイフを弾き、返す手で男の首に手刀を打ち付ける。何をされたかも分からないまま男はその場に昏倒した。


「なっ!?」


お頭と呼ばれていた男が叫ぶ。周りの男達の顔は驚愕に揺れていた。


「て、てめぇ!何をしたっ!」


と、言われてもな...

お頭の怒鳴り声で我に返った他の男達も次々に剣やナイフを構え今にも飛びかかりそうだ。


「あなた方は好き勝手に他人の人生を奪って来たのですよね。なら自分達だって同じ事されても文句は言えない、違いますか?」


「チッ、おめぇらに何が出来るってんだ。まさか俺らを捕まえて奴隷にでもするつもりか?」


「結果的にはそうなるでしょうね。犯罪奴隷ですから苦役に従事する事になるでしょう」


淡々と説明するオルトに柄の悪い男達が後退さった。犯罪者は一旦冒険者ギルドに連行して領主に引き渡し、犯罪歴を元に苦役の年数と場所が決められ刑に処される。

リンデンベルドの領主は裁判も開かずオルトを犯罪奴隷にした奴なので、信用は出来ないのだが…


「逃げようとしても無駄だぞ」


ナジが男達の脇をぬけ後ろに陣取った。素晴らしい判断!

レビーはネラを守る為に俺の前で周りを警戒しており、ジガンもノエルもジリジリと男達を囲むように移動していた。こうなったら、この悪人どもは逃げる事は不可能だろう。


「時間の無駄だし、オルト、さっさと倒しちゃって」


「承知致しました」


そう言うやいなや、オルトは残ったお頭含む三人に次々と当て身を食らわせ気絶させていった。


「先に冒険者ギルドだな」


「そうですね」


オルトとナジが両手にそれぞれ男どもを引きずる。

なんかシュールだな。

ズルズルと悪人どもを引きずりながら移動する俺達に、周りの人達の視線が痛い。別に悪い事をしている訳ではないのだけれど...

通りに四人の男の引きずられた跡を残しながら、居心地の悪さになんとなく足早に冒険者ギルドに向かう俺達なのであった…

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