第8話:僕と梨紅は校長に呼ばれる。
僕と
「失礼します、
「あの、
「は〜い・・・入りたまえ」
僕はドアを開けて
首を横に振った。
「
そう言われて俺が先に校長室に入った。
「あ、まあ、ふたりとも、よく来てくれたね・・・そこにかけたまえ」
僕たちは支持されたとおり、体が沈み込みそうな高そうなソファに座った。
思った通り体が沈み込んだ。
そして校長先生は僕たちの向きあ合わせに、よっこらしょって座った。
「え〜と、まずですね・・・うちの学校は個人の自由を尊重することを
モットーにしてるんだが・・・ 」
「今回のことは当校創設以来の出来事だもんだから・・・」
「あ〜ふたりとも私が何を言わんとしとるか分かっとるね」
「あの・・・僕と梨紅・・・道枝さんが呼ばれたってことは僕たちが付き合ってる
ことについて、のお話だと思いますけど・・・」
「そうだね〜・・・ん〜私もあまり、おおごとにはしたくないと思って
ご両親には、ご足労願わなかったんだよ」
「で、これはデリケートな問題だからね、一応
本人確認が必要なんだが・・・間違いじゃなく君達付き合ってるの? 」
「はい、付き合ってます」
「そう、そのことについて、私自身はどうこう言うつもりはないんだが・・・」
「学校中で、ちょっとした噂が広がってるようなのでね」
「まあ、それは聞くに値しない愚にもつかないようなものばかりなんだろうが」
「父兄の間でも、そう言うことを許していいのかとちょっとしたクレームなんかも
来ててね ・・・生徒の誰かが親に話したんだろう」
「まあ、この件は私に一存してもらうってことで話はつけたんだが・・・ 」
「はてさて、どうしたもんかな、お二人さん」
「いけないことなんでしょうか?」
「人から干渉や中傷されるようなことはしてないつもりですけど・・・」
「君達だけの問題で済めばそれでいいんだが、私が話を着けたとは言え、
父兄の中には少々融通の利かない人もいたりするからね
世の中にはよくは思わない人、認めたくない人がいるのは確かだな・・・」
「すべてが100%異議なし、なんてことがないのが世の中だ」
「僕たち、学校では普通のカップルより気を使ってますし真面目に
学生やってますけど・・・」
「人に後ろ指指されるようなことはなにもしてません」
「まあ、それならいいんだけどね、なんせ創立以来はじめてのことだから」
「前例がないからね・・・君達がその前例を作っちゃったわけだな」
「当校の歴史を塗り替えたんだな・・・」
「あの、僕たちのことで学校やどなたかに、ご迷惑がかかってるって
おっしゃるなら僕は学校やめてもいいです 」
「
「だって、全面的に反対させたら僕たち必然的にこの学校にいられなくなっちゃう
だろ?」
「僕はそんな理不尽な扱い受けるなら学校なんか辞めたっていい 」
「まあ、まあ・・・小高君、そんなことにはならんよ」
「たぶん、こういう問題に答えなどないと思うからね」
「生徒や父兄から何か言ってきたら、私のところでなんとか止めておくから」
「だが、私も若くはないからね、ダムが崩壊したら君達、飲み込まれないよう
逃げなきゃな、あはは・・・まあそれは冗談として、君達が無事、学校を
卒業するまでがんばろう・・・と言ってもあと半年か・・・卒業まで・・・
そうだな・・・」
校長先生は寂しそうにそう言った。
「でもまあ、分かってるようだが、お互い自重するように・・・」
「分かりました・・・いろいろご尽力くださってありがとうございました」
「ああ・・いいのいいの・・・では、行ってよし・・・」
僕たちの恋愛に寛容な校長先生でよかったと胸をなでおろした。
あの世代にしては理解があるんだなって俺は意外に思った。
まあ、梨紅を受け入れてくれた学校だからな・・・。
梨紅は学校を卒業したらやってみたい職業があるんだそうだ。
それは美容師・・・僕にとってそれは初耳だった。
僕だって母親のスネがじって大学へなんか行けないと思っていた。
なにより梨紅を養って行かなきゃいけない・・・だから就職しか考えてなかった。
法律上結婚はできなくても、そのうち一緒に暮らすことになると思うから・・・。
つづく。
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