第7話:梨紅の憂鬱。

とりあえず僕と梨紅の関係は僕の母親にも認めてもらえた。

でも、親戚の人たちはなんて言うだろう・・・一悶着ありそうな気がする。


そうじゃなくても親戚のおばちゃんとかなんの責任もないのに人の家のことに

口出ししたがる。

文句を言うだけ言っといて、私は知りませんって顔をしている。

おまえが何をしてくれたんだって言いたくなる。

まあ、その時が来たら、きっちり受け止めるだけのこと。


そんな中、僕と梨紅りくの間では喧嘩することもなく愛を育んでいた。


そして僕と梨紅の関係がクラスはもとより学校中に知れ渡っていた。

僕たちのことを噂する人もいたりで、これが普通の男女の恋愛なら、まあ冷やかし

程度の噂にとどまっていたんだろうけど僕たちはちょっと違うからね。


梨紅はそのことを気にした。


「学校で噂の的になってるよ、私たち」


「だから、そんなの気にしなくていいって・・・」

「前にも言ったけど、僕たち悪るいことしてるわけじゃないんだからさ」

「誰かに何かなにか言われた?」


「何も言われてないけど、変な目で見られたりシカトされたり無視されたり

避けられたりするし・・・ 」

宇宙そらとお付き合いする前から、そういうこと多少はあったけど・・・

その時よりひどいから・・・」


「それはねたみだよ・・・女子はなんで私はこの子よりモテないの?って

思ってるんだよ」

「なに?、梨紅は僕たちのこと認めてくれる友達がほしいの?」


「って言うか・・・女子の視線が痛いし・・・ちょっと憂鬱」


「ああ・・・そういう点じゃ男はあんま、干渉しないよな」

「匠「田中くん」だって、僕と梨紅が付き合うようになってからでも態度変わらないけどな・・・ 」

「意識してそうしてくれてるのかもしれないけど・・・」


「人ってさ、なにもないときは普通でも、なにかを知っちゃった時点でそれを

肯定するか否定するか選択に迫られるだろ? 」

「だから平静でいられれる人なんて、わずかだと思うんだ」


「僕たちの関係を知った人は理解することに今は戸惑ってるんだと思うよ」

「こういうことを受け入れるまでには時間がかかるんだと思う」


「梨紅、言ったじゃん」


《世の中にはどんなことにでも賛否あって、いつの時代になっても差別とか

偏見ってなくならないんだよね》って・・・。

《だけど、そんなことばかり気にしてても、しょうがない、だったら前向きに

生きていかなきゃ損だよね・・・そう思わない?》


「そう言っただろ?」


「あはは、、、そうだったね、よく覚えてたね」

「そうか自分で言っといて、分かってるはずなのに私なにビビってんだろ」


「だからさ、気にしたってなにも変わらないんだよ」

「僕たちふたりだけのチカラで地球の自転は変えられないだろ?」

「人の心も同じだよ」


「気を揉むだけ疲れるからね・・・だから僕たちは堂々としてたらいいの」

「こそこそしてるほうが後ろめたい気持ちになるだけだよ」

「偏見持つ奴にはそう思わせときゃいいの・・・」

「いい?・・・価値観の違う人とは一生相容れないんだから・・」


僕たちはこういうことを一生繰り返しながら背負って行くんだろうなって思った。

だから僕は梨紅を愛した時点でその覚悟はできてるつもりだった。


「そうだよね・・・分かった・・・もう愚痴らないようにするから」

「いいよ、嫌なことは我慢しないで僕に話して、ね?」


「うん・・・」


「ねえ、明日学校お休みだから、うちに来る?」

「お姉ちゃんも宇宙に会いたがってるし・・・」


「うん・・・行く行く」


「じゃ〜超ミニのスカート履いて待ってるから・・・」


「お〜それは痛み入るでござる・・・」


「またあ・・・」


そんな折、俺と梨紅は校長に呼ばれた。


つづく。

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