第10話
朝食をしっかり食べた後、マーサが一人の少年を連れて来た。
高校生くらいの少年だ。……ってことは私と同じくらいの年齢ってことか。
「息子のカイです」
あー、言われてみれば、マーサに目元が似ている。優しそうな少し垂れた茶色の瞳。茶色の髪もマーサと同じ色だ。
「カイ、護衛と街の案内よろしくね?」
優しそうな眼をしているのに、にこりとも笑わない。
「カイ、リリアリス様にご挨拶をしなさい」
マーサの隣に並ぶカイが、私を値踏みするように上から下まで見ている。
「母さん、奥様の護衛をという話でしたが、誰ですか?」
マーサが慌ててカイの頭をこつんとたたいた。
「こちらがリリアリス様です!申し訳ありませんっ」
「は?え?この女性が奥様?え?でも……それとも王都に住む女はみんなそんな恰好するのですか?」
無表情だったのが、一気に表情豊かになった。こう、なんていうか……。犬ころ系だ。目まぐるしくくるくると視線が動いて耳やしっぽがあれブンブンピコピコせわしなく動く……あ、犬ころじゃない。子犬だ!
「そうよ。これが最先端。夫の幼少期の服を着るのが流行っているの」
私の言葉に、カイが再度、私の姿を見た。ああ、いけない。つい、かまい倒したくなる。
もふもふ枠だ!いや、実際になでくりまわすわけにはいかないから、脳内で犬耳としっぽをつけたカイを動かして脳内でもふる。
オタク歴30年のベテランともなれば造作もないこと。脳内二次創作なぞお手の物!
「そっか!王都はそんなのが流行してるんですね。確かに、その服見覚えがある。昔アルフレッド様が着てたやつだ」
うんうんと納得している。
「ぷっ」
だめだ。思わず笑ってしまった。可愛すぎるだろう。信じちゃうか?どんな流行りだ!
「ごめん、カイ。嘘。流行ってなんかないよ。みんなドレス着てるわ。私の場合はドレスがないし、街に出るなら動きやすい服がいいでしょう?買いに行く服は普通に女性用のものよ」
空っぽのクローゼットを指さして、運び込まれた衣装箱を指さしてにこりと笑った。
「うっ!嘘……騙したんですね」
ぷぅっと、カイがほっぺを膨らませた。
「こ、こら、カイ!言葉遣いにもう少し気をつけなさい!相手はリリアリス様ですよっ!」
「マーサ、かまわないわ。カイも。街中では他の人にお嬢様……奥様だとわからないほうが安全でしょうからあまりかしこまらないほうがいいわ。それから、私のことはアリスと呼んでね」
カイが戸惑っている。
「だましてごめんなさい。じゃあ、案内よろしくね」
謝って笑いかけると、すぐにカイは期限を直してくれた。
「はい!では行きましょう!」
脳内では、お散歩に張り切っていく大型犬がしっぽを振っている姿が思い浮かんだ。
くっ。かわいいだろ!
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あー!もうだめだぁぁぁ。キャラが固まってない。
ううう、初めは、10歳くらいの女の子だった。それからちょっと生意気な男の子だった。
そして、とりあえず今のカイになったわけだけど、どーにもなんだか、書きにくい。って創作裏話。
そして主人公も弱い。キャラが弱いなぁと思いながらちょっとずつ強くしている。属性増やしてしまっている……。うーん。
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