第24話
意識を失ったフューシャを救うため、
薬草農園や研究施設が配置されており、薬用植物の知識が豊富なグラフメロ家が王国から管理を
「あれ、ライエルさん?」
「たしか、きょうは
ユリネルを
「えっと、ユリネルさん? あっ、もしかしてライエルさんの……! た、ただちにご用意しますので、少々お待ちください!!」
ユリネルが名乗ると、あわてて建物のほうへ駆けていく。施設の玄関ホールには、グラフメロ家の肖像画が飾られており、そこには、ライエルと同じ顔をした(実際は少しちがう)ユリネルの姿も映されている。
……薬をもらえませんか?
どうか、この子に薬を……
数年前、難病に苦しむ
生きたくても生きられない
消えていく幼い
生きていくうえで重要なのは
健康であるかどうか
心もからだも疲れてしまっては
ただ人間的な弱さしか残らない
自信を失い、将来に希望もない
ひとつの悲しい謎
いったいだれが、あの親子を
不幸にしたのか
いったいどうすれば、親子は
幸福な時間を過ごせたのか……
グラフメロ薬草園に足を運んだユリネルだが、門扉より先にはいることはできない。親子のためとはいえ、貴重な薬草を持ちだした罪は重い。さらに、親子の身分は低く、なんの
「それでも、わたしは……」
せめて少しのあいだ、自由に生きる機会をあたえたかった。そんな場所が、どこかにあったなら……。だれもが前向きに生きる勇気を身につけ、失敗をおそれず旅立てる場所が──。
✓つづく
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