第1話/変わり者、集う
※この物語の主要人物は、薬師、助手、少年の3人です。ときどき手紙が届いたり、視点が
2階の窓から身を乗りだす少年は、施設の玄関先を見つめた。大きなかばんをさげた長身の青年が、無表情でたたずんでいる。やや
「初めまして、パトリッシア=ハーツィーズくん。これからは、トリッシュくんと呼ばせてもらいますね。それにしても、きみの名前は焼きたてパンみたいで、とてもおいしそうだね。朝は
訳ありの子どもたちが暮らす
「ここまで遠かったでしょう。さあ、どうぞ。きょうのところは、ゆっくりしてくださって結構です。お部屋は別棟になりますが、その前に〈エレメンタリーハーツ〉の間取りを説明しておきますね。……あ、
と、笑顔で案内するヒョロッとした男は、
「お仕事の内容ですが、わたしの助手として、子どもたちを
ひと息にしゃべる薬師は、廊下の
「あのひとは、グレリッヒおじさんです。本職は
あちこち汚れたくすみブルーの作業服に、黒い長靴を履いたグレリッヒは、日に焼けた肌がよく似合っていた。トリッシュと同じく
「……ところで、おれはあんたのこと、なんて呼べばいい?」
「申し遅れました。わたしは、ユリネル=レ・ラージュ=グラフメロと申します。呪文みたいな響きでしょう? わたしの力が必要なときは、いつでも唱えてください。かならず助けになります」
2階の窓から生きる希望を探す少年は、薬師と青年の出逢いに胸が高鳴った。
✓つづく
[
[
※独自解釈による用語説明より。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます