第45話 追跡

数分後…人攫い達が酒場を出て路地裏の方へ向かうのが見えた


ゼロは距離を取って尾行を始めた


奴等の話す声が聞こえるがそれはゲスな内容ばかりだ


いささか気分を悪くしながらゼロは奴等を追跡する


すると袋小路の前で何やら奴等がゴソゴソ動いているのが見えた


次の瞬間奴等は姿を消した


慌てて駆け寄るゼロは何か見落としている事がないか壁を調べてみた


すると何やら突起が見つかった


ゴクリと生唾を飲んだゼロは思い切ってその突起を押してみた


すると壁が動いて奥に進める通路が現れた


ゼロはここで引き返すか迷ったが更なる形跡を見つける為に先に進む事にした


奥へと進むと何やら石壁に囲まれた古屋が見えて来た


どうやらここが奴等の拠点らしい


中に入ってみるとがらんとした倉庫のようだった


人影は無く途方に暮れていると背後から気配がした


慌てて物陰に隠れた


ミラージュの魔法で姿が隠されているとは言え油断出来ないからだ


現れたのは小太りの闇商人らしき人物だった


彼は手慣れた様子で一部の床板を動かすとそこには地下へと続く階段が現れた


ゼロはそこまで確認するとそっと来た道を引き返してルーゼン達を探した


すると武具屋から出てくるルーゼン達を見つけた


「アリスト〜この魔法解除してよ〜」


「ん?ゼロか…悪い…実は解除する魔法まだ思い出せなくてな…ははは…ごめんよ」


「何でそんな魔法使うんだよ!オレは実験台じゃない!」


ルーゼン達からは見えていないがゼロが激怒してるのがわかった 


「なら俺達にもその魔法かけてくれないか?ゼロだけ被害者なのは忍びないから…」


「それにこの魔法使えば気づかれずに潜入出来るんだよね?」


「そうだけど…良いのか本当に?」  


「透明人間になったみたいで面白そうだし私は良いよ♪」


「ナタリーは相変わらず雑と言うか楽観的だよね…(苦笑)」


「奴等に攻撃する時も先手を取れるし役立ちそうだから俺も良いぞ!」


「リヒタンは好戦的だよね…」


「良かったねゼロ〜仲間外れじゃ無くなるみたいだよ」


「ミリアム言い方!」



何はともあれアリストは自分を含めて仲間全員にミラージュの魔法をかけた


「あ?ゼロ居た〜」


「どうやらミラージュをかけた者同士は見えるようになるみたいだな」


「これって戦闘にも活かせるんじゃ無い?」


「なるほど…相手から見えなくしても仲間同士は見えるから隙をついて攻撃出来ると言う訳だな?」


「これも古代魔法なの?」


「いや…忍者やアサシンが使う魔法だ」


「流石…腐っても賢者なのか…」


「なんか俺の扱い酷く無い?」


「普段の行いがねぇ…」


「まぁまぁ…なんだかんだ言ってアリストの魔法は役に立つんだからさ〜」


「俺を理解してくれるのはルーゼンだけだぜ…」



こうしてルーゼン達は人攫いの拠点に突入する事にするのだった

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