第44話 カサンドラの光と闇

「宿の部屋は確保したし酒場で情報収集だな」


「アリストは酒が飲みたいだけでしょ?」


「酒は俺にとって動力源だぞ?」


「ただの呑兵衛じゃねぇか!」


「ねぇねぇミリアム〜呑兵衛って何?」


「お酒が好きで四六時中飲んでるって意味よ?」


「でもアリストはずっと飲んでるわけじゃ無いぞ?」


「モノの例えだから…どう言えば伝わるのかしら?」


「四六時中は言い過ぎた…飲む機会があれば飲んでるって言った方が良かったみたいだな」


「あ〜何となくわかった気がする〜」


情報収集の為に酒場に来たルーゼン達は腹ごしらえする事にした


仲間達は2人1組に分かれて相席しながら話を聞く事にした


ナタリーとリヒタン、ミリアムとゼロ、ルーゼンとアリストの組み合わせだ


町の常連客、屈強な冒険者、魔法使いの一行など色々な人に話を聞く事が出来た


そして集合したルーゼン達は集めた情報を整理し出した


「俺達は賑やかな商店街の裏路地に怪しげな店が立ち並んでると聞いたぞ」


「私達は最近子供が行方不明になってる事件が頻発してるって聞いたわ」


「オレが気になったのは若い女性が何人かいなくなったって聞いたのが気になる…」


「町外れの小さな教会に隠し部屋がありそうだとも聞いたな」


「行方不明の女性は貧しい家の美人ばかりで子供は裕福な家の子供が多いらしい」


「行方不明の女性と子供…裏路地の怪しい店と町外れの小さな教会の隠し部屋…この辺りを詳しく調べた方が良さそうだな」


ゼロは串焼きのお肉にかぶりつきながら鼻をひくつかせている


「なぁ…あっちにローブを深めに被った怪しい奴らがいるぞ…ちょっと探ってきても良いか?」


「!!」


ゼロが凝視している方向を見ると確かに言ってるような怪しい奴らが何やら話してる様子だ


「危険すぎる!」


「オレなら気配を消せるし大丈夫だ…危ないと思ったら逃げるから…」


「わかった…無理しないでね」


ゼロは気配を消してそっと奴らにギリギリまで近づいて聞き耳を立てた


間に一席空けた距離…聞こえて来た内容は…


「ガキの親に脅迫状は送ったか?」

「ああ…それより女達は綺麗に洗ってそれなりの服を着せたか?」

「もちろん…味見した後でな…ふふふ…」

「大事な商品なんだぞ…丁重に扱えよ?」

「味見とは言え一線は超えてないぞ?まぁ入り口に当たったかも知れんが…」

「ガキの方大人しくしてるのか?」

「見張りはつけてある…暴れないように縛った上でな」



決定的だ…奴等が人攫いの犯人達のようだ


ゼロは気づかれないようにルーゼン達の元へ戻り聞いた内容を報告した


「うわ〜思っていたより酷い内容だな…」


「うん…攫った女性を手籠にしてたなんて…」


「金持ちの子供は拘束されて見張りをつけられているのか…」


「どうする?後をつけてみるか?」

 

「オレがやる!悪い奴らなのはわかったし許せない…」


ルーゼン達は驚いた


「ゼロ?すごく危険なんだぞ?下手すれば…」


「わかってる…オレ…ミリアム達の役に立ちたいんだ…やらせてくれ!」


ミリアムはゼロの頭を撫でながらこう促した


「ありがとう…わかったわ…見つかりそうになったらすぐに逃げるのよ?」


「うん!オレ頑張る!」


「なら俺の出番だな…ぶつぶつぶつ」


アリストが呪文を唱え出した


「ミラージュ!」


するとゼロの姿が見えなくなった


「何したのアリスト?」


「ゼロの姿を見えなくしたのさ…これなら気づかれる心配は無いだろ?」


「さすが賢者サマだな…何でもアリなのか」


「アリストだけにな…」


「その駄洒落面白く無い…」


「俺達は武具や道具を集めよう…急ぐぞ」


こうしてルーゼン達は戦いに備えて装備を整える為に酒場を後にした


ゼロは人攫いの犯人達を尾行する為に奴らを見張って別行動だ



果たしてルーゼン達は事件の真相に辿り着けるのか?

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