第42話 まるで姉弟

人化したゼロを連れて酒場に戻るとナタリーとリヒタンがほろ酔い状態で料理を食べていた


「おかえり〜おやその子誰?」


「帰ったか…む?その少年只者では無いな?」


ルーゼンとミリアムは顔を見合わせて頷くと2人に説明し始めた


その傍でゼロは料理を頬張ってる


「マジ?全然わからなかった!凄いじゃん!見直したよアリスト〜」


「見直したとは…これまでの俺の評価が気になるぞ?」


「古代魔法まで使いこなせたのか?お前どれほどの力を隠し持ってるんだ?敵に回したく無い…」


リヒタンは思わずそう漏らした


武器を使って戦う者にとって後方から攻撃出来る魔法使いは脅威だからだ


「これ美味い〜もっと食べて良い?」


場の空気を読めないゼロはそう聞いて来た


「お肉ばかり食べちゃ駄目だよ〜ほらこのお野菜も食べなさい」


「はーい」


ミリアムとゼロのやり取りを見ていたルーゼンはこう呟いた


「こうやって見てると姉と弟みたいだな」


「て事はこれからはミリアムの弟として接すれば問題無いのか?」


「それ良いね!その方が私達も接しやすいね」


ゼロの見た目は13〜15歳前後の少年だ


ミリアムの弟としても遜色ない


食事を終えたルーゼン達は宿に戻り風呂に入る事にした


「男はこっちだ…こらゼロはそっちに行くな!」


「え〜ミリアムと一緒が良い!」


「その気持ちはわかりますが年齢的に無理ですから諦めてください」


「うふふ…残念だったね〜ほらミリアム行こ!」


男風呂のルーゼン達は今後の事を話しながらゼロを洗ってやったりしていた


「くすぐったい〜あわあわ気持ち良い!」


「ジッとしてろよ!ん?尻尾…フサフサだから獣人の血を引いてるって言えば問題無さそうだな」


「背中の小さい翼は服で隠せば良さそうだな…髪は後でミリアムに切ってもらえば良い」


「頭の角はどうする?切るわけにもいかないし…」


「帽子や兜でカモフラージュ出来るだろ」


どうやら人化したものの特徴的な角や翼は残ったらしい…髪も銀色の長髪だ


「珍しい種族の少年として密売商人に目をつけられないようにしないとな」


「前途多難だな…まぁ俺達の旅事態始めからそうだから問題無い」



風呂上がりに酒とつまみを嗜むアリストは色々考えを巡らせていた


「いざ人化しても問題山積みだな…覚悟はしていたが…」


そう呟きながら彼なりに今後の事を模索するのだった


「アリスト〜そろそろ寝ないと明日に堪えるぞ」


「これでやめとくから先に寝ててくれ」


一方でゼロはミリアムとナタリーと同じ部屋で寝る事になった


「ジッとしてて少し髪が長すぎるから切るから」


ナタリーに鏡を持ってもらってゼロの散髪をするようだ


濡れた髪に鋏を入れて切り始めた


徐々に短くなりウルフヘアの美少年になった


「この切った髪はどうするの?」


「あ〜集めといて!珍しい髪色だから高値で売れるってアリストが言ってたから」


「アイツらしいわね…これ売れるんだ!」


「少しでも軍資金あるに越した事ないからね」



散髪を終えて切った髪も回収したミリアム達は寝床に入った


ミリアムとゼロは同じベッドで横になる


「背中の翼…邪魔じゃないの?」


「うん…横向きなら平気だよ」


「なら良かった…外に寝る事にならなくて良かったね」


「うん…みんなのおかげだよ…特にアリスト凄いね!」


「腹の底はわからないけど今は信用出来る仲間だよ」


「???」


「今はわからなくて良いよ…その内わかるから」


そう言いながらいつの間にか眠りにつくのだった




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