第40話 モンスター使いって理解されないよね
次の町に到着するとさっそく問題があった
キメラの存在である
町に入れるわけにもいかず困っているとミリアムはキメラに話しかけている
するとキメラは町の入り口の大きな木の上に身を隠すように登って行った
「え?何したの?」
「ん〜キメラを見た人が怖がらないように身を隠すように言ったの…素直な良い子だよ♪」
「そ…そうなんだ」
どうやらミリアムは完全にキメラを手なづけている様子だ
「酒場で情報収集しようか?」
ナタリーが待ちきれないとばかりに歩き出した
慌てて後を追うルーゼン達だった
酒場に着くとミリアムはマスターに何やら注文している
席に着くとアリストは早速お酒を注文している
他の冒険者らしき人達に声をかけて話を聞いたりしているといつの間にかミリアムの姿が見えない事に気づいた
ルーゼンは酒場を出て探していると町の外の大きな木の上から声が聞こえた
「お腹空いたでしょ?これなら食べられるかな」
「グルルルル…ガウ♪」
「そんなに慌てなくても誰も取らないからゆっくりお食べ」
どうやらミリアムはキメラにご飯を持って来て食べさせてるようだ
ルーゼンも木の上に登って行くとミリアムとキメラが驚いたようで戸惑っていた
「驚かしてごめん…そうだよね…キメラもお腹空くよね」
「わざわざ探しに来てくれたの?」
「気になったから…ミリアムも大事な仲間だから」
「ありがとう…この子を理解出来るのは私だけだから側に居たくて」
「そっか…手下じゃなくて友達だって言ってたもんな」
「うん…モンスター使いの私は周りから理解されなくて迫害の対象だったから…」
「そう…だよな…」
ミリアムの過去を知っているルーゼンは複雑な表情を浮かべた
「でも今はルーゼンと言う理解者が居るから平気だよ!」
「完全にとはいかないけど、辛い気持ちはわかるつもりだよ…モンスターは人間や他の種族からすれば脅威の存在だから…それを仲間にして一緒に戦えるなんて凄い事だよね」
ミリアムはキメラを撫でながらこう提案して来た
「ねぇルーゼン…良かったらこの子に名前つけてくれない?」
「え?僕が?良いのかい?」
「うん!ルーゼンに名付け親になって欲しいの!駄目かな?」
ルーゼンはブツブツ言いながら考えた
「ポチやミケだとペットみたいだし、友達なんだよな…親しみやすくて覚えやすいのが良いよな〜」
けっこう真剣に考えているようだ
「ミゲル、ダニエル、ガウ、ランド、ドラム、ライアン、ロドリゲス、ロック、レックス…」
「ガウ?ガウ〜フミャン〜グルル…」
どの名前もキメラは不満なようだ
「ロゼ…いやゼロとかは?」
「ガウ?ガウガウ…」
「ん?ロゼ?」
キメラは首を横に振る
「じゃあゼロ?」
「ガウ♪」
「じゃあ決まりね!今日から君の名前はゼロだよ♪」
「ガウ♪オレの名前ゼロ!嬉しい♪」
その瞬間ミリアムとルーゼンは顔を見合わせて驚いた
「ええ?喋った?!」
「ん?ミリアム達の話聞いてたら人間のコトバ覚えたみたいだ」
「マジかよ?!信じられねぇ!」
「これってアイツに改造されたからだよね?」
「オレの中に死んだ人間の細胞も移植されてるらしいからじゃないか?」
衝撃の事実が判明した瞬間だった
魔獣だけではなく人間の細胞も入れて造られたキメラは喋る事が出来たのだ
「これって違法も違法だよね?」
「ああ…大問題だよ!死んでるとは言え人間の細胞まで合成してあるなんて…」
「ゼロ…君はここで待っててくれないか?他の仲間と話し合う必要が出来たから…」
「わかった…大丈夫なのか?」
「悪いようにはしないつもりだ…」
ミリアムとルーゼンは急いで酒場に戻ったのだった
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