第35話 再会

「よお…リンちゃん!何とか間に合ったみたいだな!」


そう言いながら姿を現したのはバスクオムであった


「バスク?何で…」


「何でって迎えに来たに決まってんだろ?」


「遅いわよアンタ…」


「思いの外厄介な毒だから手間取ってるんだよ」


「まぁまぁ揉まないで…せっかく久しぶりに揃ったんだからお茶にしましょう♪」


「何を呑気な事…あっ…向こうはもう少し時間がかかるのね?」


「なら昔話でもしながらお茶するのは最適だな」


お茶とお菓子を食べてルルアンとバスクはあーでも無いこうでも無いと言い合ってる


「私がお嫁さんになってあげるって言ったのに何勝手に国に帰るかなぁ…」


「あの時は親父に呼ばれたから仕方なかったんだって…それにまさかルルアンが罠に嵌められるとは思いもしなかったよ」


「あの女…私を虐待するだけでは飽き足らずに殺す為にゴブリンの巣を見つけて放り込むなんて…」


その言葉にバスクオムは辛そうな表情になった


「俺が駆けつけた時にはもう手遅れだった…惚れた女が強姦されて妊娠するまで何も出来なかった…おまけにあんな死に方させてしまった…」


泣きそうなバスクオムを見たルルアンがそっと抱きしめて落ち着かせた


「お嫁さんにしてって言ったのに先に死んじゃうなんて…ごめんね」


お互いに辛かった思いを口にした2人はやっと分かり合えたのか笑顔で見つめ合った


その様子を見たリンダルトは2人が恋人同士で結婚の約束をしていた事をこの時初めて知るのだった


「姉さん…母上はこの事知ってたの?」


「勿論よ!エルドラン様も知ってるわよ」


「なっ…僕だけ蚊帳の外かよ!」


「仕方ないじゃ無い…貴方はまだ幼かったし…シスコンだったから」


それを言われるとどうもバチが悪いリンダルトは頭を掻いた


そうリンダルトの初恋は姉だったのだ


「その後にリンちゃんが王国の周りのゴブリンの巣を潰して回るとは予想できなかったけどな」


「それだけルルアンが大切だったから…死の原因になったゴブリンを許せなかったのよね?」


「母上には敵わないですね…」


ゴブリンの巣を壊滅させてようやくリンダルトは落ち着き武者修行の旅に出たのだ


それはエルドランがリンダルトを守る為にした苦肉の策だった事はその後知る事になるのだった


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