第34話 入団試験

マリエルは勇者達と別れたあと、旅をしながら町を周りギルドの単発の仕事をこなして賃金を稼いでいた


その姿から「流離の魔導士」と異名が付くほどだった


美人であるにも関わらず人を寄せ付けないオーラを醸し出していた


それでも声をかける男は多くクールにあしらわれても諦めない男も居た


「なぁ…俺の所のメンバーにならないか?一匹狼でやるのには限界があるだろう?」


そう言われたマリエルは男を一瞬睨むと「それもそうね」と呟いた


「そうだろう?なら…」


「でも私が在籍したい場所では無いわね…他を当たって頂戴!」


そう言って火炎の魔法をお見舞いして追っ払うのだった


それを横で見ながら苦笑いを浮かべるムウは今後の事をどうするのか聞いてみた


2人はある日ファルデアン王国に来ると酒場に団員募集のチラシが貼ってあるのを目にした


「なになに…特に魔法使いや回復要因を強く求める…か、場所は向こうね」


「お?お前さん達黄昏騎士団に入団したいのかい?あそこの団長はちょっとした有名人だぜ〜」


それを聞いたマリエルとムウは早速黄昏騎士団の宿舎を訪ねた


出迎えてくれたのは若い男で見た目は優男でどう見ても強そうに見えない


「こちらへどうぞ…入団試験をしたいので準備をして下さい」


「入団試験?何をするのかしら?」


外観からはわからなかったが広い中庭に案内された


男は奥側に向かうとこちらに振り向き、こう挑発して来た


「では僕に向かって魔法を使ってください…どんな魔法でも構いません」


カチンと来たのかマリエルは中級の火炎魔法を優男に向かって放った


すると一瞬で火球は双方に分かれて地面に落ちた


何が起こったのか理解出来ないマリエルは続け様に火炎魔法を放つと結果は同じだった


「どうなってるの?手加減してないのに…当たらないなんて」


マリエルは次に放った火球魔法がどうなってるのか確認する為に放ったあと目を凝らした


すると火球魔法を剣を振るって切っているのが見えた


「嘘でしょ?何者なのアイツ…」


「もっと強烈なの下さいよ!手加減無用ですから」


次は雷、水、風、土、火の五大エレメント魔法を放ってみると彼は身体に光を帯て真っ正面から受け止めて跳ね返すでは無いか!


咄嗟に同じ魔法を使って相殺するマリエルは驚きを隠せない


「何なの?何なのアイツ…もうこうなったらとびきりのヤツお見舞いしてやるわ!」


マリエルは最上級の五大エレメント魔法を圧縮して放った


するとどうだろう…優男は身体に光を帯びた状態で突進してすり抜けるようにマリエルの目の前に来たのだ


轟音と共に魔法が弾けた


被弾してくる魔法を避けるのに必死になってると彼はバリアのようなモノをマリエルとムウにかけて守ってくれた


魔法が弓矢のように降り注ぐ中で彼は涼しげな表情を浮かべている


降り止むとこう問いかけられた


「まだ続けるかい?」


「いいえ…完敗よ!何者なの貴方…」


男はマリエルに手を差し出して名前を名乗った


「貴方がリンダルト…オーガキラーでこの騎士団の団長だなんて見た目で判断したのが悪かったようね」

 

「ねぇマリエル…ここなら退屈しなくて済みそうだよ?」


「でも…入団試験は…」


「合格だよ!魔法使いマリエルと薬士ムウ…これからも宜しく頼みます」


すると影に隠れていたらしくアーノルドとレックスもひょっこり姿を表すと軽く挨拶した


「俺はアーノルドだよろしくな!別嬪さん」


「私はレックスと申します…お綺麗な方が入団してくれて華やかになりますね♪」


それを聞いたムウは膨れっ面で不機嫌そうに言った


「何よ〜マリエルばかり…私は?」


「悪ぃ悪ぃ…ムウって言ったか?薬士なんだって?ならこれからはもっと危険な仕事も受けられるって事だな!宜しく頼むぜ」


「アーノルド…怪我するの前提で話をしないでください!ムウさん宜しくお願いしますね」



こうしてマリエルとムウも黄昏騎士団の一員になるのだった



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