第31話 生死の境を彷徨う

その頃リンダルトは生死の境を彷徨っていた


「ここは何処だろう…見覚えあるようなないような」


歩きながら辺りを見回すと不思議な空間が続いていた


足元はふわふわして夢見心地


リンダルトは昔の事を思い出していた


「そういや姉さんにいつも怒られていたっけ」


姉のルルアンに優しくも注意されていた事を思い出して思わず笑っていた


「姫を助けて魔物を切り伏せたのは気持ち良かったな…あの時の姫は涙を浮かべてお礼を言ってくれた…可愛くてキュンとした後で意識を失ったんだっけ」


思わず顔を赤らめて1人で照れるリンダルト


昔の事を思い出しながら歩いていると遠くに虹の橋が見えてきた


「そういえば死んだ者は虹の橋を渡って死者の世界へ行くと聞いた事があったな…母上が幼い頃に聞かせてくれた話だったけど本当なのか…」


リンダルトは足を止めた


大きな虹の橋を眺めてため息をついた


「僕は本当に死んでしまったんだな…」


そう呟くと虹の橋を渡って誰かこちらにやってくるではないか


2人の人物はリンダルトの名前を呼んだ


「「リンダ」」


リンダルトはその2人に見覚えがあった


「母上…と姉さんなの?」


虹の橋の向こうからやって来たのはリンダルトの母であるラヴァーヌと姉のルルアンだった


リンダルトが驚くのも仕方ない


何故ならルルアンは子供の頃に死んだのに美しい女性へ成長していたからだ


「バスクオムから聞いたわ…あんた敵の罠に嵌められたんだったね」


ルルアンは怪訝そうな顔でそう言うとリンダルトの頬を引っ叩いた


「う…申し訳ない…油断した…」


目に涙を浮かべるリンダルトをラヴァーヌはそっと抱きしめた


「貴方はしっかりやってるわ…ただガルダ教が卑怯な手を使って追い詰めて来たからよ」


「それもそうね…ごめんねリンダ…姫を庇ってここに来たのよね」


「死んでしまうなんて不甲斐ないよ…情けない」


そう言うリンダルトに2人はこう告げた


「貴方はまだ死んでないわ…ここは生死の境目なのよ」


「そうそう…今のリンダは仮死状態って訳…まだ向こうに戻れるわ」



目をぱちくりさせるリンダルトにラヴァーヌとルルアンはこう言った


「あの子に頼まれて貴方を引き留めておく為に来たのよ」


「あの子って?」


「そんなのバスクオムに決まってるじゃない」


「バスクが?!どうやって?」


「夢の世界と死者の世界は繋がってるの…黄昏騎士団のメンバーが頑張ってる間に先にここに来て私達に最悪の事態の時に協力して欲しいって頼まれていたのよ」



「そうだったんだ…」


「ほら…噂をすれば…来たわよアイツが」


ルルアンがそう言って指差した方向を見るとそこに居たのは…



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